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ラダニアン・トムリンソンが殿堂入り式典で名スピーチを披露

2017年08月07日(月) 11:53


ラダニアン・トムリンソン【Logan Bowles via AP】

「私の歴史はアメリカの歴史でもある」

現地5日(土)、オハイオ州カントンにて開かれたプロフットボール殿堂入り式典に参加し、ゴールドジャケットに袖を通したラダニアン・トムリンソンはこのような一節からスピーチを始めた。

元サンディエゴ・チャージャーズ(現ロサンゼルス・チャージャーズ)のランニングバック(RB)は、トムリンソンというファミリーネームは曾祖父の父親にあたる人物が奴隷だった自分を所有していた者から受け継いだ名前であること、そして、その系譜が自身のアイデンティティや尊厳の中にいまだ生きていること、さらには悲惨な過去を背負っていた祖先たちの歴史を自分が書き換えることができた喜びを語った。

「私のファミリーネームは曾祖父の父を所有していた人物に始まる。今、誇り高くもこのように私や私の子供、そして私の身内が名乗ることのできている名前だ。道を歩けば皆が私に気づく。それは彼らが私の名前を知っているからだが、フットボールのキャリアに幕を閉じて以降、周囲が私の事をフットボールのRB選手としてではなく、1人の人間である“ラダニアン・トムリンソン”として認識し始めたのではないかと感じている。私の家系はそのような悲惨な歴史を背負ったところからの出自だったが、今やこうしてこの名前には栄誉が与えられたことにこの上ない喜びを感じる。“トムリンソン”という名の下、2つの人種を1つにするために神様が私を選んでくださったのだろう」

総立ちとなった観客からの喝采を浴びながら、トムリンソンは次のように続けている。

「フットボールはまさにアメリカの象徴。人種、宗教、信条、生活、プレーなど、全てが混ざり合って成り立つものだ。どこかのチームの一員であるならば、チームメイトや彼らの長所や短所を認識し、チャンピオンシップを勝ち取るという同じ目標に向かって一体となって突き進むはずだろう。これを言い換えれば、われわれは全員が一つのチーム、“チーム・アメリカ”に属していると言える」

「スポーツの世界では、意志の強さや能力が評価され、戦うためのチャンスが与えられる。アメリカは機会の宝庫だ。他人と違うからと言ってあきらめてしまうのはやめよう。自分自身の可能性、そして、成功するために必死で努力する意欲ある者たちに対し、希望の扉を大きく開けたままでいよう」

「“チーム・アメリカ”にいる以上、仲間に反対するのはもうやめだ。仲間のために自分たちはいる。曾祖父の父であった彼には選択肢などなかったはずだが、今、われわれにはそれがあるんだ。私たちならば共に協力し合い、この“チーム”を最高の形にできるはず。人類史上最高の場所を目指し、未来の国民となるわれわれの子孫にとって理想的なチーム作りを目指そうではないか」

この日披露された多くのすばらしいスピーチの中でもトムリンソンのものがとりわけ多くの心をつかんだ理由は、フットボールの話だけにとどまらなかったからではなく、リアルな過去がその系譜にあったからだろう。

チャージャーズの伝説的RBは1シーズンにおけるタッチダウン数の最高記録を保持している。現役時代のタッチダウン同様、土曜日の夜もまた、トムリンソンは多くの人々を魅了した。