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ブラウンズが元チーフスGMのジョン・ドーシーを新GMに就任

2017年12月08日(金) 13:06

クリーブランド・ブラウンズ【AP Photo/Phelan M. Ebenhack】

クリーブランド・ブラウンズが新たなジェネラルマネジャー(GM)を指名するまでに長い時間を要することはなかった。

先日サシ・ブラウンをわずか2シーズンでGM職から解いたばかりのブラウンズが、新GMにジョン・ドーシーを指名したことを現地7日(木)の晩に発表している。

カンザスシティ・チーフスが今年6月に突然ドーシーを解任した動きは業界を驚かせたが、それまでの4年間をGMとして務めあげたドーシーは選手評価の手腕を買われていた。

ブラウンズがGMを解任した直後からドーシーの名前はその候補として挙げられていた。『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートはブラウンズが専門家を雇用し、ドーシーを筆頭候補として新GMを密かに探しているようだとも報道していた。どうやら、専門家たちは先月の時点から現在57歳のドーシーに目を付けていたようだ。

ドーシーGMとアンディ・リードヘッドコーチ(HC)の下、チーフスは43勝21敗という戦績を残している。ドラフトではトラビス・ケルシー、ディー・フォード、マーカス・ピータース、タイリーク・ヒル、カリーム・ハント、パトリック・マホームズなどの獲得を指示したドーシーだが、全体1位で指名したエリック・フィッシャーの活躍ぶりは微妙なところで、その他にはケビン・ホーガンを5巡目で指名したことでも業界関係者を驚かせた。

選手評価やチーム構築の際に伝統的なアプローチを採るドーシーが就任したとあっては、統計を重視するブラウンズのフロントもこれまでの思考を改めざるを得ないだろう。

2016年同様に、ブラウンズがこの調子でいけばドーシーはチーム再建のための武器を大量に手にすることとなる。2018年のドラフトにおいてブラウンズが保持する指名権とサラリーキャップの余裕は、ドーシーによるチーム改革をより迅速にするはずだ。来季のドラフトでブラウンズが保持する1巡目と2巡目の指名権はヒューストン・テキサンズ、フィラデルフィア・イーグルスとのトレードによって5つにまで増加した。こちらが2018年ドラフトでブラウンズが保持する指名権だ。

1巡目:ブラウンズ、ヒューストン・テキサンズ
2巡目:ブラウンズ、テキサンズ、フィラデルフィア・イーグルス
3巡目:ブラウンズ
4巡目:ブラウンズ、カロライナ・パンサーズ
5巡目:ブラウンズ、チーフス
6巡目:ブラウンズ
7巡目:ブラウンズ

ブラウンがGMを解任された理由は多数ある。まずは2年間で1勝27敗という壊滅的な戦績。これはHCヒュー・ジャクソンにも同程度に責任があると言えるだろう。それ以上に忘れてはならないのが、クオーターバック(QB)のカーソン・ウェンツやデショーン・ワトソンを指名する権利があったにもかかわらず、みすみすその絶好のチャンスを逃したことだ。

残り4週間でまさかの勝利を記録しなければ、現在未勝利で12連敗中のブラウンズが順当に来季のドラフト1巡目指名権を得ることになる。

数十年前から看板QBが不在だったブラウンズから、チームの未来を担うQBを獲得すべしとの命を受けたドーシーには相当なプレッシャーがのしかかる。今季終了後にチーフスを去るであろうアレックス・スミスにドーシーが触手を伸ばすと考えるのは自然な流れだ。ブラウンズにとってスミスの獲得が安全な選択肢であることは間違いないが、ドラフトでより若く才能溢れる選手の指名をするのとはまた異なる話である。

今やエース格となったワトソンやウェンツという若きQBを獲り逃がしたブラウンは、GM就任直後から批判を浴びた。ブラウンはまた、フリーエージェントでの選手獲得にも苦戦を強いられることが多かった。

チームを一から立て直すためにも、ドーシーはジャクソンHCとのコミュニケーションを密にとり、協力し合って次季QBのプラン固めを行うことが必須だ。同タイプの面々が長くフロントにいるブラウンズには、気に入らないコーチ陣をすぐに切る傾向がある。今回ばかりはチームもコーチ陣の選択をドーシーに一任するのだろうか。ドーシーがHCに指名するのがジャクソンであろうとなかろうと、来季に向けてコーチ陣と良好な関係を築くことで今後の結果は大きく変わってきそうだ。

これこそが何年もの間ブラウンズが欠いてきたものである。同じことの繰り返しではチームに何も変化が生まれない。まずはエースQBを見つけ、チーム内競争を激化させることで深く暗い水の底に沈んだブラウンズも再び浮上できるだろう。

【S】