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ブルース・エリアンス、「喜びと平穏」の涙でカーディナルスHCを退任

2018年01月02日(火) 11:12

元アリゾナ・カーディナルスのブルース・エリアンス【AP Photo/Rick Scuteri】

ブルース・エリアンスが自身のコーチングキャリアに終止符を打った。

アリゾナ・カーディナルスのヘッドコーチ(HC)エリアンスが現地1日(月)、記者会見を開いて涙ながらに自身の退任を語った。

「今、流れている涙は喜びと平穏を象徴している。選手との別れはつらい。ロッカールームから出てくる情景や、国歌を聞いているシーンなど、まだまだ心に強く残っている」

「(日曜日の)試合が終わるまでは自分が本当に退任するなんて思っていなかったのかもしれない。ここ数カ月はみんながこのことについて憶測していたね。その通りだった。前にも言ったが、信じられないくらいに素晴らしい時間だった」

今季は故障者が続出し、苦戦を強いられたエリアンスはアリゾナでの5年間で49勝30敗1分の戦績を残し、2度のプレーオフ進出を果たした。『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートは今後、カーディナルスがミネソタ・バイキングスの攻撃コーディネーター(OC)パット・シューマーにHC就任を打診する可能性があると指摘している。

1975年にバージニア工科大学でアシスタントコーチを務めたことでエリアンスのコーチングキャリアはスタートした。65歳のエリアンスはクリーブランド・ブラウンズ(2001年から2003年)、ピッツバーグ・スティーラーズ(2004年から2011年)、そしてインディアナポリス・コルツ(2012年)でのコーディネーター経験を経て、リーグ最高峰のプレーコーラーとして認知される現在にまで至った。

ティム・カウチからベン・ロスリスバーガー、アンドリュー・ラック、そしてカーソン・パーマーまで、エリアンスはどこのチームに行ってもQBの技術を向上させてきた。

2012年にはチャック・パガーノHCが病気で療養する間、エリアンスが途中からコルツのHCに就任してチームを残りの試合で9勝3敗に導いた。この年にコーチ・オブ・ザ・イヤーを受賞したエリアンスはその2年後、今度はアリゾナの地で同賞を受賞している。

2015年ごろまではスーパーボウル出場候補としても謳(うた)われたカーディナルスだったが、ここ2シーズンのチームは低迷していた。故障者の続出が主な原因となり、かつては他チームから恐れられたチーム攻撃陣が崩壊した。
エースクオーターバック(QB)のパーマーやスターランニングバック(RB)デイビッド・ジョンソンや脇役として活躍するはずだったエイドリアン・ピーターソン、ジョン・ブラウン、ロバート・キムディーチ、ディオン・ブキャノン、マーカス・ゴールデンらが相次いで故障し、チームのロースターが様変わりしたのだ。

過去2年、フットボールに関する機知に富むエリアンスは自身の健康問題と闘うことも多く、今回の決定にこの事実が大きく関わっているのは明らかだ。

常にコーチ以上の功績を残してきたエリアンス。歯に衣着せない物言いや、記者に対する独特な言葉遣いなども人気の秘密であり、メディアすらもエリアンスHCによる発言には一目置いていた。また、エリアンスはフィールド上での頭脳戦においてはニューイングランド・ペイトリオッツの名将ビル・ベリチックとも比肩するとも言われてきた。

カーディナルスファンだけでなく、世界中のフットボールファンがエリアンスの退任を寂しく思っているのは間違いない。

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