NFLが脳震とう多発のキックオフ廃止を検討中
2018年03月29日(木) 10:51もうNFLでキックオフを見られないかもしれない。
NFL競技委員会のメンバーであり、グリーンベイ・パッカーズの球団社長を務めるマーク・マーフィは現地28日(水)、最近のルール変更が選手の安全面に焦点を当てたものであるにもかかわらず、故障データはキックオフが懸念事項として残っていることを示していると語った。
タッチバックを25ヤードラインに移動させ、エンドゾーン内を飛び出すよりも膝をつくように仕向けた一時的ルール変更(今週から永続となった)はリターンの数を減少させたものの、このプレーによる脳震とう発症の可能性は減少しなかった。そして、これはキックオフカバレージの際の選手たちのスピードを抑えるべく、キックオフ開始場所を5ヤード前進させるルール変更を経た後のことでもあった。
結局、これらのマイナーチェンジが効果を示すことはなかった。この結果に対してリーグのリーダーたちはヘッドコーチ(HC)やスペシャルチームコーディネーターを招集し、問題を解決しようと試みている。このプロセスの中で、キックオフ自体を廃止する可能性が検討されている模様だ。
『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートによれば、このルール変更が今シーズン中に行われる可能性は極めて低いが、それでも、いずれ最終的にはチームがシンプルに自軍の25ヤード地点にボールを置いてポゼッションがスイッチするルールに変わる可能性は十分に考えられるとのことだ。
脳震とうはリターンされなかったキックの際にも発生しているという事実がこのルール変更の実行可能性を高めているようだ。
マーフィ社長はこのように語った。
「他にフラストレーションがたまるのはタッチバックの際の脳震とう発症だ。リターンがなくても起きてしまう。(委員会は)リターンのときですらないのだと皆が認識するようにするは何ができるかを考えている。お分かりのように、1人の選手が走り出せば、カバー選手やブロッカーの1人も動き出す。そして、もうお察しの通りだ。1人の選手がハーフスピードで走っている時に、他の選手がフルスピードを出しているときにも問題が起きる」
11人の男たちがフルスピード10人の男たちに向かって突進し、ボールを持った選手のためにスペースを生み出そうと衝突しあうキックオフはフットボールゲームの中でも最も痛ましいプレーである。これまでにも試合中のダメージを制限しようと、複数人でのウェッジブロッキングを廃止するなど、さまざまなレベルでのルール変更は行われてきた。しかし、いまだに危険は存在している。特に、スピードを出し切っていない選手がブラインドサイドから突進される場面が最も危険であるのは言うまでもない。このプレーによる脳震とうなどの事故発生の確率が高いのは当然だ。
リーグ全体がより安全な試合を望む中、キックオフ廃止の可能性は今後本格的に検討されるはずだ。ミドルスクール(小、中学校)のフットボールや低いレベルのフットボールからはすでにキックオフはなくなっている。
当然、リターンスペシャリストたちの職を犠牲にするという面もあるが、その一方で、選手の身体は今まで以上に守られることとなる。結局、最も重要なのは選手の安全であるはずだ。
【S】