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イーグルスのホワイトハウス訪問は急きょキャンセルに

2018年06月05日(火) 11:26

フィラデルフィア・イーグルスの優勝パレード【AP Photo/Matt Slocum】

フィラデルフィア・イーグルスのホワイトハウス訪問は突然のキャンセルとなった。

ホワイトハウスは現地4日(月)夕方、イーグルスが5日に予定していた第52回スーパ―ボウル制覇を祝うセレモニーに参加しないことを発表した。

ドナルド・トランプ大統領は声明の中でこのように語っている。

「フィラデルフィア・イーグルスは明日、ホワイトハウスに来てチーム全体で優勝を祝うセレモニーに参加不可能となった。選手たちが軍の偉大なる人々や国民に敬意を表し、国家斉唱に際して誇りをもって起立し、胸に手を置くよう主張する彼らの球団社長に対し、選手たちが異を唱えているようだ。イーグルスは少数の代表を派遣しようとしたようだが、参加予定だった1,000人のファンたちにはより優れたものがふさわしい。ファンたちはホワイトハウスに招待され、例年とは一味違ったセレモニーの一部となる。このセレモニーは偉大なる国に敬意を表し、国家を守るために戦った英雄たちに賛辞を送り、そして、誇りをもって国歌を斉唱するものだ。私はこの国を祝うため、アメリカ海軍音楽隊とアメリカ陸軍合唱隊を引き連れて午後3時に到着する予定だ」

イーグルスのヘッドコーチ(HC)ダグ・ペダーソンは記者に対して先月22日、チームは今月5日にホワイトハウスを訪問するだろうと語っていた。

『NFL Network(NFLネットワーク)』のマイク・ガラフォロによると、セレモニー当日が近づくにつれてイーグルスの選手やスタッフたちはこの訪問イベントをどのように扱うかについて議論を重ねていたようだ。

イーグルスのオーナーを務めるジェフリー・ルーリーは選手たちを微妙な環境に置くことを嫌い、最終的にはスーパーボウルでMVPを受賞したニック・フォールズを含む10人以下の数名を派遣することに決めた模様で、その他選手に関してはチーム施設内で自主練日を過ごす予定だった。

当初はイーグルスが“チーム旅行”としてワシントンD.C.へと向かい、数名がホワイトハウスを訪問する間、その他選手は政治家と対談、あるいは観光に行く予定だった。

現在のイーグルスは4日間にわたって行われるOTA(チーム合同練習)の中日にいる。

イーグルスのマルコム・ジェンキンスとクリス・ロングは以前からこのセレモニーに参加しない意向を明かしており、元イーグルスのワイドレシーバー(WR)トレイ・スミスも不参加を表明していた。一方、QBカーソン・ウェンツはホワイトハウス訪問が決まった際に参加の意志を明かしており、他の仲間とは感じ方が違うことを前提に、今回のイベントを“政治的なもの”としては考えていないとも述べていた。

2週間前に開催された春季リーグミーテイングでチームオーナーらによって承認された国歌斉唱に関するポリシーによれば、選手および関係者はサイドラインに立つことを要求されるものの、ロッカールームにとどまる選択肢も与えられている。

チームオーナーらによって承認されたこの変更の下、フィールドにおけるすべての行動に際し、国歌を尊重する姿勢が示されているかどうかを確認するためのルール制定は個々のクラブチームに委ねられている。サイドラインで選手が抗議する手段を選べばNFLはチームに罰金を科し、選手にはチームから罰金を科される可能性があるという。

ジェンキンスやロングら多数の選手は国歌に関する新たなポリシーに対して不快感をあらわにしている。

ジェンキンスはこのようなコメントを残した。

「今日、NFLのオーナーが行ったことは選手らが自分自身を表現する憲法の権利に抵触しており、わが国の人種的不平等など、社会的不公平さに対して注意を喚起するための選手の基盤をないがしろにしている。“声”が抑制されれば、ここにいる全ての人を失うことになる」

「この決定には賛同せず、黙ることもなければ戦うことをやめるつもりはない。ここ2年にわたってNFLの選手たちが行ってきた米国における人種問題に対する国家的対話は、より真っ当な刑事司法制度や警察による不当な暴力をなくし、そして、有色人種のコミュニティやこの国で苦しむ人々に対するさらなる経済支援やより良い教育システムを作りあげるまで、われわれが声を上げ、時間やお金を使うことでこれからも続いていくだろう」

【S】