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元ジェッツのCBレビスが11年のキャリアに幕

2018年07月19日(木) 10:41

ニューヨーク・ジェッツのダレル・レビス【AP Photo/Adrian Kraus】

ダレル・レビスがその輝かしく、そして、果てしなく独特なキャリアに終止符を打った。

現地18日(水)、プロボウル7度のコーナーバック(CB)がNFLからの引退を正式に表明した。

レビスは『Twitter(ツイッター)』で次のような声明文を投稿している。

「過去11年の間、世界中に自分の持っているものを披露することができて本当に光栄だった。今日、かつては1人の子供として憧れた人生の1つの章に幕を閉じることにした。私は正式にナショナル・フットボール・リーグからの引退を表明する。フットボールの試合はほぼ無理だと思っていた扉を開けてくれた。最高のレベルでプレーをするための情熱が楽しさや興奮をもたらし、死語になりかけていた“シャットダウン・コーナー”という単語を復活させた。リーグ史上、最もタフな役割の一つをカバーするのは毎週日曜日のチャレンジである一方、私たち皆が愛するこのゲームにおける名誉でもあった」

「私の人生に多大な影響をおよぼし、そして、死ぬまで私や私の家族が大切にしたいと思える良い思い出をくれたコーチ、チームメイト、そして、メンターたちには心から感謝したい。違う分野での新たな旅路には何が待ち受けているのか、非常にわくわくしている。“レビス・アイランド(レビスの愛称)万歳”」

それ自体にさほどの驚きはなかったものの、この発表はその世代で最高峰の選手だった支配的なディフェンシブプレーヤーが1つの旅を終えたことを表している。33歳のレビスは2度目のニューヨーク・ジェッツ時代でスピードを失い、下降線をたどっていった。それでも、レビスがジェッツ史上最高の選手という称号を手にしてフットボールフィールドを去ることには全員が満場一致で納得するはずだ。

将来的な殿堂入りが確実とも言われるレビスを表現するのに、廃れかけていた“シャットダウン・コーナー”という言葉以上にぴったりなものはないだろう。

退任した元ジェッツのアシスタントであるマイク・ウェストホフは以前、『ESPN』に対し、レビスの性格についてこのように述べていた。

「(ダン)マリーを含め、すばらしい選手は何人か見てきたが、レビスは今までの中でも一番くらいに一生懸命練習に取り組んでいた。彼はすべてのプレーで勝ちたかったんだ。(元ヘッドコーチ)レックス(ライアン)がディフェンスのウォークスルーを行っていた時のことを覚えている。レックスがクオーターバック(QB)を務め、パスを投げていた。ささいなウォークスルーであってもレビスはレックスに一度もまともなパスを投げさせなかった」

2009年から2011年までのレビスはシーズンを通して完璧なディフェンスを行い、オールプロにも選出される活躍を見せ、リーグ全体からもワイドレシーバー(WR)の存在を消してしまうほどの、世代を背負ったカバーマンだとも評された。

レビスを巧みに操ったライアンHCは2009年、年間最優秀守備選手賞がグリーンベイ・パッカーズのチャールズ・ウッドソンに決定し、レビスが受賞できなかった際にはこのようにコメントしていた。

「私にとって、コーナー(バック)が最高の年だった。ナショナル・フットボール・リーグ史上で一番コーナーがインパクトを残した年だ。ただ、これは私個人の意見だ。どうやら他に投票した人たちの意見は違ったようだ」

2007年ドラフトで全体14位の指名を受けたレビスは2013年にフロントオフィスがタンパベイ・バッカニアーズとの驚愕のトレードを成立させるまでの間、ジェッツの輝かしい6シーズンに多大なる貢献を果たした。バッカニアーズはジェッツが払えそうもなかった6年9,600万ドル(約108億円)でレビスと契約を交わしたものの、結局は1オフシーズン後にキャップ運営上の理由でリリースする形となっている。

2014年には大敵であるニューイングランド・ペイトリオッツに所属してジェッツファンの心を壊したレビスは第49回スーパーボウルでチームの勝利に貢献した。

その翌年にはフローハム・パークへと帰ってきたものの、年齢を重ねたレビスにはチーム内から必要以上の期待が寄せられており、両者の再会には良い意味も悪い意味も含まれていた。今から1年前、カンザスシティシティ・チーフスで最後のプレーをしたレビスは今オフシーズンにリリースされている。

ジェッツ会長兼CEOのクリストファー・ジョンソンは声明の中でこのように語っている。

「ダレル・レビスはジェッツのユニフォームを着た選手の中で最も優れた選手の1人であり、プロフェッショナルフットボールの歴史を見ても最も支配的なディフェンシブプレーヤーの1人であった。ダレルの用意周到さ、競争心、知性、そして細かい部分へのこだわりは試合やチームメイトに対する彼の献身度を表している。ダレルの謙虚さは珍しいほどであり、同様にフィールド外での近づきやすさも並外れていた。全国のジェッツのファンは、相手のレシーバーが“レビス・アイランド”で苦戦するとの確信を持って毎晩ぐっすりと眠れたはずだ」

レビスの動きを見るチャンスを得ていた者であれば、他のどのCBも挑戦しないようなトリックを鮮やかにやってのけたレビスをフィールド上の手品師であると評する見解に異論は唱えないだろう。コーチ陣が愛し、敵陣が恐れをなした名選手だった。
 
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