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レッドスキンズがベテランRBピーターソンと契約締結

2018年08月21日(火) 11:08

アリゾナ・カーディナルスのエイドリアン・ピーターソン【AP Photo/Ralph Freso】

昨年12月に首の負傷でシーズン絶望となって以来、初めてランニングバック(RB)エイドリアン・ピーターソンがフットボールに復帰する。

現地20日(月)、『NFL Network(NFLネットワーク)』のマイク・ガラフォロはオールプロ4度のピーターソンのワークアウトを行ったワシントン・レッドスキンズがそのままピーターソンと契約を結んだと情報筋の話を元に報じた。チームは後にこの動きを正式に発表している。

ピーターソンは声明文の中でこのように語っていた。

「とても興奮している。長いオフシーズンだったが、体の状態はキープしてきたし、この機会のために準備してきた。だから、そのチャンスが訪れた時は本当にわくわくしていた」

デリウス・ガイス、サマジェ・ペリーン、バイロン・マーシャルといったRBがそれぞれプレシーズン第2戦までに故障離脱したレッドスキンズは突如としてバックフィールドの人手不足に苛(さいな)まれた。

当初はガイスが故障したとしても高給取りのベテランを獲得する考えを否定していたヘッドコーチ(HC)のジェイ・グルーデンだったが、ペリーンとマーシャルが同時に離脱となり、さらにはレシーブのスペシャリストでもあるワイドレシーバー(WR)クリス・トンプソンもまだ腓骨(ひこつ)の骨折から復帰段階にいるという非常に困窮した状況の中で、その考えを改める必要性を感じたようだ。

エイドリアン・ピーターソン、ジャマール・チャールズ、オーリンズ・ダークワの3人がレッドスキンズを訪問するとのニュースが報道された際、グルーデンHCは先発RBを欲しているわけではないと強調した。チームの先発テールバック(TB)としては減量に成功したロブ・ケリーが当確しているのだろう。

グルーデンHCは「われわれのランニングバック(RB)の布陣には不運な出来事が重なった。他にも何かあった場合、われわれは本当に、本当に、本当に層が薄くなる。わがチームは今、すべての基軸が整っているのか確認している段階だ」とも明かした。

今年3月にアリゾナ・カーディナルスから放出された後にフリーエージェント(FA)となったピーターソンはワシントンのデプスチャート上で順位を繰り上げるためのチャンスをうかがうことになる。

ピーターソンは現在の心境をこのように語った。

「(オフシーズンが)しんどくなかったと言えば嘘になる。自分だって人間だからね。そのドアの向こう側からやってきた人間を何人も知っているし、このプロセスを経た人たちを何人も見てきた。それだけが唯一自分の心を不安にさせていた。しかし、適切な時期になればそのチャンスがおのずとやって来るってことは分かっていた」

先シーズンは1キャリー平均3.4ヤードに終わった元ミネソタ・バイキングスのスーパースターだったが、カーディナルスの猪突猛進型ランナーとして出場した6試合では2度の130ヤード超えも記録している。層の薄いオフェンシブライン(OL)の背後から、ピーターソンは爆発力、パワー、ジャンプカットのキレ、そして、相手を置き去りにするスピードがまだあることを証明していた。

カーディナルスのジェネラルマネジャー(GM)スティーブ・ケイムは今年2月、ピーターソンについてこのような話をしていた。

「エイドリアンにまだもうひと暴れするだけの体力があるのは間違いない。彼はまだパワーとアグレッシブさをもって走れるし、そこのポジション選手として期待すべきコンタクトバランスを持った選手でもある。ただし、今この時代では、バックフィールドからでもボールをキャッチしなくてはならない。さまざまな事を同時にこなせなくてはならないんだ。つまりは、多岐にわたる器用さがカギとなる」

それこそが問題であり、複数選手の連携による“コミッティー・アタック”を行うチームが補助的RBとしてのピーターソン獲得に躊躇(ちゅうちょ)してきた原因でもある。チームは緊急事態にのみ、ピーターソンの一方向への圧倒的なパワーを利用する方針を採るようだ。

今夏、33歳のピーターソンと共にトレーニングを行ったレッドスキンズのプロボウルタックル(T)トレント・ウイリアムスは「(ピーターソンの)ステップの速さは全然衰えていない」と述べ、地元紙『The Washington Times(ザ・ワシントン・タイムス)』にこう語っていた。

「31歳、32歳、33歳という年齢であの動きは何なのだろう。そのくらいの歳だとスピードは落ちるものだ。彼は違う。天性のアスリートさ。彼は天から才能を授かっている。ダレル・グリーンのスピードは衰えていたか? いや、そんなことはなかった。あるものはずっとそこにあるんだ。それこそが彼自身だし、彼を作りあげている。それがDNAってやつなんだな。・・・(中略)だから、違う、彼は今まで見てきたアスリートとしての姿のままだ」

ウィリアムスのスカウティングレポートが信用すべきものだとすれば、シーズン開始後にケリーがリードバックとしての役割をピーターソンに奪われる可能性も有り得るだろう。

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