ジャイアンツWRベッカムが5年約106億円で契約合意
2018年08月28日(火) 10:33新契約を締結させるまではフィールドに登場するつもりのなかったニューヨーク・ジャイアンツのワイドレシーバー(WR)オデル・ベッカムだが、どうやら、もうその必要はなさそうだ。
現地27日(月)、NFL専門チャンネル『NFL Network(NFLネットワーク)』のレポーターであるイアン・ラポポートは現地の情報筋の話を元に、ベッカムがジャイアンツとの5年9,500万ドル(約106億万円)の契約延長に合意したようだと報じた。ベッカムは保証額合計6,500万ドル(約72億円)のうち完全保証額4,100万ドル(約46億円)を受け取ることとなり、これはWRとして史上最高額となる見込みだ。ラポポートによると、契約延長のうち最初の3年は平均2,000万ドル(約22億2,000万円)になるという。
ラポポートとNFLネットワークのキンバリー・ジョーンズがベッカムの新契約を最初に報じた。
これまではアントニオ・ブラウンの平均年俸1,700万ドル(約19億円)とマイク・エバンスの総保証額5,500万ドル(約61億円)がWRとしての最高額となっていた。ベッカムはこの両方で最高値を引き出した形だ。
クオーターバック(QB)ほどとはいかなかったものの、ある程度はそのレベルに達したベッカム。『Over The Cap(オーバー・ザ・キャップ)』によると、ベッカムの保証額はQBマット・ライアンの9,450万ドル(約105億円)とQBカーク・カズンズの8,400万ドル(約93億円)に次ぐものとなり、ベースサラリーの1年平均1,800万ドル(約20億円)はQBを除いた中でラインバッカー(LB)ボン・ミラーの1,908万ドル(約22億円)に次ぐ2番手となっている。
新人契約5年目に突入していた25歳のベッカムのこれまでのベースサラリーは840万ドル(約9億3,000万円)だった。
足首の故障から復帰を誓う2018年度のベッカムはオフシーズン中もかなり良い状態をキープしていたようで、チームはレギュラーシーズン第1週からベッカムを起用する予定でいる。新契約を手にしたベッカムは最初からエンジン全開だろう。
新人選手としてプロ入り直後から大暴れしたベッカムは、どのプレーからでもゲームの流れを一気に変えてしまう才能を持つ。スピードやルートランニングの精度、ジャンプボールでの身体能力、ボールの保持力など、嫉妬されるような能力ばかりを併せ持つベッカムだが、さらに最高峰のディフェンシブバック(DB)のようなヘッドスピンさえも行える。
プロボウル3度のベッカムは4シーズンの47試合を通じてパスキャッチ313回、4,424ヤード、タッチダウン38回を積み上げてきた。
『NFL Research(NFLリサーチ)』によると、ベッカムはNFL史上、プロ入りからの最初の4シーズン(最低5試合に出場が条件)を通じて最も1試合平均の獲得レシーブヤードの多い選手だとのことだ。1試合平均94.1YPG(1試合平均レシーブヤード)のベッカムに次いでフリオ・ジョーンズの88.4YPG、ランディ・モスの84.3YPG、アンクワン・ボールディンの82.2YPG、ジェリー・ライスの81.4YPGとなっている。また、ベッカムの94.1YPGという数字はキャリアを通した中でもジョーンズに次ぐNFL史上2番目に高い数字とのことだ。
これらに加え、ベッカムはNFL史上初めてプロ入りから3年連続で90レシーブ以上、1,300レシーブヤード以上を達成したプレーヤーである。
プロ入り直後の4シーズンで300レシーブ以上、4,000レシーブヤード、30回以上のレシービングタッチダウンをマークしたのはベッカムを含めて史上8人しかいない。しかしながらジャイアンツのスターWRは、それらの数字をマークしたマービン・ハリス、ラリー・フィッツジェラルド、A.J.グリーン、マイク・エバンス、キーショーン・ジョンソン、アンドレ・ライゾン、ランディ・モスといったそうそうたる面々よりも13試合少なくしてそれを達成している。
ベッカムの存在価値の大きさは2017年度を通じてチームも肌で感じたはずだ。わずか4試合に出場後、ベッカムはシーズン絶望となる故障で戦線離脱した。ワンハンドキャッチからビッグプレーを生み出せる能力を持つ主役を失った先シーズンのジャイアンツ攻撃陣は、クオーターバック(QB)イーライ・マニングのパスゲームにおいて最も非効率的な攻撃をしたチームの1つとなっていた。
2014年にベッカムが登場して以来の1試合平均得点がその不在時に6点も下がったジャイアンツの攻撃陣は、ダイナミックなWR不在で5勝12敗に終わった。
今オフシーズン中はベッカムの契約に関する話題が多く集まっていた。
ジャイアンツはオフシーズン中にスターWRに関するトレードオファーにも耳を傾け、チームのベストプレーヤーを放出する可能性を閉ざしてはいなかった。
トレードトークが落ち着く中、ベッカムはホールドアウトや癇癪(かんしゃく)を起こすことなく、オフシーズンの各ステージでのアクティビティに参加し、新コーチやスタッフ陣、そして、フロントオフィスに愛嬌を振りまいていた。
キンバリー・ジョーンズは『Twitter(ツイッター)』に「ジャイアンツとベッカムとの重要な関係性:パット・シューマー(ヘッドコーチ/HC)とOBJ(ベッカム)は今年1月以降、とても強固な関係性を築いてきました。ベッカムはシューマーHCによって指示されたことを今春や夏を通じて全て行っています。これらすべてのことが非常に重要です」と投稿した。
プレシーズン中のアクションは何一つなかったものの、ベッカムは100%の状態でシーズンの開幕を迎える準備をしている。ベッカムがプレシーズン2戦目の前に開かれたデトロイト・ライオンズとの合同練習に参加したことで、チームはベッカムに関する不安を和らげることができたはずだ。
WRとしてベッカムが最高額を手にしたことから、近日中にも新契約に向けた各方面での契約交渉が進展するかもしれない。大型契約を結び終えたベッカムが今、再びNFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)東地区の守備陣を一網打尽にするために集中力を高めている。
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