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ジェッツWRトーマス、“侮辱的”な古巣と対決へ

2019年10月18日(金) 11:45

ニューヨーク・ジェッツのデマリウス・トーマス【AP Photo/Steve Luciano】

実際にレギュラーシーズンでプレーしたことのない古巣と対決する場合、それはリベンジゲームと呼べるのだろうか?

それがニューヨーク・ジェッツのベテランレシーバーであるデマリウス・トーマスが置かれた状況だ。31歳のワイドレシーバー(WR)はオフシーズンにニューイングランド・ペイトリオッツと契約を結び、8月31日の最終ロースターカットでリリースされた。9月2日にペイトリオッツと再契約を交わすものの、シーズン第1週にはハムストリングの負傷でインアクティブとなり、9月10日にニューヨークへトレードに出されている。そして今、ジェッツはペイトリオッツとマンデーナイトの対戦を控えている。

現地16日(水)、ペイトリオッツ離脱を巡る動きについてトーマスは『New York Daily News(ニューヨーク・デイリー・ニュース)』に「間違いなく、侮辱的だった」と語っている。

「一度カットされたとき(8月31日)、俺はここ(ジェッツ)に来てあちらにはとどまらず、再契約しないこともできた。彼らと再契約したとき、良かったなと思ったよ。2週間後には追い出された。“何だって時間を無駄にしてしまったんだ?”という感じさ。結局のところ、俺の時間が無駄になったんだから」

ペイトリオッツがトーマスをトレードに出したのは、アントニオ・ブラウンとの契約をアップグレードする計画だったからだ。しかし、その計画は惨憺(さんたん)たる結果に終わった。今、ペイトリオッツはWRに多発する負傷に手を焼いている。

トーマスはペイトリオッツのビジネスに対するアプローチに怒ってはいないものの、ヘッドコーチ(HC)ビル・ベリチックの態度については感心していない。

「俺に対して侮辱的だった。分かると思うが、俺を信じてくれるから、俺も相手を信じられるんだ。(ファイナル)カットで俺をカットするとき、そのうち俺を戻すと話していた。だから俺はとどまった。カットされたときに、すんなりジェットになることもできたんだ。リリースされた次の日にここにいることもできた。だけど、俺は残ることを選んだ」

後になってみれば皮肉なのは、トーマスをリリースしたのはブラウン加入によって口減らしが必要になったからだったが、今はペイトリオッツが緊急でWRを確保する必要がある点だ。

「コーチ(ベリチック)がやってきて“実は、人が多すぎるんだ。十分にボールを回せないし、君をジェッツにトレードするつもりだ”と言うんだ。それだけさ。理由はなし。彼らは俺なしでもチャンピオンシップに勝っている。あそこにいたとき、俺はただ、きっと素晴らしくなるだろうものの一部であろうと頑張っていた。彼らはものすごい仕事をしている」

一方のベリチックは、トーマスの発言についてこう応じた。

「デマリウスは素晴らしいヤツだ。私は彼を大いに尊敬している。彼は非常にプロフェッショナルで、われわれが要請したことすべてをやっていた。われわれの状況が2度変わったことが、彼をトレードした時につながった。私は彼に対して常に誠実であったと感じているが、状況が変わったため、私の発言がその前に言ったことと違ってしまった。単純にそういうことだ」

ペイトリオッツの冷淡でビジネス的なアプローチは今に始まったことではない。それをどの選手も特別扱いではないと評価する者がいる一方、他の者は特に関心を示していない。世界は周り、日は沈み、夜は明ける。また同じことが繰り返されるだろう。

トーマスは今、夏を共に過ごしながらも、実際にそこでプレーすることはなかったチームと対決しようとしている。ジェッツがクオーターバック(QB)サム・ダーノルド復帰で活気を取り戻している中、NFLで最高の守備陣の一つを擁するペイトリオッツと良い試合を展開することで、トーマスは偽りの2週間に対するちょっとした報復ができるだろう。

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