“資格による免責”の廃止を議会に呼びかける選手連合
2020年06月11日(木) 15:433つのプロメジャースポーツリーグから前例のないサポートを受け、社会正義を実現するためのNFLの“Players Coalition(選手連合)”が現地10日(水)に、警察官をはじめとする政府関係者の資格による免責を終わらせることにつながるアマシュ・プレスリー法案の可決を支持する文書を議会に送った。
1,400人以上の選手、コーチ、幹部たちがこの文書にサインしており、その中にはクオーターバック(QB)トム・ブレイディとドリュー・ブリーズ、ワイドレシーバー(WR)オデル・ベッカムや、NBAのコーチであるスティーブ・カーとグレッグ・ポポビッチ、NBAのガードであるJ.J.レディック、MLBの外野手マット・ケンプ、ジャンカルロ・スタントンと引退した投手CC.サバシアらがいた。
選手連合はこの法案の通過によって州および地域の――“明らかに確立された”市民の権利を侵害してきた警察を含む――政府関係者の資格による免責の制度がなくなり、政府に対する人々の信頼回復の一助となると述べている。
インディアナポリス・コルツのQBであるジャコビー・ブリセットは「今世界で起こっていることはご存じの通りで、われわれはこれを正しい方向への足掛かりにしたいと考えている」と述べた。
資格による免責は連邦法に含まれる法原則であり、ある行動が過去の同一例に基づいて明らかに憲法上の権利を侵害したとされる場合を除き、その行動に対する市民の責務から公務員を守るものだ。言い換えれば、ほぼ同一の先例で責任が問われたケースが法廷に見いだされない限り、こういった人物を訴えることはできない。たとえば、昨年に連邦控訴裁判所が、ある一家の飼い犬を狙っている際に10歳の子供を撃って死亡させた保安官代理に対する200万ドル(約2億1,000万円)の民事訴訟を退けている。
資格による免責の廃止法令としても知られるアマシュ・プレスリー法案は、アメリカの議員であるジャスティン・アマシュ(リバタリアン党/ミシガン州選出)とアヤナ・プレスリー(民主党/マサチューセッツ州選出)が提唱するものだ。
選手連合は2016年から長い道のりを歩んできた。この連合の元になったのは、2016年に人種間の平等性と刑事司法の改革を国会議員と話し合うために連邦議事堂へ向かった5人のNFL選手だった。それから4年がたち、メンバーは150人に増えて、3つのメジャープロスポーツからかけがえのない支持を受けている。
自身もアフリカ系アメリカ人であるミネソタ・バイキングスのランニングバック(RB)アレクサンダー・マティソンは「見聞きするのは悲しいことだが、ジョージ・フロイド氏の死と、彼が息ができなくなるまで彼らがいかに彼の首にひざを置いていたかを、あなたがたは隠喩的に見ているのであり、僕たちにとってはずっとそうだった」と語っている。
「“ブラック・ライブズ・マター”という言葉と共に、人々が僕たちの首にひざを置いているかのようだった。人は言う。“あなたがたはセレブリティであり、あなたがたには力がある”とか、そういうことを。だが、コリン・キャパニックのことを考えてほしい。あなたがたは何か彼らが信じていることを支持したときに、スポーツの領域で何が起こり得るかを直接的に見た」
2016年、国歌演奏中にひざをつき、人種間の不平等と警察官の有色人種に対する暴行に静かに抗議したキャパニックは、それ以来いずれのチームとも契約を結んでいない。4年前に多くの選手が個人的にキャパニックを支持したものの、公には大部分は沈黙を保ち、キャパニックの抗議に参加することもなかった。
しかし、今年は選手たちが特に声を挙げている。少なくとも4人の白人の有名QBが制度的な人種差別に対してフロイドさんが亡くなってから数日の間に自らの見解を述べた。そして、全体を見ても4年前とは比べものにならないほどの選手たちが、ソーシャルメディアを通じて自身の気持ちを語っている。
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