2020年プレシーズンゲーム2試合への短縮による変更点
2020年06月22日(月) 06:01NFLは2020年プレシーズンを2試合で行う可能性に直面している。これは各チームにとってなじみある通常の4試合でのプレシーズンスケジュールを根本的に変えることになる。
先週、NFLとNFL選手会(NFLPA)が2020年プレシーズンを短縮することを検討していると『NFL Network(NFLネットワーク)』のトム・ペリセロが報じた。プレシーズンを半分に短縮することは、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによって制限されていた特殊なオフシーズンを終えた選手たちに、トレーニングキャンプや試合に参加するための調整を行う十分な時間を与えることとなる。
各チームにとって、2試合のプレシーズンをどのように活用するかは大きな議論の的となる。先発選手をどれだけ出場させるのか、例えば、今年のドラフト全体1位指名でシンシナティ・ベンガルズに入団したクオーターバック(QB)ジョー・バロウはプレシーズンでプレーするべきか、8月で43歳になるQBトム・ブレイディの場合はどうなるのか。はたまた、シカゴ・ベアーズのようなチームは先発QBを決めるためにどうすべきか、といったもどかしい疑問を抱えることになるだろう。
NFLは、2試合のプレシーズンを開催してきたCFL(カナディアン・フットボール・リーグ)から多くを学べると言えよう。NFLとNFL選手会が合意に達した場合、この変更に対するチームのアプローチ方法について、元NFLコーチでCFLでも豊富な経験を持つ2名のコーチの見解をまとめた。
プレシーズン短縮は経験豊富なチームに有利
プレシーズン中の試合経験が縮小されるということは、スキルポジションの選手やQBが新しいスキームでのプレーを制限されるということであり、コールシートは最初から制限される可能性がある。スキルポジション(特にQB)に新加入選手がいるチームは、レギュラーシーズンの序盤はランプレーとスクリーンプレーに注力し、パッシングゲームは時間をかけて強化していく可能性が高い。一方で2019年から戦力に変化がないチームは、序盤から予定どおりのゲームプランを実行することが可能になる。
練習の変更点
個人の練習時間や基礎練習の時間は削減され、より実戦に近い戦術に特化した練習に注力することになるだろう。11対11の練習ではウオークスルーを増やし、ポジション別ではフォームタックルの練習を増やすなど、フルタックルでの練習は少なくなることが予想される。
プレシーズンのプレー時間
情報筋によると、CFLのプレシーズンではオフェンシブライン(OL)以外の先発選手はプレーしていないという。開幕戦に向けてスキルポジションの選手が健康であることは、プレシーズンでプレーをすることよりも重要になる。CFLのプレシーズンにおいてベテランQBが1クオーターだけに出場するのは論外というわけではないが、それが実際にどれくらい意味のあることかは疑問だ。ベンガルズのバロウのようなルーキーQBについては、システムを十分に知っていれば、NFLのスピードに慣れるためにプレーする可能性はある。
QB育成と先発争い
プレシーズン中に多くのプレー時間を予定している控え選手にとっては、評価されるための時間が限られることになる。フィールド上での貴重なプレー時間を2試合分失うということは、最終的には若いQBを持つチームにダメージを与える可能性がある。例えば、ワシントン・レッドスキンズのドウェイン・ハスキンズのケースを考えれば、彼はレギュラーシーズンの途中で先発の座を引き継ぐ前、昨年のプレシーズンでルーキーとして学ぶために合計8クオーターに出場している。もしもハスキンズがプレシーズンで4クオーターしかプレーせず、レギュラーシーズンに突入する前に成長するための時間を与えられなかったとすれば、ハスキンズは実際よりも難しい状況に直面していたことだろう。また、グリーンベイ・パッカーズでブレット・ファーブに代わって先発QBとなったアーロン・ロジャースはファーブの控え時代、3年にわたって4試合のプレシーズンを経験しており、さらに先発することになった2008年プレシーズンも加えると、ロジャースは十分に鍛えられ、成長する時間もしっかりと与えられていた。
QBの先発争いでは、コーチが練習やプレシーズンの試合結果を見て判断する。これは変わらない。上位2名のQBはプレシーズンの両試合でプレー時間を分け、それぞれのQBは先発OLと共に平等のプレー時間を与えられることになるであろう。その上で、最終的に誰が先発の座を獲得するかについては、より競争力のある練習(実戦練習や練習試合を含む)が評価の材料となるだろう。
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