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ドルフィンズQBタゴヴァイロアの控えとなって“心を砕かれた”フィッツパトリック

2020年10月22日(木) 15:40


マイアミ・ドルフィンズのライアン・フィッツパトリック【AP Photo/Lynne Sladky】

クオーターバック(QB)のライアン・フィッツパトリックはキャリアを通して幾度となく控え選手を務めている。NFLの16シーズンを8つの異なるチームで過ごしていれば、十分に起こりえることだ。

しかしながら、QBトゥア・タゴヴァイロアを先発に選んだマイアミ・ドルフィンズによる今週の降格は、フィッツパトリックをこれまでとは違う心境にさせたようだ。

ドルフィンズのヘッドコーチ(HC)ブライアン・フローレスが先発にタゴヴァイロアを選んだことに37歳のフィッツパトリックは心を砕かれ、“ショックを受けた”と現地21日(水)に記者たちに話している。

「1日中心が痛んだ」と話し始めたフィッツパトリックは次のように続けた。

「俺にとっては胸が張り裂けそうな知らせだった。フローレスHCが言ったこと、みなさんにも伝えたことは事実で、それがこの組織が決めた方針ということだ。もちろんこれまでにもこの話はしてきた。俺は一時的な先発であって、いずれ控えに回ることは分かっていた。本当にそうなるかどうかではなく、後は時間の問題だったのさ。それでも昨日は心を砕かれ、実際に現実を突きつけられるのは辛い。受け入れられるように頑張ってみる」

AFCのプレイオフ進出をかけた戦いの真っただ中で2試合続けて一方的な勝利を挙げ、3勝3敗となったばかりのドルフィンズが、このタイミングでタゴヴァイロアに変更したのは興味深い。しかもフィッツパトリックはそれらの勝利に貢献している。その一方で、このベテランQBは今シーズン中に際立ったプレーを見せおらず、逆にインターセプト7回はNFL内で3番目に多い。

次の試合まで2週間ある今動くことにより、フローレスHCと周りのスタッフは新しい先発の準備に時間をかけることができる。

理由が何であれ、フィッツパトリックにとって状況が良くなるわけではない。

「俺は昨日クビになったのも同然だ。そして今日はクビにした張本人と“Zoom(ズーム)”でオンライン会議をして、同じ部屋には俺の代わりに4時間プレーした男がいたんだ」とフィッツパトリックは話している。

マイアミでの自分の未来がフィッツパトリックにとっての過去になろうとしていることをルーキーQBは理解している。タゴヴァイロアは、2人の関係を“父と息子のよう”と表した。

「どのポジションであれ、先発すると聞かされて喜ばない選手はいない」とタゴヴァイロアは語っている。「同時にフィッツに同情したのも確かだ。フィッツとはこの状況について話をした」

国内の評価よりも実際は良いプレーをしているマイアミにとって、フィッツパトリックがリーダーであることは明らかだ。負けた3試合でさえ、過小評価されているディフェンス陣とフィッツパトリックのワイルドなプレーのおかけで最後まで勝負に挑めていた。

この1年余りでドルフィンズを指揮する中、その手腕を見せてきたフローレスHCはタゴヴァイロアを選んだことに対して疑いよりも信頼を得るだろう。未来は今マイアミから始まろうとしている。

チームが全体5位でタゴヴァイロアを指名した瞬間にフィッツパトリックは自分の立ち位置を悟ったに違いない。だからと言って、ノマドワーカーのようにNFLのチームを渡り歩いた末、やっと落ち着く場所を見つけたフィッツパトリックにとって、この展開が重くのしかからないはずはない。

「色々な状況で控え選手になったことはある。だけど、ここはバッファロー以外で初めて自分をコミットして全力を尽くそうと思えた場所だった。俺のチームだって思えたんだ」とフィッツパトリックは語っている。

果たしてNFLのユニフォームに身を包んだ髭の哲人は、このまま見納めとなってしまうのだろうか。

「これが最後か? あれが先発したNFLでの最後の試合だったのか?」とフィッツパトリック自身も考え込んだ。

もしそうだとしたら、最後までとんでもないフットボール人生だったといえる。

【R】