“笑い者のジェッツ”を離れて新天地で活躍するシーホークスSアダムス
2020年11月18日(水) 15:22セーフティ(S)のジャマール・アダムスは鼠径部(そけいぶ)のけがで4試合を欠場し、今度は2連敗の中で肩の痛みを患っているが、それでもシアトル・シーホークスでプレーできるだけで満足しているという。
新たな契約を求めたアダムスは、7月にトレードによりニューヨーク・ジェッツから移籍している。だが最近になって振り返ってみると、ニューヨークを離れたことは新しい契約よりもはるかに大きな意味を持っていたと、率直に気持ちを表した。アダムスは『New York Post(ニューヨーク・ポスト)』の“Podcast(ポットキャスト)”番組である“All Things Covered(オール・シングス・カバード)”に出演した際に次のように語っている。
「ニューヨークではうつ病と闘っていた。俺にはそれを正直に話すだけの勇気がある。あの頃は負け試合から帰ってくると暗い部屋の中で呆然と座っていた。電話もテレビも切ったまま。父はそんな俺を見るのを嫌った。あまりにも心を痛めた父は、俺のエージェントに電話して“こんな息子を見るのは耐えられない。この状況から解放してやってくれ”と頼んだ。俺はフットボール以外の人生を犠牲にしていたんだ」
アダムスは0勝9敗でNFL内の単独最下位のジェッツを去り――まだその話題が続いていることはさておき――今は6勝3敗、NFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)西地区内で同率1位に立つシーホークスでプレーしている。ジェッツで過ごした3シーズンでアダムスは個人として自分を高めることに努めた。しかしながらジェッツはその3シーズン中の2シーズンで、今のアダムスが手にしている6勝よりも少ない勝ち数でシーズンを終えている。
アダムスはジェッツについて「勝つ気がないんだ」と話した。「正直に言って、ジェッツは笑い者だよ。(シーホークスは)NFLのあるべき姿だ。これこそ俺が夢に見てきたチームだ」
アダムスはそれでもジェッツになんとかして活力をもたらし、長期的な契約を結ぶつもりでいたと主張している。だが、あまりの敬意のなさにしびれを切らしたのだ。そして今になって振り返ってみると、永遠に終わることのない改革をしているチームでは、自分のフットボールへの情熱が満たされていなかったことに気がついたという。
「“俺をここに引き留めて一生ジェッツの選手でいてもらいたいなら、じっくり話し合おう”って俺はシンプルに言ったんだ。彼らが“延長契約を結びたい”と言ってきた後に。俺は十分に敬意を払ってもらえていないと感じていた」とアダムスは述べている。
そしてアダムスは今、奮闘しているシーホークスのディフェンス陣営を立て直そうと必死になっており、自身は5試合でタックル35回とサックを5.5回マークしている。同じ立て直しと言っても、太平洋岸北西部の優勝候補チームでそれをやるのと、3,000マイル(約4,800km)離れたゴッサムの混沌の中でやるのとでは、天と地ほどの差がある。
「もちろん契約金も上がった。でもそれ以上に俺はとにかくフットボールが大好きなんだ。この仕事を愛している」とアダムスは語った。「もう“改革の年”と聞かされるのはうんざりだ」
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