ビルズに敗れたコルツQBリバース、将来については未定
2021年01月10日(日) 22:19現地9日(土)の午後、ドロップバックでパスを投げたフィリップ・リバースは、エンドゾーンに向けて祈りを唱えた。しかしそれが答えられることはなく、これが彼にとってNFL最後のスローだったかもしれない。
リバースはオフシーズンに2,500万ドル(約26億円)の1年契約でインディアナポリス・コルツと契約しており、先行きは不透明な状況だった。11勝5敗でフィニッシュし、ワイルドカードチームとしてポストシーズンに到達したコルツにとっては有益な契約だったが、2021年以降を保証するものは何もなかった。
コルツのヘッドコーチ(HC)フランク・ライクは最近、2020年にパサーレート97を記録し、コンプリート率68%、タッチダウン24回でインターセプトが11回だったリバースについて、“まだ複数年”は戦えると述べている。コルツとしてはアンドリュー・ラックが突然の引退でフットボール界に衝撃を与えてから初めて、そのポジションに大きな不安を抱えずに済んだ。その安心料だけでも2,500万ドルの価値はあったはずだ。
「フィリップは偉大な選手だ。私は彼と素晴らしい関係を築いている」とライクは27対24でビルズに敗れた試合後、語った。「彼はこのチームの偉大なリーダーだ。そうしたことはそのうち自然となるようになるものだ。彼は1年契約だ。その決断にはさまざまなことが関わっている。彼はフィールドの内外で、今年チームにもたらしてくれると私が考えていた期待を上回ってみせた」
リバースには、引退後に故郷のアラバマ州で高校のフットボールコーチになるという合意がある。しかし、彼に退陣の準備ができたかどうかは不明のままだ。土曜日の結果が決断を容易にすることはないだろう。あと47ヤードでリバースはコルツを劇的な逆転勝利に導き、シーズンを延長することが可能だった。
「俺はこういう答え方をあまりしないんだけど、この一言に尽きると思う。俺と家族のために用意された神の意志がどうであれ、もしここインディでもう1年プレーできるんなら、オレたちはここにいるよ」とリバースは『The Athletic(ジ・アスレティック)』のザック・キーファーに語った。「もしそうじゃないなら、俺は野球帽をかぶり、南アラバマのサイドラインで高校フットボールのコーチをしているだろう。神の意志が何であれ、俺は実現したい。結局のところ、それが俺たちの決断の指針だ」
シーズンの終わりに珍しくないエモーショナルな状況は、リバースにとって新しいものではない。彼はロサンゼルス・チャージャーズがサンディエゴからの移転の瀬戸際にあった時にそれを初めて経験した。また2019年の終わりにも、行き先の定まらぬままロサンゼルスを去ることが明らかになった時も同じような状況だった。
彼は家族をフロリダに移し、次の在籍先が決まるのを待った。そして間もなく、旧知の友人だったライクのいるコルツの一員となった。リバースに残されたキャリアを考えると、インディアナポリス以外の行き先はないと思われる。
「17年目を戦い、40歳になろうとしていて、まだ最後のトンネルを抜けたかどうか分からないというのは余計にエモーショナルだと思うか? ああ、その通りだよ」とリバースは述べた。「めちゃくちゃ楽しいシーズンだったし、インディアナに来て、このフランチャイズでプレーしたことに後悔は一切ない」
後悔のないキャリアの終わり方というのは誰もが目指すところだが、ゲームを諦めることはそう簡単ではない。リバースがこれからもスポーツと関わり続けるのは当然のことだが、本当に引退するとなれば大きく異なる能力を求められる。また、コルツが彼のポジションの穴埋めとして誰にアプローチするかによっても変わってくる。カーソン・ウェンツやサム・ダーノルドといった若手が獲得可能かもしれないとなればなおさらだ。
一晩で答えが出ることはない。一方で、リバースの最後のプレーを目撃したことについては、ある程度の現実味を持って考えてもいいだろう――2021年にコルツがもう一度彼を呼び戻したら、どうなるかを思い浮かべながら。
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