コルツQBリバースが引退、17シーズンを過ごしたNFLから退き高校のコーチへ
2021年01月21日(木) 02:45フィリップ・リバースがフットボールキャリアを締めくくる。
NFL選手として17シーズンを過ごしたリバースが地方新聞『San Diego Union-Tribune(サンディエゴ・ユニオン・トリビューン)』のケビン・エイシーに引退の意向を明かしたのだ。
エイシーに対し、「潮時かなと。今かなってね」と話したリバース。
39歳のクオーターバックはインディアナポリス・コルツに移籍して最初のシーズンを終えたばかりだ。
ヘッドコーチ(HC)フランク・ライクは声明の中で「フィリップはこれまでに見たことがないほど最も激しいコンペティターであり、最も忠実なチームメイトだ。リーダーとしての彼の揺るぎない信念と一流の知性が、殿堂入りの可能性を秘めたフットボールキャリアにつながったのだと思う。フィリップはわれわれの試合をより良いものにしてくれたし、ナショナル・フットボール・リーグは彼という存在に恵まれて幸運だった」と述べている。
サンディエゴとロサンゼルスを拠点にチャージャーズの一員として16年を過ごした後、2020年シーズンを前にコルツに移籍したリバースは新チームに慣れていく上でアップダウンのシーズンを経験した。それでも、プレーオフでバッファロー・ビルズに敗れたとはいえ、ベテランQBのリバースはまだ十分にプレーすることを証明したと言えよう。
引退の決断はリバースの才能が失われたからではない。
リバースは「今でも“投げられるし、プレーするのが大好きだ”と言える。だけど、それは常にあるもの。高校のフットボールをコーチするのが楽しみだ」とも語っている。
リバースは引退後、アラバマ州フェアホープのセントマイケル・カトリック高校のヘッドコーチに就任する予定だ。その計画があったことで引退を容易に決断できたという。
「(引退の)決断を支えたのは高校のフットボールコーチになるという願望が高まっていたこと。ずっとやりたかったことなんだ。その思いが強くなっていた。待ちきれないよ」
リバースはNFL史上第5位のパスヤードを記録して現役を退く。6万4,440ヤードのパスを投げてきたリバースは421回のタッチダウンパスを決め、パス成功回数は5,277回、この2つの記録もランキング5位に名を連ねている。プロボウルに選出されること8回、2013年に年間最優秀カムバック賞を受賞してアイロンマンの称号も手にし、プレーオフを含めて252試合連続出場を達成した。2006年にチャージャーズのフルタイムQBとなって以降、一度も先発を逃したことはなく、8年連続して4,000ヤード以上を稼いだ記録はNFL史上3番目の長さだ。リバースよりも長く4,000ヤード超えを達成しているのはドリュー・ブリーズ(12回)とマット・ライアン(10回)だけである。
自らのキャリアを振り返って「最高だった」と言うリバースは「アラバマ州北部出身で、プロボウルに出たいと思いながら育った。やるしかなかった」と付け加えた。
殿堂入り候補に唯一差し障るとすればポストシーズンを長く戦ったことがないことだろう。それでも、2007年にAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)チャンピオンシップでニューイングランド・ペイトリオッツと対戦した際は、試合には敗れたものの、ACL(膝前十字靭帯)を一部断裂した状態でプレーし続けたこともある。
コルツは来シーズンもリバースの続投に関心を示していたが、リバースは今が退くタイミングだと判断した。
「終わりがリアルだと感じたのは今年が初めてだ。何年もそれについて話してきたけど、それは(引退)しないことが分かっていたから。今年は違った。今がその時のように感じたんだ」
リバースの決断により、コルツは今オフシーズンに常勝チームを探すベテランQBの注目を多く集めることになるだろう。ポストシーズンに進むだけのピースがインディアナにはそろっている。問題はジェネラルマネジャー(GM)のクリス・バラードが再びベテランのシグナルコーラーを囲い込むのか、今回は若手に手を出すのか、その判断次第だ。
【C】