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ランゲームに固執しながらもQBジャクソンとの長期契約を望むレイブンズ

2021年01月21日(木) 13:41

ボルティモア・レイブンズのラマー・ジャクソン【AP Photo/John Munson】

ボルティモア・レイブンズは希少な才能を有するクオーターバック(QB)と今後も長期的な関係を望んでおり、彼を中心にこれまでチームのアイデンティティを築いてきた。

これは驚くべきことでもない。だが念のためはっきりさせておくと、ヘッドコーチ(HC)のジョン・ハーボーは相当にQBラマー・ジャクソンを気に入っている。

現地20日(水)、ハーボーHCは「当然さ。絶対にラマーには長期契約を結んで欲しいと思っている」と話した。「そうなることは間違いない。実現したらそれ以上説明する必要はないだろう」

ジャクソンの契約を延長しなければハーボーHCは愚か者といえる。ジャクソンは現MVPであり、シーズン終盤にレイブンズを好転させてディビジョナルラウンドにまで導いた。とはいえ、ハーボーHCはチームのオフェンスを見直す必要がありそうだ。

レイブンズはランゲームでは突出しており、1試合あたりのヤード数では2季続けてリーグトップに立っている。レギュラーシーズン終盤にかけての数カ月でレイブンズは無敵に思われ、ランで突進する意志を相手ディフェンスに知らしめていた。

ところがプレーオフに入った途端、レイブンズは過去と同じ運命を辿ることになる。もちろん今回はディビジョナルラウンドまでにプレーオフで1勝を挙げているが、結局はハングリー精神旺盛なディフェンスに阻止され、折り悪くターンオーバーが重なり、敗退を余儀なくされた。

何かを変えなければならないのは確かのようだが、何を変えるかはそれほどはっきりしていない。2020年にレイブンズがパスゲームで目立っていなかったのは、その必要がなかったからだ。必要に迫られた時にはできることも証明している(マンデーナイトフットボールでクリーブランド・ブラウンズに圧勝した試合を参照)。レイブンズがあと一歩のところで勝てないのは、誰もが認めるナンバーワンレシーバーがいないからだと指摘する者もいる。例えばレイブンズを下したバッファロー・ビルズは、2020年はじめにそのような選手を獲得したことによりチームは空中戦に長けたオフェンスへと変貌を遂げた。

さらに言えば、レイブンズのラン優先のオフェンスがトップクラスのレシーバーを遠ざけているのかもしれない。

ハーボーHCはこれについて答えを提示している。

「誰かに来てもらうよう懇願するつもりはない」とハーボーHCは述べた。「スタッツや数字、キャッチ数にこだわる選手は願い下げだ。他にもプレーできるチームはいくらでもある。そんな選手とはむしろ対戦する方を楽しみにしている」

レイブンズのパスゲームとランゲームの差は激しく、1試合あたりのヤード数は前者がNFL内最下位だったのに対して後者はトップに位置する。だが、これはジャクソンにボールを投げる能力がないことを示しているわけではない。彼は空中戦を指揮する十分な能力を持っているのに対して、レイブンズがそのアプローチを取らないだけである。

過去2回のレギュラーシーズンで通算25勝7敗、ディビジョン優勝1回、プレーオフ進出2回という結果を考えると、現状に反論するのも難しい。それでもレイブンズのオフェンスにはまだ見ぬ可能性があるのではないかと思わずにはいられない。シーズン中盤にジャクソン自身もレイブンズのオフェンスは読まれていると口にしている。

わざわざことを複雑にする必要はないが、レイブンズがもう少し視野を広げようと決めた際には進んでやるべきことなのかもしれない。

レイブンズには他のチームほど走るルートにバリエーションがない、と指摘されたことについてハーボーHCは「1試合に40回もパスを出すスティーラーズほど複雑にしようとは思わない」と『ESPN』のジェイミソン・ヘンズリーに話している。「それは理にかなったことだ」

レイブンズは何も1試合で40回もパスを出す必要はない。ただ、オフェンスにもう少し変化を持たせた方がいいかもしれないという話だ。ビルズに敗れたディビジョナルラウンドの第3クオーター終盤でレイブンズは17対3と出遅れる。あともう1クオーター残っていたにもかかわらず、まるでこの時点で試合は終了したかのような雰囲気だった。そして脳しんとうを起こしてジャクソンが試合を去ると、勝つ可能性は一段と低くなった。

もちろんレイブンズは今のプレースタイルのままでも数多くの試合に勝てるだろう。しかし、優勝に向けた次の大きな一歩を踏み出すには、オフェンスに深みを持たせることが不可欠となる。ジャクソンとの長期契約を結ぶ前に、ハーボーHCと攻撃コーディネーター(OC)のグレッグ・ローマンが2021年に心を開くかは要注目だ。

【R】