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渇望してきた舞台についに立つバッカニアーズHCエリアンス

2021年01月25日(月) 17:17

タンパベイ・バッカニアーズのヘッドコーチ(HC)ブルース・エリアンス【AP Photo/Mike Roemer】

この世の中には正当な理由で適切ではないことをするということが、ままある。ブルース・エリアンスにとって、健康上の理由から2018年にコーチ業を退いたことがそれにあたるだろう。

エリアンスヘッドコーチ(HC)は自身を生涯のコーチであり、蹴り出されない限りゲームにとどまり続ける人間だと考えていた。しかし、3度のがんの手術や、10年にわたるその他の健康問題によって、エリアンスHCは妻クリスティンさんの手を取り、アリゾナ・カーディナルスを離れたのだった。

それは難しい決断だった。放送界に身を置いて、苦しさを和らげようとしたこともあった。だが、サイドラインや練習場の真ん中にいるような感覚は、もう味わえなかった。エリアンスHCは現場を欲した。エリアンスHCのような人間にとって、フットボールとは“Hotel California(ホテル・カリフォルニア)”のようなものだ。すなわち、チェックアウトはできても、決して離れることはできない。

エリアンスHCの自著の共著者であるラース・アンダーソンは「カーディナルスの最後の2年で、私はブルースと一緒に本を書いていた。彼は何度も私に、HCとしてスーパーボウルで勝つまでは自分のキャリアが終わるなどと考えられないと話していた」と振り返り、次のように続けた。

「彼がテレビに出ている頃もよく話をしていた。彼の人生にこの穴があるのは明らかだった。彼といるだけでそれを感じられるんだ。彼はまだNFLでの仕事を終えていないと感じていた」

フットボールの世界に復帰して2年目にして、エリアンスHCはこれまでにないくらい目標に接近している。エリアンスHCのチームであるタンパベイ・バッカニアーズは現地24日(日)にランボー・フィールドにて31対26でグリーンベイ・パッカーズを下し、第55回スーパーボウルへ駒を進めた。バッカニアーズは自分たちのホームであるレイモンド・ジェームス・スタジアムで、ディフェンディングチャンピオンのカンザスシティ・チーフスを迎え撃つ。

スーパーボウル出場10回目となるバッカニアーズのクオーターバック(QB)トム・ブレイディはこう言う。

「それが自分にとって何を意味するかは考えていない。それが他の皆に何を意味するのかを考えている。BA(エリアンスHC)にとって、素晴らしい偉業だ。彼のために、すごくうれしい」

おそらく、本の執筆で2年を共に過ごしたアンダーソンほど、エリアンスHCの感情の機微を知るものはほとんどいないだろう。エリアンスHCはここに至るまでの自分の旅を表現する言葉を見つけられないでいる。もしくは、それを自分のうちにとどめておく気なのかもしれない。しかし、アンダーソンはエリアンスHCの感情について考えがあるようだ。

「これは彼の夢だ。BAは私がこの世界で本当に大好きな人の一人。QBから自分を一緒に飲みたいクールなおじのように思ってもらいたいような人間を、愛さないでいられるだろうか? 彼の物語を真に学べば、なかなか彼に負けてほしいとは思えなくなるはずだ。このスーパーボウルに勝つことは、シンプルにBAにとってすべてを意味するんだ」とアンダーソンは語った。

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