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シーズン中に得られた知見が新型コロナ抑制につながることを願うCDCとNFL

2021年01月26日(火) 14:36

NFLロゴ【Aaron M. Sprecher via AP】

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は現地25日(月)に発行した書面の中で、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)を起こすウイルスの感染は15分未満の個人間の累積的な接触で発生することをNFLがシーズン中に発見したと述べた。このタイムフレームは、当初CDCが濃厚接触の定義に用いていたものだ。この結果、NFLはどういった要素がハイリスクな濃厚接触となるのかの定義――マスクや換気といった要素――を修正しており、CDCとNFLは特に学校や長期療養施設、製造所などの密集度の高い職場でウイルスの感染拡大を防ぐために、これらの知見が広く一般に適用されることを望んでいる。

CDCとNFL、NFL選手会(NFLPA)の医療専門家や疫学者が共同で製作したこの書面は、NFLのシーズンを通して日々行われた検査や接触追跡プログラムによる大量のデータに基づくもの。NFLは選手やコーチ、スタッフに連日行った大量の検査や、陽性の結果が発生した場合にただちに行われた接触追跡、ウイルスがチーム内でどう広まったかを判断するためにゲノム配列決定を用いた点などで、独特なケースとなっている。

しかし、シーズン開幕時からNFLは知り得たものを公共の公衆衛生機関と共有し、他の人々がパンデミックの中で舵取りしていく助けになることを希望していた。シーズンから得た知見や、プロトコルがどう進化したか――特に、対面でのミーティングを禁じた集中プロトコルの制定――は、他の状況でも有益な提言を内包している。

NFLのチーフメディカルオフィサー(医務部長)であるアレン・シルズ医師は「最大のインパクトを与えた介入は検査や追跡デバイスではないことを認識するのが重要だ。最もインパクトが大きかったのは全員のマスク着用、ミーティングを戸外で行うこと、対面でのミーティングを最小限に収めること、ダイニングルームの閉鎖であり、これらはフットボール以外の場でも広く適用できる」と話した。

また、同じく重要なのがマスクの適切な使用、空気の流れ、換気だった。それが――たとえ室内で6フィートの距離が取れる場合でも――最終的に直接対面のミーティングがNFLで禁止された理由であり、チーム施設での食事がすべて携帯できる形になった理由だ。食事を共にとる行為は脆弱性をはらむ部分だった。

さらに、この書面はハイリスクな濃厚接触があったと見なされた人物を隔離することの重要性も示している。シーズン中に行われたNFLプロトコルの調整は、ウイルスの拡散を抑えることを目的としていた。これまでにハイリスクな濃厚接触によって隔離されたうちの37名が、後になって検査で陽性になっている。

バーチャルミーティングや、練習中を含むマスクの常時着用、会食の除外を含む集中プロトコルは、10月の初めから陽性の結果が出たすべてのチームに適用された。11月中旬には全チームに集中プロトコルに従って運営することが義務づけられている。今回発行された文書では、チームが集中プロトコルに入ったケースの71%でハイリスクな接触が認められなかった。CDCらはこういった対策について“効果的な緩和措置”だと述べている。

シルズ医師は電話会見にて、ウイルスが試合中に伝染した証拠は認められなかったとコメント。検査が毎日行われたために感染した選手がフィールドに立った例は非常に少なく、試合中に選手たちが濃厚接触を持った時間も少なかった。観客を入場させた試合におけるアウトブレイクやクラスターも確認されていない。

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