QBワトソンを「取り戻すことが目標」と強固な姿勢を示すテキサンズ
2021年02月08日(月) 11:40ヒューストン・テキサンズはクオーターバック(QB)デショーン・ワトソンの獲得に興味を示すチームに対して、これまで公に伝えてきたのと同じメッセージを発した。
機嫌を損ねているスターQBをトレードする気は一切ない、と。
他のチームはテキサンズがその意志を貫き、いずれワトソンの気を変えられることに懐疑的なままだ。ワトソンは先月にトレードを要請しており、新しく就任したジェネラルマネジャー(GM)ニック・カセリオやヘッドコーチ(HC)デビッド・カリーとはいまだに連絡を取っていない。カリーHCは就任にとともにワトソンと連絡を取ろうとしたにもかかわらず、拒まれているようだ。
一方で他チームの上層部はワトソンについての電話やメールに対してテキサンズから返事すらもらえていない。話す機会を得られた一部チームの首脳陣によると、カセリオGMはワトソンをトレードするつもりはないと断言し、まずは関係を修復することに集中しているという。
テキサンズの胸中を知るある人物は、「彼を取り返すことが目標」とこの状況をまとめた。
0勝4敗で昨シーズンのスタートを切った前HC兼GMのビル・オブライエンを10月5日に解任してから、テキサンズは組織全体の見直しを行っている。評判の高いカセリオGMを1カ月前に採用したことにより、そのプロセスは加速。広範囲にわたって新しいHCを探し求めた結果、65歳のカリーHCを採用して周囲を驚かせた。カリーHCは今回のリーグ全体の人事異動の中で唯一HCの職に就いた黒人男性となっており、守備コーディネーター(DC)のラビー・スミスやQBコーチのペップ・ハミルトンをはじめとする功績のあるアシスタントコーチで周りを固めている。情報筋によると、全てはワトソンを中心としたチームを見据えた上での動きであり、チームとワトソン両者の利害を満たそうとしているとのことだ。
25歳のワトソンは、とりわけGMの採用にあたって十分に関与できなかったことに不満を抱いており、自分からはあまり公言せずに、その気持ちが収まっていないことを周りに知らしめている。
ワトソンは9月に4年1億5,600万ドル(約164億5,600万円)の延長契約を結び、テキサンズに2025年までとどまることになる。同時にノートレード条項も含まれているため、最終的なトレード先を決めるのはワトソンだ。ワトソンにとって最大の強みは、このまま姿を見せず、自分の不遇を世間が騒ぎ立てることによりテキサンズの新体制に不安を与えることにある。
だがテキサンズ側はワトソンを待ち続けることもできる。今後ワトソンがミニキャンプやトレーニングキャンプを欠席すれば、日ごとに罰金が科せられる。さらにテキサンズはワトソンに残っている8,254万ドル(約87億600万円)の保証額を無効にでき、ワトソンがチームを去ることを選べば2,700万ドル(約28億4,800万円)のサインボーナスのうち2,160万ドル(22億7,800万円)の支払いを拒否することも可能だ。
3月17日のフリーエージェンシー(FA)の開始や4月29日から5月1日にかけて行われるNFLのドラフトなど、一連の動きのカギとなる日程がこの先に控えている。他チームはQBの穴を埋める他の手段を検討するために、その都度ワトソンに対する何らかの回答が必要になるだろう。先ごろ33歳のQBマシュー・スタッフォードのトレードと引き換えにデトロイト・ライオンズが手に入れたものを考えると、テキサンズもワトソンのトレードで1巡目指名権を少なくとも3つは手にすることができ、金額もそれ以上になると他チームの上層部は考えている。
今のところトレードの話は一切ない。ワトソンもテキサンズもそれぞれの立場を譲る気はないようだ。
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