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シーズンを通して「全員が勝てると信じていた」とバッカニアーズQBブレイディ

2021年02月08日(月) 18:14

タンパベイ・バッカニアーズのトム・ブレイディ【AP Photo/Ashley Landis】

クオーターバック(QB)トム・ブレイディとニューイングランド・ペイトリオッツの別れはショッキングだったものの、ブレイディは契約を交わした日にすでに、素晴らしくも新鮮味をなくしつつあった20年の物語を閉じていた。ブレイディは常に今と未来に集中することを望んでいる。ブレイディがタンパベイ・バッカニアーズのジェネラルマネジャー(GM)ジェイソン・リヒトに最初に求めたものは、レシーバーたちの電話番号だった。そして、ブレイディはバッカニアーズの2020年シーズンが開幕するまでに、あとどれくらい時間が残されているかを正確に把握していた。

ブレイディが43歳にして始まる上り坂のきつさを知っていたことを思えば、現地7日(日)の試合結果も驚くべきものではないのかもしれない。やがてパンデミックの影響によって継続性が有利になると誰もが知ることになるシーズンにおいて、プレシーズンの時間が失われたことは、チームを移った者にとって特に不利になっていた。それにも関わらずの結果だ。

2007年以来、プレーオフ進出を果たしたことすらなかったチームにやってきたブレイディは、初めての挑戦でバッカニアーズをスーパーボウルにまで導いた。今回の勝利はブレイディにとって7度目の戴冠であり、スーパーボウルのMVPに輝くのも5回目のこと。なおかつ、旅の終わりはまだ見えていない。

勝利を決めた直後、ブレイディは表彰台で「ああ、僕たちはまた戻ってくる」と話した。

他の6度のスーパーボウル優勝と今回を比べることはなかったブレイディは「毎年が素晴らしい」と語りつつ「このチームは永遠にワールドチャンピオンだ。そのことを、僕らから奪うことはできない」と続けている。

ブレイディは第55回スーパーボウルが今季のバッカニアーズのベストゲームだと評価。チームのヘッドコーチ(HC)であるブルース・エリアンスは、ロブ・グロンコウスキーとアントニオ・ブラウンへのタッチダウンパスはブレイディの即興だったと明かした。

「彼は試合全体でとにかく見事なプレーをした。彼がフットボールを守った」とエリアンスHCは言う。

それこそ、バッカニアーズが今季のブレイディに求めていたことだ。ロースターは最初からその統制と正確性を必要として築かれたものだ。しかし、ブレイディには疲れ切ったチームに自信をつけさせるという仕事もあり、それを活気あふれる会話やテキストメッセージ、練習中のヘルメットへのタッチをもってやり遂げた。ブレイディは勝利までの道のりを、こう振り返っている。

「全員が勝てると信じていた。1年を通して、僕たちは自分たちを信じてきた」

シーズン半ばに苦戦したときも、決してくじけることのなかったブレイディ。日曜日の喜びは、記者会見を遮ってチームメイトに呼びかけた様子にも表れていた。

「ロビーG! やったな、ベイビー」とブレイディはグロンコウスキーに叫んでいる。

スーパーボウルチャンピオンのブレイディ。それは、ありふれたようでこれまでにはなかった姿だ。フットボール界がブレイディを舞台から降ろし、パトリック・マホームズを次のスターにしようとしたとき、ブレイディは再び自身の存在を主張した。

ロンバルディトロフィーを受け取るとき、バッカニアーズのオーナーであるジョエル・グレイザーは亡き父である元オーナーのマルコム・グレイザーの言葉を引きつつ、こう語っている。

「父にはこんな言い回しがあった。“先の道について知りたければ、そこに行った者に聞け”と。われわれは、その人物を見つけたのだ」

そして、トム・ブレイディの道はまだ終わっていない。

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