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「最悪」な試合からモチベーションを得るチーフスQBマホームズ

2021年02月08日(月) 23:53


カンザスシティ・チーフスのパトリック・マホームズ【AP Photo/Ashley Landis】

明確に終わりが訪れたときでさえ、何がどうなったのか把握しがたかった。カンザスシティ・チーフスのクオーターバック(QB)パトリック・マホームズはこれまで、ロケットのごとき右腕に常に答えをもっているかのようだった。マホームズが逃げまどい、絶望的なパスが通らないまま終わる姿など、まず見たことがない。しかし、たとえNFLで最高の選手であろうと、助けの手があまりに多く失われれば、そういうことが起こるのだ。

確かに、チーフスが第55回スーパーボウルにて31対9でタンパベイ・バッカニアーズに敗れたのは、そこにトム・ブレイディがいたからだ。また、マホームズに文字通り周囲のサポートが十分になかったせいでもある。

マホームズがいかにブレイディと直接対決するかに注目された試合ではあったが、いざふたを開けてみれば話の主眼はそこではなく、いかにブレイディが誰もが思っていたよりも完璧なチームに恵まれていたかにあった。マホームズでさえ、今回の試合ではチーフスにはバッカニアーズ戦への備えができていなかったと認めざるを得なかった。

「長い間で、俺が負けた中で最悪だ」とマホームズは試合後に話している。

チーフスにも、これが簡単な試合ではないことは分かっていた。チーフスのオフェンシブライン(OL)からは2018年のオールプロに選出されたライトタックル(RT)ミッチェル・シュワーツとプロボウラーのレフトタックル(LT)エリック・フィッシャーが欠けていた。チーフスは3人のディフェンダーがシーズン開始時とは別のポジションでプレーする状況を強いられた。チーフスがマホームズをそういった状況に置いたことはなく、この状況が問題であることは試合の早い段階で分かっている。

マホームズとチーフス攻撃陣が多いに苦しめられたのは、バッカニアーズ守備コーディネーター(DC)トッド・ボウルズのゲームプランがあってのことだ。

バッカニアーズのヘッドコーチ(HC)であるブルース・エリアンスは「彼に十分な賛辞を与えることなどできないほどだ」とボウルズについて述べている。

「彼らがいかに止められないかという話に、彼は少しうんざりしたんじゃないか。彼は相手をわれわれの前にとどめ、実にうまくタックルすするファンタスティックなプランを考えたと思う。パトリックはランによってわれわれを倒そうとしたんじゃない。われわれが一日中、彼を走らせたんだ」

第55回スーパーボウルはマホームズ時代に入ってからの数々の“初めて”があった試合でもあった。チーフスがタッチダウン0回で試合を終えるのは、マホームズが先発QBになってから初めてのことだ。マホームズ率いるチーフスが8ポイントを超える点差で敗れるのも初めて。また、マホームズはキャリア最低のパサーレーティング(52.3)を残している。

今言えることは、マホームズも人であり、他の皆と同じように助けを必要としているということだ。また、この敗北が今後のマホームズのモチベーションを高めることも、一つ確かなことだと言えよう。

「父はワールドシリーズで負けたけれど、今でも戦い続け、自分自身であり続けている。もちろん今は辛いけど、俺たちはもっと良くなる・・・。俺たちはこんなことに自分たちが何者かを決めさせたりしない」とマホームズは語った。

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