テキサンズQBワトソンの訴訟で裁判官が原告側に氏名公表を求める
2021年04月10日(土) 22:532人の裁判官が現地9日(金)、ヒューストン・テキサンズのクオーターバック(QB)デショーン・ワトソンに対して訴訟を申し立てている大部分の女性について、氏名を明らかにした上で再度申し立てを行うよう言い渡した。
テキサス州ハリス郡地方裁判所113番および270番法廷で行われた別々の審理で、ワトソンに対して起こされた22件の訴訟のうち13の原告について、2営業日以内に再告訴しなければ本件は却下されるとの裁定が下された。
22件の訴訟は全て、弁護士であるトニー・バズビーによって申し立てられており、原告にはこれまで匿名を意味する“ジェーン・ドウ”の名前が使われていた。ワトソンの弁護士ラスティ・ハーディンは裁定後に記者会見を開き、今後14人の女性が氏名を公表した上で訴訟を進めることでバズビーと同意したことを明らかにした。
この日の最初の審理では、270番法廷のデドラ・デービス裁判官が原告側の1人に対し、氏名を公表するよう言い渡した。これに続いて113番法廷のラビー・コリアー裁判官も12人の原告に本名での再告訴を求める判決を下した。
「本日の裁判手続きにおいて、ワトソン側のチームは大半の時間を費やして私を攻撃し、ワトソンを訴えた女性たちの身元が分からなければ、事件を適切に調査し、ワトソン氏を弁護できないと主張し続けた」と9日の判決後、バズビーは声明を発表した。「私は事前にワトソン側に、今回のケースの大部分の女性たちがハーディン弁護士に氏名を公表する許可をすでに出していることを説明し、私もいずれそうするつもりだということを伝えていた。事実、アシュリー・ソリス氏が説得力ある正直な声明を発表したのを見て、この勇敢な女性たちは勇気づけられ、重要な一歩を踏み出す力を得た。彼女たちは氏名を公表する準備ができている。時に訴訟においては結果的に有益ではないと判明する何かを強く要求する場合がある。私が法廷で述べたように、“要求する内容については慎重であるべき”なのだ。現時点で女性たちの氏名を公表することは、訴えの信ぴょう性をいっそう高めるということであり、私はこの勇敢で強い女性たちの代理人を務めることを誇りに思う」
ハーディンとバズビーはまた、今後全ての公判前手続きを113番法廷のコリアー裁判官の下で行うことについても同意しており、特定のケースについては申し立てがなされた裁判所で行われるという。
ハーディンは8日(木)に特別免除のための申請を行っている。申請の中で彼は、被告人が“適切に自身を弁護”するためには、裁判所が“法律に従って、原告が氏名を公表することを命じるべき”と主張していた。“テキサスの法律はミズ・ドウが匿名で民事訴訟を起こすことを認めていない”とハーディンは述べている。
ワトソンは、マッサージの施術中に性的暴行や不品行を働いたとして22人の女性によって訴えられた。22件は全て原告を“ジェーン・ドウ”と記載している。6日(火)に2人の女性が記者会見で氏名を公表し、アシュレー・ソリスさんが自ら発言を行い、ローレン・バクスリーさんの書いた手記をバズビー側の弁護士が読み上げていた。
ハーディンは9日の申し立てについて次のように説明する。
「われわれがまず明らかにしたいと述べているのは一貫して同意に関することだった。場合によってはそれに基づく性的行為だった可能性もある」とハーディンは述べた。「それが何なのか、どういったものなのか、回数や相手について言及するつもりはないが、そういうことは想定できるはずだ。われわれが常に強調している疑問は、いついかなる状況であっても、この青年が相手側と、双方が望んでいないような行為に一度でも及んだことがあるのだろうかということだ」
ハーディンは、9日の会見にワトソンを同席させることも検討したというが、結局はそうしないことを選んだという。
「最終的に、それは意味をなさないと考えた。だが彼は何よりも自分の名誉を回復したいと強く願っている」とハーディンは述べた。
7日(水)には『Nike(ナイキ)』がワトソンのサポートを停止したことを発表している。
ヒューストン警察は2日(金)にワトソンの告訴に関して報告書が提出された事を受け、調査を開始したと発表した。
NFLもワトソンへの申し立てについて現在調査を行っている。
ハーディンは、9日時点でまだ警察からもNFLからも連絡は来ていないと述べた。
「NFLと警察、いずれの代理人からも連絡は受けていない」と彼は述べた。「しかし、どちらも情報を集めていることについては認識している」
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