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フロイド氏殺害の元警官に有罪の評決でNFLコミュニティーが反応

2021年04月21日(水) 18:11


ヒューストンでジョージ・フロイドさんの死に抗議する市民【Aaron M. Sprecher via AP】

ミネアポリスの元警官でジョージ・フロイド氏を死なせた罪に問われていたデレク・ショービン被告が殺人と過失致死で有罪評決を受けた。フロイドさんの事件は世界中で抗議活動が巻き起こるきっかけとなり、アメリカ国内の人種差別主義と警察活動の見直しを強く求める声が上がっていた。

陪審は2日間にわたって10時間以上の議論を重ねた結果、現地20日(火)に評決を下した。ショービン被告は第2級過失致死、第3級殺人と第2級殺人の3つで全て有罪とされている。

46歳の黒人男性であるフロイド氏は昨年5月、45歳の白人警官(現在は解雇)ショービン被告に膝で首元を押さえつけられて死亡した。押さえつけられた時間はおよそ9分半に及び、その間フロイド氏は息ができないとあえぎながら訴え、周囲の人々は被告に対し、彼の上から降りるように叫んでいた。

この事件を受けて、国内だけでなく世界中で抗議活動が広がり、NFLコミュニティー内でも社会正義と人種的不平等について多くの人々が声を上げた。

昨年6月には複数の有名NFL選手が各種ソーシャルメディアアカウントを通して共通の動画を投稿し、リーグに“人種差別や黒人への組織的弾圧を糾弾し、選手たちの平和的抗議を禁じたことは過ちだったと認めよ”と呼び掛けた。翌日、NFLコミッショナーのロジャー・グッデルはその返答として、“以前にリーグがNFL選手の声に耳を傾けなかったのは過ちだった”と認める動画を投稿した。

シーズン中にはリーグ全体で“It Takes All of Us(皆でやらなければ)”や“End Racism(エンド・レイシズム)”といった言葉がレッドゾーンに記された。

20日の評決を受けて、NFLコミュニティーから次々と反応が出ている。

選手とリーグの職員向けに出された声明の中で、グッデルは次のように述べた。「本日、ミネアポリスで開かれたデレク・ショービン被告の裁判の評決は、失われた命を取り戻すものではありません。ジョージ・フロイド氏は、今ここにわれわれといたはずでした。われわれの心は今もフロイド家とともにあり、たとえ正義が成されようとも、痛み、怒りと不満が消えることはありません」

「重要なこととして、これで希望につながる理由が見いだせたとしても、われわれは自分たちの社会が明日にでも、より平等なものとなるような手助けを続けなくてはなりません。NFL選手やクラブと連携できることを誇りに思いつつ、われわれの社会のポジティブな変化に必要な重要な仕事にコミットし続けます」

ミネソタ・バイキングスからは次のような声明が発表されている。

「昨年、ジョージ・フロイド氏が亡くなってからの日々はミネソタのコミュニティー、とりわけ黒人居住者にとって非常につらい時期でした。今日の評決は、人種差別や憎悪といった耐えがたい問題への苦しみを最小化したり、解決したりするものではないものの、それがコミュニティーの治癒の始まりとなることを願っています」

「今こそ、平等な社会へと前進するために、相手に敬意を表して耳を傾け、コミュニケーションを取り、関わり合うことがかつてないほど必要とされています。断じて許されない有色人種への継続的暴力と憎悪をなくし、個人と集団の声を使って、対立と人種的不公平を終わらせることにコミットしなければなりません」

「われわれの仕事は始まったばかりです。われわれのコミットメントは揺るぎません。組織として、われわれは社会経済格差を減らし、人種差別と黒人の歴史についての教育カリキュラムの実施、法の執行と刑事司法改革の提唱という重要なエリアにおいて、すでに確立した基礎を強化していきます。これからもわれわれはポジティブで、トランスフォーム可能で、サステイナブルな変化のための代理人であり続けます」

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