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ブレイディとの関係を例えに、新人トレイ・ランスとの競争を覚悟するQBガロポロ

2021年05月06日(木) 02:03

サンフランシスコ・49ersのジミー・ガロポロ【AP Photo/Steven Senne】

ジミー・ガロポロはこれから選ばれし自らの後継者と行動をともにすることになる。ガロポロがこの必然的なトランジションにどう対処するかはまた別の話になるだろう。

先週末に開かれた2021年NFLドラフトでサンフランシスコ・49ersは全体3位でノースダコタ州立大学のクオーターバック(QB)トレイ・ランスを指名した。49ersはドラフトに先だって取りまとめたトレードでクオーターバックに長期的なオプションを手に入れるべく、複数の1巡目指名権と引き換えに全体3位の指名権を確保、この1カ月にわたる多くの期待(と多くの推測)に終止符を打った。

ただ、ガロポロはこれが49ersにおける自身の終わりの始まりだとは思っていないようだ。もしかすると、現在のスコアを非現実的に見ているのかもしれない。

現地4日(火)、『ESPN Radio(ESPNラジオ)』に出演したガロポロは「これで一周りした感じだね。このNFLキャリアでは新たにやってくる若手としてスタートする。トム(ブレイディ)がそのコツを教えてくれたようなものかもしれない。俺たちの競争はすごく良かったと思う。ルーキーとして、若手のプレーヤーとして本当に成長させてもらった。だから、自分とトレイの関係もそんなふうにできたらいいね。ただ、こういうのは自然と起きるもの。何かを誰かに強制することはできない。なるようになるだけさ」とコメントした。

ガロポロは、かつては自らも伝説的な選手、トム・ブレイディの後継者として注目されていたことを指摘したいのだろう。ただ、ガロポロはフランチャイズが万が一の場合に備えて計画を立てるような伝説的な存在とは言えず、必要最低限の能力である可用性が最も重要でありながら、同時に都合の悪いものとも言える。ランスが加入したことにより、ガロポロの存在意義はプロとしてのキャリアを全うするためのヒーローではなく、ブリッジ的なクオーターバック、あるいはメンターとしての価値がメインとなりそうだ。

確かに、これら2つの状況は大きく異なる。ガロポロはイースタンイリノイ大学からニューイングランド・ペイトリオッツにドラフト2巡目で指名され、ブレイディの後ろに座って学び、後継者にふさわしいプレーヤーに成長する可能性があると考えられていた。一方でランスはガロポロの仕事を引き継ぐことが期待されている。49ers首脳陣は今もガロポロの関与を望んでおり、ランスが簡単に先発の座を奪えるとは考えていないだろうが、それでも、この先に長い道のりが待つ発達的な見通しをつかむために、3つの1巡目指名権を交換することはないだろう。

一朝一夕にはいかないかもしれないが、いずれその時は来る。ランスは、とりわけガロポロがケガで欠場を余儀なくされる状態が続けば、何年もガロポロの後方に座っているような未来とはならないだろう。それでも、ガロポロを獲得するためのパッケージ――それに伴うキャップ軽減も含む――を見逃すには惜しいと考える買い手が49ersにオファーをもたらさない限り、彼らの2021年はチームメイトとしてスタートする。

ガロポロは『CBS Sports Radio(CBSスポーツラジオ)』の中で「彼がここにくれば、俺たちの間に競争があるのは分かっている。自分がニューイングランドにドラフトされたときに、トムとそうだったようにね。でも、結局のところ、自分が求めていけるのはチャンスだ。競争の覚悟はできている」と話した。

ガロポロの名誉のために述べておくと、彼は少なくとも公の場では今回の全体的な発展について信じられないほどポジティブであり、ほぼ現実離れしているとも言える。100万ドルの笑顔を持つガロポロはマイクの前では確かに正しいことを口にしている。

カイル・シャナハンHC(ヘッドコーチ)とジョン・リンチGM(ジェネラルマネジャー)はこれまでのところ、ガロポロより積極的に発言しつつも、同様に前向きな姿勢を見せている。少なくとも、彼らの間には同じ考えがあるようだ。

「コミュニケーションはうまくいっている」と明かしたガロポロは「伝わっていないことは何ひとつなかった。すべてがテーブルの上に置かれている。自分はフットボールをプレーする機会を得られたことに満足している。結局、俺はそのためにここにいるわけだし、そのために契約したんだ。試合に出て、勝利し、優れたフットボールをプレーする機会がある限り、自分に追い求められるのはそれだけだからね」と付け加えた。

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