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二刀流の大谷翔平に注目!  NFL界の大谷とは?

2021年05月27日(木) 11:52

ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平【Jae C. Hong/AP】

スポーツ界が盛り上がっている。

50歳のフィル・ミケルソンがゴルフのメジャー選手権の最年長ウイナーになった。ニューヨーク・ニックスが久々にNBAのプレーオフに登場し、マディソン・スクエア・ガーデンはメッカとしての勢いを取り戻した。フリオ・ジョーンズとアトランタ・ファルコンズの関係が、通常ならば静まり返っているはずのNFLカレンダーをにぎやかにした。

しかし、そのどれもが、野球で起こっている歴史的なセンセーションと比べれば見劣りする。ロサンゼルス・エンゼルスのスターである26歳の大谷翔平は、MLBシーズンの最初の四半期に、打者として、そして投手として、圧倒的な力を発揮している。現地25日(火)を迎えた時点で14号のホームランを数え、防御率2.37を記録していた大谷は、この日に15号ホームランを放った。大谷は二刀流のスターだ。この選手と真の比較に値する選手となると、ベーブ・ルースの時代にさかのぼらなければならない。大谷は文字通り、ベーブ・ルース級の選手なのだ。

大谷の比類ない才能は一つの疑問を生じさせる。フットボール界における大谷と言えば、誰がいるのか?

無論、リンゴとオレンジは比べようもない。しかし、今はNFLの5月だ。果樹の森を探索する時間は十分にある。大谷はライバルに恐れられるスラッガーであると同時に、トップクラスの先発ピッチャーだ。野球界で最も求められる2つのスキルを有しているということになる。フットボールの世界にそんな選手がいれば、その価値はまさに天文学的だ。

賛否両論だろうが、一つの考え方からすれば、圧倒的なエースピッチャーは野球において最も重宝される存在だと言える。2019年にフリーエージェント(FA)になったとき、ゲリット・コールがニューヨーク・ヤンキースから3億2,400万ドル(約353億2,000万円)を約束された理由もそこにある。その存在は大きい。彼らはシーズンを通じてチームを導き、プレーオフでより高みへと連れていく。フットボール界でそれにあたるのはもちろんクオーターバック(QB)で、スポーツにおける最も重要なポジションであることに疑問の余地はない。つまり、われわれの大谷はフランチャイズQBだ。

少し寄り道をしよう。NFLチームはQBの扱いを実に大事にしている。思い出してほしい。このスポーツでは、QBたちはプラクティスで赤いジャージーを身に着ける。良くない接触を受けないようにするためだ。二刀流の選手自体は、近年のNFLの世界ではよくあることだった。とは言え、複数の役割を担っているQBとなるとお目にかかったことはない。QBパトリック・マホームズがデイフェンス陣でプレーするよりは、まだカンザスシティ・チーフスのチアリーダーとして活躍する可能性の方があるだろう。

フットボール界の大谷は、この業界特有の想像性に欠け、安全な方向に動くロジックで抑圧されることのない存在だろう。守備のポジションもプレーするスターQBが、おそらく野球界の強力なスラッガーに値するだろう。才能あるエッジラッシャーや何でもできる“マイク”ラインバッカーあたりだろうか。・・・いや、エリートのコーナーバックはどうだろう。恐れられるホームランヒッターのように、才能あるカバーマンは直接的にも間接的にも試合に影響を与える。ピッチャーたちは野球界の大谷にストライクを投げるのを恐れている。それと同じように、フットボールの守備選手である大谷の近くにスパイラルを放りたいQBはいない。

そういうわけで、フットボール界の大谷はフランチャイズQBにしてシャットダウンコーナーということになった。もちろん、これがもっともらしく見えないのは承知の上だ。ただ、これだけは言えるのは、大谷は日本で二刀流としての自己を確立したからこそ、MLBでこのユニークな機会を得たのだ。今のNFLのどこかに大谷がいないなどと言えるだろうか? システムの制約によって、自らの能力を最大限に発揮するチャンスが得られていないだけで。

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