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新型コロナ陽性で変わったスティーラーズDLタイソン・アルアルの運命

2021年05月31日(月) 12:02


ピッツバーグ・スティーラーズのタイソン・アルアル【AP Photo/Gary McCullough】

ベン・ロスリスバーガーからジュジュ・スミス・シュスターまで、ピッツバーグ・スティーラーズのオフシーズンは驚きの、そして、注目すべき復帰によって彩られていた。

その中でもおそらく最も注目すべきはディフェンシブライン(DL)タイソン・アルアルの再契約だろう。

スティーラーズが2020年の守備陣に抱えていた多くの元1巡目指名選手たちの一人であるアルアルは、もともとはジャクソンビル・ジャガーズからドラフトで指名を受けており、今回は再びジャクソンビルに戻る見込みだった。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染したため、アルアルはジャクソンビルへ飛んで新契約にサインすることができなかった。必然的に、アルアルはピッツバーグを出ることなく、スティーラーズと2年の再契約を締結している。『NFL Network(NFLネットワーク)』のトム・ペリセロが3月27日に報じたこの奇妙な道のりについて、アルアルはチーム合同練習(OTA)の場で共有している。

「クレイジーなバックストーリー:情報筋によれば、タイソン・アルアルはジャガーズと契約するはずだったものの、COVIDの検査で陽性だったために移動できなかった。彼はピッツバーグに夢のわが家を構え、子どもたちは学校に通っており、10日の間に考えた彼は残ることを決めた」

アルアルはチームのウェブサイトで「あの頃はきつかった。俺と家族は自分たちがここピッツバーグに残ることを望んでいると分かっていたけれど、合意には達していなかったからな」と振り返っている。

「そこでCOVIDにかかり、おかげでピッツバーグに残りたいという気持ちについてもっと考える時間ができた。ここで何人かのチームメイトと話し、切り替えることにした。ジャクソンビルが俺の心を変えたということじゃない。ジャクソンビルが俺に熱心に声をかけてくれたことにとても感謝している。けれど、結局のところ俺はピッツバーグ・スティーラーズと一緒にいることや、ここでチャンピオンシップを追いかけることがすごくうれしいし、ありがたく思っている」

2020年の先発10試合は、スティーラーズにいた4年間で最も多かった。それにもかかわらず、アルアルは2010年NFLドラフトの全体10位で自分を指名したジャガーズに戻ることに合意していた。デュバルで7シーズンを送ったアルアルはそこに家も構えたが、すでにこれは売却してピッツバーグに自宅を保有している。また、アルアルの残留を望むチームメイトたちもここで得ている。

「ジャクソンビルに家を持っていたけれど、去年の終わりに売ったところだったんだ。もしかしたらそれも要素の一つだったかもしれない。離れた後で、最初から全部やらなきゃいけないってことが」と言うアルアルは次のように続けた。

「でも、ここのチームメイトたちは俺に求められているという感じを与えてくれる。彼らは俺に戻ってほしい、俺が戻ることが必要だと言ってくれた。そこにはいろいろな感情があった」

「その次の日にジャクソンビルに(契約を結ぶために)飛ぶ予定だったんだ。そこで自分がCOVID-19の陽性だと検査で分かった。感染しているなんて思いもしなかった」

「でも、検査で陽性だったから、契約にサインするために飛行機に乗ることができなかった。すべてのプロセスを通じて、契約内容に合意する前でさえ、チームメイトたちやダンバーコーチ(DLコーチ)までもが連絡をくれて、俺を止めて、俺が残ることを望んでくれた。妻と俺は自分たちが望む選択についてたくさん話し合った。ジャクソンビルとの契約内容に合意した後も、俺たちは話し合ったし、祈っていた。(ピッツバーグに残ることが)俺たちの家族にとってベストの選択だと感じていた」

ジャクソンビルの面々にとっては明らかに適した決断ではなかった。アルアルはそれを理解し、その側面について後悔しつつも、ピッツバーグにいられることを喜んでいる。

アルアルは『TribLive』に対し「いろいろな感情があった。ジャクソンビルの人たちとは個人的な関係があったし、俺はこの過程の中で彼らを傷つけた。でも、スティーラーズにいられることに、自分が好きなことを好きな場所でできることに感謝している」とコメントした。

感染症、楽しいわが家、心変わりに導かれた奇妙な旅路の中で、アルアルは結局、行きついた場所から離れることはなかった。

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