オフ中のバスケは「ジョーダンのように引退した」ブラウンズDEギャレット
2021年06月03日(木) 22:42山のように巨大、といってもその大きさを伝えきれないくらい立派な体格を誇るクリーブランド・ブラウンズのディフェンシブエンド(DE)マイルズ・ギャレットは、ソーシャルメディア上ではかなり多忙な毎日を送っている。
ギャレットが投稿する動画は、かなりの重量を持ち上げたり、彼のサイズでは普通跳べないような高さまで跳んだりしているところを映したものだが、大抵この時期になるとギャレットは自分の運動能力を別の競技場で発揮することが多い。バスケットボールのコートだ。
過去にはダンクを決めてレクリエーションセンターのバックボードを砕いたこともあるギャレット。NBAの元スターセンターであるシャキール・オニールほどではないが、ギャレットは公共のコートで見かける人の中では最も巨体だと言える。このオフシーズンの間にギャレットはウィンドミルダンクを叩き込み、コーナーからの3ポイントシュートを沈め、それ以外にもありとあらゆる攻撃を不運な相手に食らわせている。
そんな彼をまだ見たことがない人は、おそらくこれからも見ることはできない。なぜなら、ブラウンズのヘッドコーチ(HC)ケビン・ステファンスキーがギャレットのそんな日々は終わったと言っているからだ。
「彼は引退した。終わりだ」とステファンスキーHCは現地2日(水)に宣言した。
合間のバスケットボールのキャリアについて聞かれギャレットは、今は終わりにしたが、それが永遠ではないかもしれない、と記者団に笑顔を見せながら話している。
ギャレットは水曜日に「(マイケル)ジョーダンの引退みたいなもんだよ」と得意げに笑みを浮かべて話した。「野球をかじってみて、その後はバスケもかじってみた。これからは自分の得意なこと、普段やっているフットボールに戻って、パサーへのラッシュやランの阻止をしなきゃならない。ただ来シーズンのことは分からないぜ。バスケに戻るかもしれないし、野球かもしれない。どこかのチームに入れるか試してみるかもしれない。選択肢はいくらでもあるさ。でもまずは本業に集中する」
他のスポーツですでにプロとしての健全なキャリアを積んでいるギャレットは、バスケットボールがビジネス上の最善の決断ではないことに気づいている。そんな経験をしたプロスポーツ選手は彼が初めてではない。ニューヨーク・ヤンキースのファンであれば、三塁手のアーロン・ブーンがバスケットボールで負傷したことで2004年のシーズンを棒に振り、チームを離れることになったのを思い出すだろう。カンザスシティ・チーフスはスーパースターのクオーターバック(QB)パトリック・マホームズがこの二の舞とならないよう、早々にオフシーズン中のバスケットボールを止めさせている。ギャレットも同じだ。
2020年のギャレットと比べて違うのは、彼の呼吸器系が今は健康であること。昨シーズンの後半に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の長引く後遺症に苦しめられたギャレットは、「昨年のCOVID-19以来、最高の気分だ」と話し、弱った肺に苦しまなくて済むことは「素晴らしい気分だ」とつけ加えた。
ギャレットはシーズン中に経験した症状が、自分のように滅多に試合から退場せず、ほとんどプレーを休まないことで知られる選手にとって、驚くほど限定的なものであったことを説明するために、いくつかの啓示的な内容も提供している。
「運動能力に関してはもう大丈夫だと思っていた。コンディション的には50パーセントといったところ」とギャレットは振り返る。「それでも(第13週の)テネシー・タイタンズ戦の時ほど頻繁に、しかも試合の早い段階で酸素補給をしなければならなかったことはないと思う。スナップ数はそれほど多くなかったはずなのに、必死にプレーしていた」
「疲れてくるとまずはプレーについていけなくなるから、その場で何をすべきかを考えようとする。それを考えていると、パスラッシュの動きやランブロックの交わし方といったそれ以外の選択肢やオプションを考える余裕がない。プレーを思い出すことだけで精一杯だとディフェンシブタックル(DT)との連携まで考えられなくなる。あっという間に全てがうまくいかなくなるんだ。そうすると、手を使ってできる代替手段も考えられないから一つの動きに頼るしかなくなる。そういったことがだんだんと大きな負荷になる。だから、(その場で)自分のコンディションを取り戻すことに専念するしかなかった」
「1クオーターか1クオーター半くらいで体力の限界だったよ。今までそんなことはなかったはずだ。そういう目に遭わなくて済むのは本当にうれしい。回復できて良かったし、俺や他の誰かに同じようなことが起こらないことを願っている」
それでもギャレットは戦力になっていたが、新型コロナウイルスに感染する前のように、ディフェンス部門の年間最優秀賞候補にふさわしいパフォーマンスとまではいかなかった。いつも3つのダウン全てでフィールドにいるギャレットに慣れている視聴者は、サイドラインで大きく息をしている映像が放送されるまでの1プレーか2プレーの間、その姿を探すことになった。
そんなつらい経験と、ひとまずバスケットボールも過去のものとなったギャレットは、2021年に向けて新たな高みを目指して今週のOTAに臨んだ。
「前の日の自分を常に超えたいと思っている」とギャレットは話す。「俺は常に向上しなければならない。人生で変わらないことなんて何もないんだ。全ては良くなるか悪くなるかのどっちかだ」
【R】