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重圧のかかるドルフィンズ2年目QBタゴヴァイロアに注目が集まる

2021年07月06日(火) 11:20


マイアミ・ドルフィンズのトゥア・タゴヴァイロア【AP Photo/Doug Murray】

NFLのクオーターバック(QB)というのは常に厳しい目で見られるものだ。しかし、時には少しやり過ぎてしまうこともある。例えば、6月中旬のミニキャンプで、マイアミ・ドルフィンズのQBトゥア・タゴヴァイロアが見せたパフォーマンスに対する姿勢がまさにそれだ。2年目を迎えるタゴヴァイロアが練習中(台風のような天候の中)に5つのインターセプトを投げ、まるで世界がひっくり返ったかのような騒ぎとなった。

問題は、タゴヴァイロアを批判することで大局観を見失ってしまったことだ。この6月の練習の翌日にヘッドコーチ(HC)のブライアン・フローレスは記者たちとの電話会議の中で次のように述べた。

「練習とは、QBに限らず、どのポジションにおいても何がうまくいき、何がうまくいかないのかを確認し、そこから学び、調整し、改善していくための時間だと考えている。いくつかの投球を試してみて、プレーとして成功させるために微調整をすることだってある。やってみなければそういうことだって分からないだろう?」

フローレスHCのこの考え方は、ずっと前からフットボールに対する考え方として植えつけられていたのだろう。彼の現在の視点は、長年ニューイングランド・ペイトリオッツのビル・ベリチックHCの下で経験した、練習中はチャンスにかけてみることが当たり前とされた環境との関連性を考えずにはいられない。QBジミー・ガロポロが2シーズン目のトレーニングキャンプの練習で5つのインターセプトを投げたのも、QBトム・ブレイディがたびたび不満を募らせてはフットボールを観客に向けて投げ、さまざまな理由で罵詈雑言を吐くのも、特に春から夏にかけての練習はQBが自分自身を、そして時にはチームメイトを試す機会となるのだ。

タゴヴァイロアはこれから2020年のシーズンから残っているチームメイトと、1巡目指名のワイドレシーバー(WR)ジェイレン・ワドルや、フリーエージェント(FA)から獲得したWRウィル・フラーなど、彼の仕事を楽にするために新たに加わったチームメイトの両方から信頼を得なければならない。

タゴヴァイロアのルーキーシーズンはタッチダウン数がターンオーバー数の2倍(14対6)であったにもかかわらず、多くの人は期待外れだったと評価した。何人かの匿名のチームメイトは、ドルフィンズが連勝する中でベテランパサーのQBライアン・フィッツパトリックが活躍していたにもかかわらず、第7週のバイウィーク明けからフィッツパトリックを差し置いてこのアラバマ大学のスターQBだったタゴヴァイロアがなぜ先発することになったのかを不思議に思っていたと報じられている。その後オフシーズンに入ると、ドルフィンズは(性犯罪疑惑が浮上する前まで)QBデショーン・ワトソンを積極的に獲得しようとしているとか、他のQBを1巡目で指名することを検討しているとか、さまざまな情報が飛び交うようになった。結局これらのうわさが実現することはなく、2年目を迎えたタゴヴァイロアは、自分がもっと良くなるしかないことを理解した。股関節の手術から1年が経過し、彼はすでに身体的にも精神的にも向上していることを実感している。

5月下旬にタゴヴァイロアは、「俺が言いたいのは、プレーブックを必ずしも本当によく理解していなかったということで、それは他の誰のせいでもなく、俺のせいだ」と話していた。「俺が入団した頃のプレーコールはシンプルだった。でも今はよりコールにも馴染んで、自分なりに策を考えられるようになった」

これはつまり、昨年は保守的にプレーしすぎたことを自覚しているとも言える。タゴヴァイロアのパスアテンプトあたりの平均飛距離は6.3ヤードで、対象となるQBの中では下から3番目。そして驚くべきことに、この数字はサードダウンで急激に低下して1アテンプトあたり4.7ヤードとなり、35人のQBの中で34位だった。彼より低かったのはシカゴ・ベアーズのQBニック・フォールズだけだ。ここで話は6月中旬のミニキャンプでの5つのインターセプトに戻る。

6月15日にタゴヴァイロアは「ミニキャンプ初日にチームが集中していたのは、とにかくアグレッシブにボールをダウンフィールドに運ぶことだ」と述べていた。「もちろん、賢くプレーしたいとは思うけど、もしも失敗する機会があるとすれば今がその時だと思っている。俺たちはどんなパスを通すことができるか、カバレッジの中でどんなパスを出せるかを試して動画で確認し、そこから学んでいる」

タゴヴァイロアが5回のインターセプトを喫した練習後にフローレスHCは、「トゥアが殻に閉じこもっているとは思わない」とコメントした。「彼にはとにかく積極的な姿勢を続けるように言っている。この時期を利用してボールをできるだけダウンフィールドに運ぶ練習をして、そこから調整や修正を加える。次の日もまた同じことを繰り返す。それがQBの練習としては通常の流れだ」

フローレスHCとジェネラルマネジャー(GM)のクリス・グリアはドルフィンズが次のステップに進むためのプログラムを構築してきた。だが、それがどれだけ大きなステップになるかは、この若きQBにかかっていると言える。否応なしにも、タゴヴァイロアがドルフィンズで実力を証明できる時間は刻々と過ぎていっているのかもしれない。

【R】