NFLのトレーニングキャンプは競争、準備、改善、評価のためのものだ。また、各チームの当面の方針を決定するための重要な期間でもある。

ニューイングランド・ペイトリオッツのヘッドコーチ（HC）ビル・ベリチックは、少なくとも今のところ、クオーターバックにそのような判断を下している。このポジションにドラフト1巡目の指名権を使い、ベテランのキャム・ニュートンの給料を上げてなお、ペイトリオッツが想定していたプランから逸脱する気配はない。チームが想定するプランは、ニュートンを先発させ、その間にマック・ジョーンズを成長させ、シーズンが進む中で2人の状態を見極めることだ。

ただ、現地7月31日（土）にベリチックHCが報道陣に明かした発言は興味深く、ペイトリオッツの通常の評価プロセスを伝えつつも、クオーターバック勢の状況についてはそれほど関心を持っていない様子を見せた。

「われわれは全体の状況を見極める必要がある。どのポジションの選手であれ、1回や2回のプレー、あるいは1日のプレーで評価したいとは思わない」とベリチックは述べ、次のように続けた。

「安定性という観点は常に重要だし、もちろん生産性も重要だ。それらがうまくいけばいいが、難しい決断になるだろう。ただ、どうなるかはそのうち分かる。まずはプレーさせてみて、彼らのパフォーマンスをもとに、チームにとって最善だと思うことをやりたい」

この発言からはベリチックHCが今もクオーターバック陣を評価している様子がうかがえたため、スターターを指名する時期についての質問が飛んだものの、ベリチックHCはその回答をもって即座にクオーターバックに関する潜在的な懸念を払しょくしている。

「いや、つまり、キャムがうちの先発クオーターバックだ、と、そう言ったつもりだが」

基本的にベリチックHCは、ペイトリオットになって1年のニュートンしか知らないにせよ、自身が把握しているものを使う方が楽だと考えているのだ。今のこの状況からジョーンズが先発の座を射止めるには圧倒的なプッシュが必要になる。

キャンプでの競争に関して、この時期のヘッドコーチがよく口にするような話に戻したベリチックHCだが、多忙なオフシーズンを過ごしただけに、その言葉には真実味が加わったように見える。誰がセンターからスナップを受けるかということだけでなく、それ以上に理解しなければならないこともある。

「その通り。誰もがゼロからスタートするのだから」と話したベリチックHCは「繰り返しになるが、私たちは全員、自分自身を再確立しなければならない。これは、他の多くの選手にも言えることだ。あなたは心の中で彼らがスターターだと思っているだろうし、おそらく、その予想は当たるだろう。しかし、彼らは全員、自分のポジションを再び確立していく必要がある。これはチーム全体に言えることで、特定のポジションに限ったことではない」と続けた。

ペイトリオッツはトム・ブレイディがいない最初のシーズンで、フランチャイズの歴史の中でも重要な局面に立たされている。今春にはそれなりの費用をかけたとはいえ、資金があっても、それに見合った成果が出なければ意味がない。採算を合わすための活動はすでに始まっており、司令塔を超えて広がっているが、クオーターバックが要となることは間違いないだろう。

現時点（そしておそらくは近い将来）において、不可欠な存在はニュートンに他ならない。

【RA】