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カウボーイズQBプレスコットの焦点は勝利のみ、「6,000ヤードも投げるつもりはない」

2021年08月13日(金) 18:16

ダラス・カウボーイズのダック・プレスコット【AP Photo/Michael Owen Baker】

ダック・プレスコットがどれほど強く成功を欲しているかは『Hard Knocks(ハード・ノックス)』最初のエピソードを20分見ただけで分かる。

フットボールから離れている間に彼の中には、フィールドに立ち、可能な全てのレップスに加わりたいという思いが募っていた。キャンプ序盤、オーバーユーズを理由に練習から外された彼は、現地10日(火)に公開されたばかりのエピソードでも分かる通りに怒りの声を上げていた。再びケガをしてしまったことも影響しているのだろう。

だが、プレーしたいという願望と、最終的にカウボーイズのショーを完全に支配することを混同してはいけない。プレスコットはパスの記録を塗り替えるためにやっているのではない。勝利を積み重ね、タイトルを追うためにやっているのだ。

「俺は6,000ヤードも投げるつもりはない。正直に打ち明けるならね」と11日(水)に彼は足首に大ケガをするまで見せていた昨シーズンのペースの再現を狙っているかとの問いに答えた。「それは、ランをあまり使わないことを意味する。そうなると、俺たちはバランスの取れた勝てるチームになるために必要なことをしていないことになる。もちろん、そうした数字は素晴らしいと思うし、それを破るとか、自分で記録を持つとかはすごいことだよ。でも、今の俺の頭の中にそれはない」

「これまで言っているように、俺はNFLのベストオフェンスになりたいんだ。そのための最善の方法として、俺があまり多くのヤードを投げなくても、俺たちのランゲームが機能していれば、コンプリメンタリーフットボールができていることになり、俺たちは多くのゲームに勝てる。もしそうなら、俺はそれほど第4クオーターで巻き返しを図らずに済むはずだし、最初の5試合でああいう数字につながった2分間のドリルを多くやらなくても済むはずだ」

シーズン序盤、試合の流れを取り戻すことを強いられ、抜けの多いディフェンスの埋め合わせをしなければならなかったプレスコットは2020年にそれを何度もやっていた。プレスコットがシーズン終了となった頃には、カウボーイズは完全にオフェンス頼みのチームとして知られるようになっており、ゲームプランの修正は簡単なものではなかった。

守備コーディネーター(DC)マイク・ノーランが去り、元アトランタ・ファルコンズのヘッドコーチ(HC)ダン・クインが後任に収まった。その後も複数の人事異動が発表され、2020年よりは対戦相手にもっと抵抗できるようになるのではないかとの望みをカウボーイズに与えている。

プレスコットが数字より勝利を重視しているのは分かった。だが、彼がもう一度ケガの前と同様のプレーを見せたとしたら、年間最優秀カムバック選手賞を与えずにいるのは難しいだろう。

それを尋ねるのはやめが方がいい。

「そういうのは正直考えていないかな。俺はこのチームのために最高のクオーターバック、勝てるクオーターバックになりたいんだ」とプレスコットは言う。「他にたくさんのチームのゴールやチーム賞があるから、自分への個人の賞よりそっちを優先している。このチーム内に限らず、リーグにケガをした人は大勢いる。その中の誰であってもそれは特別だろうし、素晴らしいことだと思うよ」

「でもそれは必ずしもケガをした人に限らないし、俺は彼らを代弁するつもりはないんだけど、みんな目指して努力しているものなんじゃないかな。俺は自分がなれるベストな選手になりたい。そこにそれが伴うんだったら、それはそれでOKさ」

芸術的な情熱を満たすために映画を作り、それがたまたまゴールデングローブ賞を獲得した監督のように、プレスコットはシーズンの成功に伴うのであれば、どんな賞でも歓迎する。だが今は、それよりもフィールドに完全復帰することに集中している。

彼は1年近くフットボールを離れていた。記録を調べるために無駄な時間を使うつもりはない。彼が気にする数字は“1”のみ――今プレーしている試合の1勝だけ――そしてそれをいくつダラスのために積み上げられるかだ。

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