セインツのQB争い初戦はテイサム・ヒル、ジェイミス・ウィンストン共に危ういスタート
2021年08月16日(月) 01:27
ドリュー・ブリーズの後継者となる権利を争うテイサム・ヒルとジェイミス・ウィンストンの初手合わせは、お互いを指さして偽物だと言い合うスパイダーマンのミームに集約される。
ニューオーリンズ・セインツは14対17でボルティモア・レイブンズに敗れ、ヒルとウィンストンはどちらも時に苦戦し、時に輝いた。ヒルは好スタートの後に失速。ウィンストンは危うさを見せてから勢いづいた。まるでクオーターバック(QB)の回文配列のようだった。
6度のターンオーバーを喫して敗れた試合後、ヘッドコーチ(HC)のショーン・ペイトンはQB争いについて話す気分ではなかったようだ。
「今はクオーターバックたちの比較はしていない」とペイトンは述べた。
プレシーズンかどうかにかかわらずフラストレーションのたまるパフォーマンスで、ニューオーリンズは3回のサックを許し、10回のペナルティを科されている。
「全てに影が落ちたような状況だ」とペイトンは言う。
先発に指名されたヒルは開始早々に優れた精度を見せた。最初の5回のパスはどれも正確で、ワイドアウトのマーキス・キャラウェイへの10ヤード、28ヤード、23ヤードの3本は見事だった。最初のドライブでヒルはプレッシャーに耐え、動きながらのパスで安定感を見せた。ランニングバック(RB)ラタビアス・マレーのファンブルで短いドライブとなったが、ヒルは有望性を示していた。
だが、そこから崩壊が始まる。セカンドドライブで、ヒルはマレーへのチェックダウンに失敗。続いてワイドレシーバー(WR)タイ・モンゴメリーとのコミュニケーションミスと見られるインターセプトを喫してしまった。そこからは平静さを失ったように見え、正確さを欠き、ワイドアウトとの連携も取れなくなっていく。スクランブルに苦しんだ彼はラインバッカー(LB)パトリック・クイーンの腕につかまり、彼の試合最後のプレーはサックで終わった。
ここからウィンストンが登場したが、QBとRBのやりとりがうまくいかず、デボンタ・フリーマンがファンブル。ウィンストンは落ち着きのない様子で初めのうちはドロップバックの足元がおぼつかず、狙いも定まらなかった。サイドラインへのロングスローは何度かはるか手前に落下した。
ハーフの終盤になってウィンストンはようやく目を覚まし、自信を回復した様子でフィールド中央に3本の弾丸のようなパスを投げた。モンゴメリーに26ヤード、ユウォン・ジョンソンに33ヤード、最後にエンドゾーン際のリトル・ジョーダンへの8ヤードを決めてドライブを締めくくる。それは速く、印象的なドライブで、ボールを垂直に進めるウィンストンの能力を示していた。ウィンストンは第2クオーターの最後に痛いインターセプトを浴び、レイブンズがフィールドゴールを決めている。
プレシーズン最初のQB争いがジェットコースターのような展開になるのは予想されたことだ。
どちらのQBも大きな違いは見せられず、スタッツもほぼ同一だった。
ヒルは12回中8回のコンプリートで81ヤード、インターセプト1回とサック1回。ウィンストンは12回中7回コンプリートでタッチダウン1回、インターセプト1回、サック1回だった。
どちらのQBもアップダウンがあり、ポジションの可能性はまだ広く開かれているようだ。第1週の先発を決めるまで、ペイトンにはあとプレシーズンゲームが2試合残されている。彼らが土曜日のようなプレーを見せるとしたら、相手に機会を与える言い訳ができないほどがっちりとどちらかがその座をつかむまで、ペイトンがシーズンを通してQBルーレットを回したとしても衝撃ではない。
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