トム・ブレイディの素晴らしさはその「息の長さ」とカウボーイズのマッカーシーHC
2021年09月05日(日) 04:37トム・ブレイディがフィールド上に立つたびに、彼は新たな記録を打ち立てるかのように見える。
現地9日(木)、タンパベイ・バッカニアーズ対ダラス・カウボーイズのNFLシーズン開幕戦にブレイディが出場した瞬間、彼はドリュー・ブリーズと並び、最も多く開幕戦で先発したクオーターバック(QB)となる。『NFL Research(NFLリサーチ)』によるとその記録は19回になるという。
それはスポーツ史で最も華麗な彼の履歴書に書かれた圧倒的長さの功績リストに、また1つ項目を追加することになる。
木曜日にブレイディと対戦するチームのヘッドコーチ(HC)が何より感心するのは、21年目に入ろうとするキャリアで、今も毎シーズン勝ち続けている“TB12”ことブレイディの能力だという。
過去20シーズンで、ブレイディが敗北を経験したシーズンは1回限りであり、それはニューイングランド・ペイトリオッツで1試合しか出場しなかった彼のルーキーイヤーだ。
「そうだね、彼のすごいところはたくさんあるが、何よりもその息の長さだろう。このリーグでチャンピオンシップに勝利することは難しい」とカウボーイズのマイク・マッカーシーHCは3日(金)、ブレイディについて最も評価するのはどの部分かと記者団に聞かれ、答えた。「スーパーボウルに勝つことは非常に難しいが、それに7度も勝っているというのはとにかく信じがたい。だが私は個人的に、このリーグの最大のチャレンジは成功を続けることだと考えている。あれほど長い期間、成功してプレーしているというのは素晴らしいクオリティーだよ。そして、彼はそれを今も続け、日々成長している。見聞きする範囲でも見て取れる。彼のアプローチや今の状態だけでなく、あそこまでハイレベルで、それをこの長時間やり続けられるということに私は感心している」
44歳のブレイディは2月にカンザスシティ・チーフスを下してバッカニアーズをチャンピオンシップ優勝へと導き、現役のスーパーボウルMVPとして21年目のシーズンに入ろうとしている。
マッカーシーが言及した7度のスーパーボウル制覇という記録の他に、ブレイディはレギュラーシーズンの先発として230勝69敗という記録も持っている。この230勝というのもまたNFL史で1位の数字だ。先発として12シーズン連続で2桁勝利を達成しており、ケガのために1試合の出場に終わった2008年がなければ、18シーズンになっていた可能性も現実的にあった。
また彼は12年連続で地区優勝を果たしている(ペイトリオッツでAFC東地区のタイトルを11回と昨年のバッカニアーズでのNFC南地区タイトル1回)。
マッカーシー自身も2010年シーズンにHCとしてグリーンベイ・パッカーズをスーパーボウルで勝利に導き、頂点に立ったことがある。彼はこの時、8シーズン連続での勝ち越しを達成している。
だが今は、2020年を6勝10敗で終えたカウボーイズの方向転換を図っているところだ。2年続けて負け越し、パッカーズを去ってから3年連続で苦杯をなめたことになる。
7度もスーパーボウルで勝っていれば、1年の成功など当たり前だと思われ、その功績を見過ごしてしまう者が大半だろう。
マッカーシーはそうではない。
ブレイディの息の長さとエリートレベルを維持できる能力は、間違いなく印象的なだけでなく、若く未経験の選手がいる再建中のカウボーイズのディフェンスにとっては脅威となり得る。
ところが、マッカーシーは必ずしもそうした見方をしない。ブレイディのような才能と、それもシーズンの序番で向き合うことは、カウボーイズがポストシーズンを再び目指すのであれば劇的な改善を要するディフェンスにとって、貴重な経験になると彼は考えている。
「率直に言って、うちの若い選手たちにとって、始まってすぐにこれを経験するのは素晴らしいことだと思うよ。チャンピオンシップで勝ったクオーターバックを相手にプレーするチャンスだ。チャンピオンシップクオーターバックは他とは違う。まったく異なるチャレンジを与えてくれる」とマッカーシーは述べた。「チャンピオンシップクオーターバックとプレーすると、彼らが常にゲームに参加し、常にディフェンスに圧力をかけ、必ずゲームの最後を考えていることが分かる。それは若いディフェンダーにとって、間違いなく今後のための役に立つものだ」
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