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「チャンピオンシップに出るようなチームになれると確信している」とテキサンズRBイングラム

2021年09月17日(金) 14:41


ヒューストン・テキサンズのマーク・イングラム【AP Photo/Sam Craft】

最近のフットボール史においてヒューストン・テキサンズのようなチームがあっただろうかと疑問に思うのは必然だ。

ヒューストンのロースターは有名な名前で埋め尽くされており、短期契約したベテランたちはもう一度NFLでプレーし、正当な機会を得るに値することを証明しようと期待している。テキサンズは前政権によって集められたメンバーの残りの部分――正当な質が保証された選手たち――と、プレーによってはもっと安定した状況を手に入れられるかもしれない、その場しのぎの選手たちとの組み合わせによって成り立つチームだ。

ランニングバック(RB)フィリップ・リンゼイはチームを「ゴミ箱」と形容している。より現実的に言えば、テキサンズは明らかに期待値の低い傭兵部隊だ。

そんな彼らがシーズン初戦で大勝利を収め、軌道に乗っている。短期契約したベテランの一人であるRBマーク・イングラムは、初めてヘッドコーチ(HC)に就任したデビッド・カリーのおかげで不安要素(デショーン・ワトソンの訴訟問題や移籍希望など)や外部からのネガティブな意見に囲まれてもなお、安定した状態を維持できていると評価している。

現地16日(木)、『Good Morning Football(グッドモーニング・フットボール)』に出演したイングラムは「俺が2年前にボルティモアにいたときから、ずっと彼は常に安定している」とカリーHCについて語り、こう続けた。「彼はいつも同じ調子で、常に周りを励まし、いつでも選手を気にかけていて、自分自身や自分が信じるもの、価値観、原則に忠実な人だ。初めて会った日からずっと変わらない彼を俺は人として尊敬している」

「彼はただ、ものすごく安定している。そして、仲間を大切にする。選手が成功するためにできることは何でもする。彼はプレーヤーのためのコーチであり、俺たちは彼のために懸命に戦うつもりだ。俺たちが成功することで、ヘッドコーチである彼も成功できるようにしたいんだ」

カリーHCの尽力により、テキサンズよりもロースターの状態が悪い数少ないチームを相手にではあるものの、シーズン初戦での勝利が生まれた。ベテランクオーターバック(QB)タイロッド・テイラーの鋭いパフォーマンス(33回中21回のパス成功、291ヤード、タッチダウン2回、パサーレーティング112.1)により、ジャクソンビル・ジャガーズを34対7でリードしたテキサンズは、その得点差を生かして勝利している。イングラムがキャリー26回で85ラッシングヤードとタッチダウン1回を記録すると、ワイドレシーバー(WR)ブランディン・クックスはテイラーからのパスを5回キャッチして132ヤードをマークするなど、再び輝きを放っていた。遅れて登場したWRダニー・アメンドーラはエンドゾーンに到達し、かつてスターランニングバックと称されたRBデイビッド・ジョンソンがタッチダウンパスをキャッチしている。ストロングセーフティ(SS)ジャスティン・リードはジャガーズの新人QBトレバー・ローレンスをインターセプトし、ベテランアウトラインバッカー(OLB)のクリスチャン・カークシーとコーナーバック(CB)バーノン・ハーグリーブスもそれぞれインターセプトを決めた。

テイラーは多くの人が期待していない状況でも試合に勝とうとする、テキサンズの考え方を最もよく体現していると言えるだろう。テイラーはキャリアで5チーム目にあたるテキサンズで、最近は先発として活躍しているが、クリーブランド・ブラウンズやロサンゼルス・チャージャーズに移籍したときとは違い、今のテイラーは単なる架け橋ではない。なぜなら、現在のテキサンズはこの先がどうなるか分からないからだ。これから毎週開かれる試合に集中しようとしているチームにとって、少なくとも今は、2022年やその後のことは主眼ではない。

イングラムは次のように語っている。

「俺たちはデショーンやチームが経験していたシナリオの存在を知っているし、自分たちに使えるものを使って仕事をするしかないんだってことを分かっていた。チームのメンバーやフィールドで練習してレップスに励んでいる選手たちにとってはそれが、自分たちが取り組み、対処し、シーズンを過ごすために準備しなきゃならないことだった」

「俺たちはみんな、お互いを信じ、信頼し合っている。それはコーチ同士でも、コーチと選手間でも、選手同士でも、組織内の全員が同じ考えを持っているからだ。良いチームになりたい、試合に勝ちたい、やり遂げたい、フィジカルなチームになりたい。同じような志を持つ人たちが集まっているんだと思う。それが成功の秘訣なんじゃないか。彼は素直で、自分らしさや発するメッセージに一貫性があって、それがチーム全員に響いていると思う」

テキサンズには未来がある。それは第1週に証明された。第2週にはテイラーやカークシー、CBテレンス・ミッチェル、タイトエンド(TE)ファラオ・ブラウンがかつて所属していたクリーブランドに戻って行われるリベンジゲームが控えている。

ヒューストンにとって今シーズンはリベンジに終始する可能性がある。いや、リベンジというよりは、失われたものを取り戻す、と表現した方がいいかもしれない。

「俺たちは全員同じことを考えているし、みんながみんな、同じことを言っていると思うよ」とイングラムは話している。「誰が何と言おうと、俺たちは気にしない。チームには優秀な選手がいて、ロッカールームには有能な選手がいて、リーグや他のいろんな場所で何年もフットボールを最高のレベルでプレーしてきた選手がいる。しかも、準備をして外に出て、やるべきことをやり、お互いに責任を持ち、競い合い、最高の自分たちでいられれば、それでいいって分かってる」

「誰かの言葉なんて気にしない。ここのロッカールームで何を信じているのかが重要だ。この建物で何を信じているかがすべてなんだ。俺たちはこのチームが立派になって、多くの試合に勝って、チャンピオンシップに出るようなチームになれるって確信してる。それが俺たちの願いだ。もしチャンピオンになるためにプレーしていないのであれば、もし最高になるためにプレーしていないのであれば、もし勝つためにプレーしていないのであれば、それはこの仕事に向いてないってことだ。それが俺たちの信念で、俺たちが目指すことであり、俺たちはそのために働いている」

テキサンズがチャンピオンになるとは誰も予想していないだろう。ただ、誰もが応援したくなるチームになるかもしれない。逆境の中、第1週にヒューストンは立ち上がった。2021年シーズンで彼らがフットボール界に衝撃を与えるチャンスはあと16回ある。

【RA】