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スティーラーズを撃破してAFC北地区の「政権交代」をもくろむベンガルズ

2021年11月30日(火) 16:51

シンシナティ・ベンガルズのジョー・ミクソン【AP Photo/Aaron Doster】

シンシナティ・ベンガルズがピッツバーグ・スティーラーズを41対10で撃破したことで、シンシナティに新たな希望が芽生えている。今回の勝利でベンガルズは同じく“ラストベルト(錆びた工業地帯)”に位置するライバルに3連勝を果たした。

チーム公式サイトによると、ベンガルズのコーナーバック(CB)マイク・ヒルトンは「自分にとっては2回、他の何人かにとっては3回、あのチームに勝ったことは政権交代を意味しているんじゃないかって思っている。これで自信がついて、今後、どんな展開になるのかをみんなが楽しみにしている」と語ったという。

ヒルトンは過去4シーズンをピッツバーグで過ごした経験から、ベンガルズとスティーラーズのライバル関係を両方の側面から理解している。

前回の試合では今季、新たにベンガルズに加わったヒルトンがスティーラーズの逆転の望みをつぶした。前半終了まで1分を切ったところでクオーターバック(QB)ジョー・バロウにインターセプトを決めたスティーラーズはそれを利用しようとしたが、これに対してヒルトンはQBベン・ロスリスバーガーを相手にインターセプトリターンタッチダウンを決めたのだ。このプレーのおかげでベンガルズは31対3でハーフタイムを迎え、後半でも得点祭りとなっている。

ヒルトンはインターセプトについて「彼らが特定の状況下で何をしたいのかが分かる」と語り、「誰にボールを渡すのが好きなのかが分かるんだ。こっちはちょっとした洞察力があったから俺をプレーできる位置に置いてくれたし、俺としてはそれを実現しなければならなかった」と続けている。

ベンガルズがスティーラーズに対して40点以上の得点を挙げ、30点以上の差をつけて勝利を収めたのは過去103試合の歴史の中で3度目となった。ベンガルズは2009年シーズン以来、初めて同一年中のスティーラーズ戦で全勝している。

ベンガルズがスティーラーズに3連勝したのは1988年から1990年にかけて6連勝して以来のことであり、1990年秋にベンガルズのロースターに登録されていた選手の中で現役選手はわずか4人しかいない。

しかも、今季のベンガルズは3連勝しただけではなく、2回もピッツバーグを撃破している。ランニングバック(RB)ジョー・ミクソンは第4クオーターに2回のみ出場してキャリー28回で165ヤード、タッチダウン2回を記録し、スティーラーズを圧倒していた。

この敗北に多くのピッツバーグの人々がうなだれていることだろう。

『ESPN』のブルーク・プライアーによれば、スティーラーズのラインバッカー(LB)T.J.ワットは「満足できることは何もなかった」と明かしたという。「試合中にあんな思いは2度としたくない。録画していた内容をものにして、前に進まないと。そして、今日何が起こったのか、これからどうなっていくのか、みんなが目にした出来事を理解しないといけない。このまま解明されて問題が大きくなる前に食い止めないとな」

「こんなプレーは続けていられないよ。そんなの恥ずかしいに決まっている」

前回の試合はロスリスバーガーにとって、同じくAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)北地区にあるチームにキャリア最悪の得点差をつけられての敗北となった(これまでは2011年シーズン第1週に敗れたボルティモア・レイブンズ戦でつけられた28点差が最大)。また、2002年にAFC北地区が創設されて以来、スティーラーズは同地区のチームに最大の得点差をつけられて惨敗を喫している。

31点差をつけられての大敗はヘッドコーチ(HC)マイク・トムリンが在任中に喫した最悪の得点差に匹敵するものだ(2016年シーズン第3週に行われたフィラデルフィア・イーグルス戦では34対3で敗北)。

ディフェンスが多くの被得点を許していることについてトムリンHCは「警戒しないといけない」と強調し、「決して冷静にプレーしようとしているわけではない。そんな風にフットボールをしていないが、ここ数週間はそうなっていたから、いろいろと調整する必要がある」と続けている。

ホームで今季未勝利のライオンズと引き分けた後、連敗を喫したスティーラーズは現在の戦績を5勝5敗1引き分けとしており、プレーオフ進出の可能性を高めるためには迅速に流れを変えなければならない。今後はレイブンズ(2回)、ミネソタ・バイキングス、テネシー・タイタンズ、カンザスシティ・チーフス、クリーブランド・ブラウンズとの対戦を控えており、残念ながらスティーラーズが好転していくのは難しい状況となっている。

一方、ザック・テイラーHCが率いる7勝4敗のベンガルズはシーズン終盤で調子を崩さなければ、2015年シーズン以来のポストシーズン進出の可能性が高まるだろう。

【RA】