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記録を塗り替える「チャンスは一度きり」とスティーラーズLBワット

2022年01月09日(日) 12:58


ピッツバーグ・スティーラーズのT.J.ワット【AP Photo/Gene J. Puskar】

ピッツバーグ・スティーラーズのラインバッカー(LB)T.J.ワットは1年以上、ディフェンス部門の年間最優秀選手賞に輝くと見られてきた。

2020年シーズンは、兄のJ.J.ワットがこれまでに3度受賞した賞をT.J.ワットも手にするかと思われた。しかし、最終的にはロサンゼルス・ラムズのディフェンシブエンド(DE)アーロン・ドナルドがキャリア3度目の受賞を果たしている。

今季も絶好調とはいえ、ドナルドがT.J.ワットを差し置いて受賞することは今回こそないかもしれない。T.J.ワットが記録した今シーズン通算21.5回のサックは他の選手と一線を画している。22.5回(またはそれ以上)を記録すれば、他の候補者が受賞する可能性を一掃できるだろう。

今週末、T.J.ワットには年間最優秀選手賞の受賞――そしてNFLの歴史に名を残すこと――が待ち受けている。M&Tバンク・スタジアムで行われるライバル、ボルティモア・レイブンズとのレギュラーシーズン最終戦でT.J.ワットは、マイケル・ストレイハンが達成した1シーズン22.5回のサックと並ぶか、あるいはその記録を破るチャンスがある。

『Associated Press(AP通信)』によると、T.J.ワットは次のように語ったという。「チャンスは一度きり。これっきりだ。これまでもずっと夢中になっていたけど、それは全く問題ない。周りの人たちは本当に背中を押してくれているし、このゲームに夢中になっていること、ベストを尽くしたいと思っていることを理解してくれている」

ストレイハンは2001年シーズンにこの記録を打ち立てたと同時に、タックルフォーロスとフォースドファンブルの記録でもリーグトップになっている。それ以降、ストレイハンの記録に0.5回及ばなかった選手は2人(ジャレッド・アレンとジャスティン・ヒューストン)で、ドナルドとJ.J.ワットはその記録に2回届いていない(ドナルドは2018年、J.J.ワットは2012年と2014年)。J.J.ワットとドナルドはそれぞれのシーズンでディフェンス部門の年間最優秀選手賞を獲得している。

T.J.ワットがストレイハンの保有する記録に並べば、受賞はほぼ確実となるだろう。記録を塗り替えれば、その確率は上がる。

2021年シーズンは例年より試合数が1つ多いため、その中で達成しようとしているT.J.ワットに対して批判の声が上がる可能性もある。しかし、T.J.ワットは負傷によりフルで出場してこなかったため、その議論は無意味だと言えよう。

T.J.ワットは今シーズン14試合に出場しているが、ミネソタ・バイキングス戦の後半で欠場したことを考えると、実際には13試合半しかプレーしていない。ストレイハンは22.5回のサックをマークするために16試合すべてに出場しており、グリーンベイ・パッカーズのクオーターバック(QB)ブレット・ファーブを押さえつけたときに達成している。また、このプレーは少し物議をかもした。

これまでに記録したサック21.5回のうち1回は月曜夜、ポケットから抜け出したクリーブランド・ブラウンズのQBベイカー・メイフィールドが、スクリメージライン付近にいたT.J.ワットの近くで滑ったことによる記録だ。T.J.ワットは実際にメイフィールドをサックしたわけではないが、サックとして数えられている。

日曜日にT.J.ワットがストレイハンの記録を破れば当然、何の問題もない。スティーラーズがレイブンズを下し、プレーオフへの道を切り開いても同じことが言える。

スティーラーズがどのようにシーズンを終えるかにかかわらず、チームメイトやコーチ陣はT.J.ワットがケガを抱えながらも見せてきたパフォーマンスに魅了され続けるはずだ。

スティーラーズの攻撃コーディネーター(OC)マット・カナダは「彼は世界一だと思う。彼のためにゲームプランを立てる必要がないのはうれしい」と語っている。

ディフェンシブタックル(DT)キャメロン・ヘイワードはスターになろうとするチームメイトをフロントで見てきたため、T.J.ワットの成果に驚いていない。

ヘイワードは「どんな準備をしているか知っているから”すごい”とは思わない。オフシーズンに何をするかも分かっている。ヤツはどんな状況でもそのままだ。ゲームチェンジャーであり、ゲームの破壊者だ」とコメントしている。

T.J.ワットは日曜日の重要な試合を、いつもと同じように破壊して見せるつもりだ。その過程で記録を塗り替える可能性もある。

【RA】