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ビルズに30点差で敗れて「不時着」し、「ピースを拾い集める」ペイトリオッツ

2022年01月17日(月) 12:59

ニューイングランド・ペイトリオッツのマック・ジョーンズ【AP Photo/Adrian Kraus】

現地15日(土)夜にニューイングランド・ペイトリオッツが大敗を喫したことは“想定外”で、さらに悪いことには“前代未聞”だと感じたとしたら、それはまさにその通りだ。

ビル・ベリチックがヘッドコーチ(HC)を務めてきた22年間で、ペイトリオッツがポストシーズンで19点差以上をつけられて敗れたことは一度もなかった。実際、ベリチックHCの在任期間中に今回の47対17という点差よりも大きく差をつけられてバッファロー・ビルズに敗れたことは一度だけある――2003年シーズン第1週に31対0で負けたときのことだ。

そのときの大敗は特別なことの始まりであり、チームは14勝2敗でレギュラーシーズンを終えて3年間で2度目のスーパーボウル進出を果たしている。土曜日の敗戦も現代のペイトリオッツにとっての素晴らしいことの始まりになるかもしれないが、いずれにせよそれはしばらく見られないだろう。

『The Athletic(ジ・アスレティック)』によれば、ベテランワイドレシーバー(WR)マシュー・スレイターは試合後に「今夜がこうなるなんて想定外だった。プレーオフに出るということは、それが終わってしまったら、まるで不時着したような気になるんだ」と語ったという。

昨季はタンパベイ・バッカニアーズに移籍したクオーターバック(QB)トム・ブレイディ不在で臨み、珍しくポストシーズン進出を逃したペイトリオッツだったが、今季は出場を果たした。QBキャム・ニュートンの代わりに新人マック・ジョーンズを起用し、アウトラインバッカー(OLB)マット・ジュードンやタイトエンド(TE)のハンター・ヘンリー、ジョンヌ・スミスなど、高額なフリーエージェント(FA)を多く獲得したペイトリオッツは、最初の6試合で4敗と出遅れたが、その後プレーオフ進出の切符を手に入れるだけでなく、AFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)東地区を制覇し、ブレイディ時代には定番だったホームフィールドアドバンテージを獲得するために7連勝した。

しかし、スーパーワイルドカード週末で地区ライバルに敗れたことを含めて最終5試合で4敗しており、シーズン最後の大事な局面でペイトリオッツは崩壊した。

ベリチックHCは日曜朝に開いた記者会見でこう述べている。「1試合だけでなく、全18試合をもう一度じっくりと見なければならない。昨夜のゲームには、他の試合でも見られた要素があったと言えるだろう」

「でも、あなたの言う通りだ。昨夜の試合は昨シーズンの試合の中で最も競争力のない試合だった。それがわれわれのせいなのか、それとも悪い夜だったのか。来年にプレーし始めたら分かるだろう」

ペイトリオッツは今季、オーチャードパークでビルズを下しており、風の強い悪条件の中でQBジョシュ・アレン率いるビルズを10得点、第1ダウン更新16回、総獲得ヤード230に抑えた。一方、ビルズは土曜夜に氷点下に近い気温の中、シーズンハイとなる47得点を挙げ、7回の攻撃ドライブでエンドゾーンに到達し、一度もパントを蹴ったりターンオーバーを喫したりすることなく、勝敗予想をひっくり返した。

『Boston.com』によると、ベリチックHCは土曜夜のビルズオフェンスについて「彼らは明らかに素晴らしい仕事をした」と語り、「今夜、われわれは彼らについていけなくなった。確実に勝利に値する。指示はよかったし、チームもよく動いてくれたし、どうすることもできなかった。だから、ピースを拾い集めて仕事に戻り、今まで以上に競争力を高める方法を見つけるだけだ」と続けたという。

攻撃部門最優秀新人賞の有力候補であるジョーンズは、ペイトリオッツの最初のドライブで切れ味がよく、自信に満ちたプレーを見せたものの、初めて深い位置に投じたパスは飛び込んできたセーフティ(S)マイカー・ハイドによって止められてしまった。そこからビルズはジョーンズ率いるペイトリオッツを圧倒し、ベリチックHCが説明したように、劣勢に立たされたペイトリオッツはついていけなくなったのだ。

ジョーンズは「もっといいパフォーマンスができれば、みんなでプレーオフを勝ち進めただろうけど、仕方がないな。来年へのモチベーションにつなげるけど、今夜に実現できていたらよかったのに」と話している。

土曜夜にビルズの猛攻を受けてワイルドカードラウンドでポストシーズンから脱落したペイトリオッツは、ひどく動揺しているように思われがちだが、その未来は明るいと言えよう。ジョーンズがプレーオフで必要な経験を積んだ上に、ベテラン選手が多数在籍するロースターとベリチックHCの指揮も健在であり――本人は日曜日に2022年もヘッドコーチに戻るのは「間違いないだろう」とコメント――土曜夜には叶わなかったとしても、ペイトリオッツは次の時代で安定感と競争力を兼ね備えたチームになろうとしている。

ジョーンズは「楽しみなことや前向きになること、学ぶべきことはたくさんある。頭を悩ませるようなことは何もない。残念に思うことは何もない。来年に向けて学びになることばかりだ」と締めくくった。

【RA】