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元ドルフィンズHCフローレスが人種差別的な雇用慣習をめぐってNFLと3チームを提訴

2022年02月02日(水) 17:17


マイアミ・ドルフィンズのブライアン・フローレス【NFL】

元マイアミ・ドルフィンズHC(ヘッドコーチ)のブライアン・フローレスがNFLと3チーム――デンバー・ブロンコス、ドルフィンズ、ニューヨーク・ジャイアンツ――を訴えている。フローレスはリーグによるパターン化した人種差別的な雇用慣習や、デンバーおよびニューヨークでの面談プロセス、ならびにマイアミでの在任期間における人種差別を申し立てた。

現地1日(火)にマンハッタン連邦裁判所に提出されたこの訴訟は、集団訴訟の形をとること、ならびに、リーグと3チームおよび不特定の個人への損害賠償を求めている。

ドルフィンズでの3年を通して24勝25敗を記録した黒人のヘッドコーチであるフローレスは、先月にドルフィンズから解雇された。2年連続で勝ち越しシーズンを送り、その2年目である今季は9勝8敗をマークしたものの、在任中にプレーオフに進むことはなかった。

フローレスの訴えは、リーグがフローレスやその他の黒人コーチたちを人種的な理由で差別し、彼らのヘッドコーチや攻撃および守備コーディネーター、QBコーチ、GMとしての地位を否定したと主張している。

フローレス陣営は『NFL Network(NFLネットワーク)』のキャメロン・ウルフとの電話の中で「今起こっている不公正について、口をつぐむのをやめるときだ」と話した。

「長い間延び延びになっていた。衆目にさらすべき人種差別がたくさんある」

弁護士事務所がフローレスの代理として発行した声明の中で、フローレスはさらにこう述べている。

「神は私にフットボールのゲームでコーチするための特別な才能をお与えになった。しかし、変化の必要性は私の個人的な目標よりも大きい。本日、集団訴訟の申し立てを行う決断を下すにあたり、私が愛し、私の家族と私自身に多くのことをもたらしてくれたこのゲームでのコーチ業をリスクにさらす可能性があるのは承知している。NFL内部での構造的な人種差別に立ち向かうことで、他の人々も私の元に加わり、次の世代のためにポジティブな変化が確かにもたらされることを、心から願っている」

NFLも火曜日にリリースを発行し、フローレスの訴えにある主張に抗弁するとの意向を示した。

「NFLとわれわれの各クラブは、公正な雇用の慣習を確実にすること、ならびに、われわれの組織全体に平等な雇用機会を提供する上で継続的に前進していくことに深くコミットしてきた」

「多様性はわれわれが行うあらゆるものの中核であり、われわれのクラブや内部のリーダーシップチームがこれ以上の時間を費やす問題は数少ない。われわれは利のないこれらの主張に対して抗弁していく」

この訴えでは、ドルフィンズによるフローレスの解雇は、他のコーチが成功するために受けとっている自由を与えられていない黒人コーチに典型的なものだとされている。また、フローレスがドルフィンズに2003年以来となる2連続の勝ち越しシーズンをもたらしたことについても触れられていた。

そういった成績改善は、マイアミ・ドルフィンズのオーナーであるスティーブン・ロスがフローレスに対し、フローレスの初年度のすべての敗戦に対して10万ドル(約1,100万円)を支払うと述べたにもかかわらず達成されたものだと、この訴えは主張。ロスの申し出は2020年NFLドラフトの全体1位指名権を得るためにクラブが“わざと負ける”ことを望んでいたのが理由だという。2020年のトップピックではシンシナティ・ベンガルズがクオーターバック(QB)ジョー・バロウを指名している。

この訴えはさらに、リーグの不正交渉に関するルールに反し、ロスがフローレスにある著名なクオーターバック――『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートがトム・ブレイディだと断定――をリクルートするようプレッシャーをかけたとしている。これを拒絶したことで“フローレスは排斥され、最終的に解雇された”とこの訴えは主張している。

ドルフィンズは「われわれは本日午後の報道を受けて、件の訴訟について把握している」との声明を出している。

「われわれはいかなる人種差別の申し立ても断固として否定し、組織全体の多様性と内包性を誇りに思っている。われわれがこの競技の高潔さに反する振る舞いを行ったという示唆は正しくない。現時点ではこの訴えに関するこれ以上のコメントを差し控える」

ドルフィンズから解雇されたフローレスにはいくつかのチームから空席になっているヘッドコーチ職についての面談の要請があった。訴訟の中で、そのうちの1チームであるニューヨーク・ジャイアンツがフローレスへの“偽りの面談”プロセスに携わったとされている。訴えによれば、ニューイングランド・ペイトリオッツのヘッドコーチであるビル・ベリチックが1月24日――フローレスがジャイアンツとの面談を予定していた日の3日前――にフローレスと交わしたテキストメッセージにおいて、ジャイアンツが白人であるバッファロー・ビルズの攻撃コーディネーター(OC)ブライアン・ダボールを雇用する意向であることを“誤って開示”したという。ジャイアンツはダボールの起用をフローレスとの面談の2日後に正式発表している。

「フローレスはすでに自分が得られないと分かっている職について詳細にわたる面談を受けなければならなかった。面談が行われた理由は、ジャイアンツがリーグのコミッショナーであるロジャー・グッデルと世間に対し、ルーニールールを順守していることを不当に示すために他ならない」とこの訴えは主張している。

これに対し、ジャイアンツは声明の中で「われわれはブライアン・ダボールの雇用に至ったプロセスに満足し、自信を持っている」と述べた。

「われわれは印象的で多様な候補者たちと面談を行った。事実として、ブライアン・フローレスとはぎりぎりまでわれわれのヘッドコーチ候補としての対話をしていた。最終的に、われわれは自分たちの次のヘッドコーチとして最も適格だと感じた人物を雇用した」

フローレスの訴訟は2019年にブロンコスとも“偽りの面談”を経験したと主張している。ブロンコスの当時のGMであるジョン・エルウェイとCEOのジョー・エリス、ならびにその他の人物らが1時間遅れで面談に現れ、“身なりが整っていない”様子で“彼らが前夜に大量に飲酒していたのは明らかだった”という。

ブロンコスがルーニールールを満たすためにフローレスと面談したのであり、“ブロンコスには彼をその職に対する正統な候補者として考慮する意向がまったくなかった”のは明らかだというのが訴えの主張するところだ。

ブロンコスは白人であるビック・ファンジオをヘッドコーチに選んでいる。ファンジオは2022年1月に解雇された。

「本日に裁判所に提出されたデンバー・ブロンコスに対するブライアン・フローレスの申し立ては明らかに誤っている」とブロンコスは声明を通じて述べた。

「ヘッドコーチの役職に関するフローレス氏とわれわれの面談は、ロードアイランド州プロビデンスのホテルで、予定されていた午前7時30分のほぼ時間通りに開始された。5名のブロンコス幹部が出席し、この面談はおよそ3時間半――割り当て時間いっぱい――続き、午前11時の少し前に終了した」

「われわれの面談における詳細にわたるメモや分析、評価から、対話の深さやヘッドコーチ候補としてのフローレス氏への偽りない関心がはっきりと示されている。ヘッドコーチの地位に最も適格な候補者を決定する上で、われわれのプロセスは徹底し、公正なものだった。ブロンコスはそういった根拠のない侮辱的な主張から、われわれの組織の品位と価値――そしてその従業員たち――を断固として守る意向だ」

2020年にはNFLがルーニールールを修正し、各チームがヘッドコーチ職に関して自チーム外からの2人以上のマイノリティの候補者との面談を行うよう定められた。また、コーディネーターおよびジェネラルマネジャーを含むフロントオフィスの高位のポジションについても、マイノリティの候補者1人と面談する必要がある。


記事提供:『The Associated Press(AP通信)』


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