NFLと3チームに対する訴訟について語った元ドルフィンズHCフローレス
2022年02月03日(木) 16:52元マイアミ・ドルフィンズHC(ヘッドコーチ)のブライアン・フローレスが現地2日(水)に『CBS Mornings(CBSモーニング)』のインタビューの中で、NFLとその3チームを一定の人種差別的雇用関連やその他の形の人種差別によって訴えてから初めて、自らの考えを語った。
フローレスとその弁護士は訴訟に含まれる複数の主張について詳しく語っている。火曜日にマンハッタン連邦裁判所に提出されたその訴えは、NFLの雇用プロセスに変化を求める内容となっている。
「ルーニールールはマイノリティにオーナーシップと向き合って座る機会を与えることを意図している。しかし、実際にはただチェックボックスに印を入れるだけの過程になっていると思う。そうなんだ。過去何度かの面談で、そういった感覚を抱いたことがある。確実に知る方法はないものの、分かる。私一人のことではないのも分かっている」とフローレスは語った。
『NFLネットワーク』のイアン・ラポポートは水曜日に、ドルフィンズオーナーのスティーブン・ロスが2019年シーズンにドラフト指名順を上げることを目的として1回の敗戦ごとに10万ドルをフローレスに支払うと提案した疑いについて、NFLが調査を行う見込みだと伝えている。
2021年シーズンを終えてドルフィンズから解雇されたフローレスにはいくつかのチームから空席になっているヘッドコーチ職についての面談の要請があった。訴訟の中で、そのうちの1チームであるニューヨーク・ジャイアンツがフローレスへの“偽りの面談”プロセスに携わったとされている。
訴えによれば、ニューイングランド・ペイトリオッツのヘッドコーチであるビル・ベリチックが1月24日――フローレスがジャイアンツとの面談を予定していた日の3日前――にフローレスと交わしたテキストメッセージにおいて、ジャイアンツが白人であるバッファロー・ビルズの攻撃コーディネーター(OC)ブライアン・ダボールを雇用する意向であることを“誤って開示”したという。ジャイアンツはダボールの起用をフローレスとの面談の2日後に正式発表している。
フローレスは水曜日に、ベリチックHCからのメッセージを見た際に「さまざまな感情があった。屈辱、不審、怒り」と述べた。
「私は今自分がフットボールの世界でいる場所にくるため、ヘッドコーチになるために、18年にわたってこのリーグで懸命に働いてきた。どうなるために続けるのか、どう感じるのか、偽の面談とは何なのか。私は傷ついた」
フローレスはさらに、ジャイアンツのヘッドコーチ職を得られないことを知りながらも、面談のプロセスを続けたと話している。
「それでも希望はあったと思う。大胆な希望かもしれない。人には良い面があると信じている。ただ、信じているんだ」
フローレスの弁護士であるダグラス・H・ウィドアはジャイアンツの面談前に訴訟を決断したと述べた。
今回の訴訟は、フローレスが2019年にブロンコスとも“偽りの面談”を経験したと主張している。ブロンコスの当時のGMであるジョン・エルウェイとCEOのジョー・エリス、ならびにその他の人物らが1時間遅れで面談に現れ、“身なりが整っていない”様子で“彼らが前夜に大量に飲酒していたのは明らかだった”という。ブロンコスがルーニールールを満たすためにフローレスと面談したのであり、“ブロンコスには彼をその職に対する正統な候補者として考慮する意向がまったくなかった”のは明らかだというのが訴えの主張するところだ。
フローレスは水曜日、『ESPN』に「私はNFLの9つのクラブと面談を行った。遅れた人がいた面談が一つあったが、遅れたのは私ではなかった。遅れてきたのは面談をする方だった。それがブロンコスとの面談だ」とコメント。
「彼らが遅れたのには理由があると思う。彼らは前の晩に出かけていたのだろう。それが理由だと思う」
「自分と面談する5人の人々と一つのテーブルを囲んでいれば、誰が自分に質問しているか分かるし、誰が面談に来ているか、そして、誰が必ずしも適切な状態ではないかは分かる。そのときでさえも、私は最善を尽くし、私がその仕事に対して良い候補者であることを示した。私は常にそうするつもりだ。だが、真剣に受け止められていない感じや、単にルーニールールのためにそこに呼ばれたのだという感じは確かにあった」
火曜日にフローレスの主張を「明らかに誤っている」とし、訴えに対して組織の「品位と価値を守る」と述べたブロンコスの声明を受け、フローレスは次のように語っている。
「私は真実を扱っている。それが、私の反応だ。私は真実を扱っている。率直に言って、品位は私にとって重要であり、いずれ真実が見いだされることを願っている」
フローレスはリーグと複数のチームに対して集団訴訟を提起した一方、ニューオーリンズ・セインツとヒューストン・テキサンズのヘッドコーチ職の候補になっているようだ。『NFLネットワーク』のイアン・ラポポートは今週、フローレスが火曜日にセインツとの面談を予定していると報じていた。テキサンズは月曜日にフローレスとの直接対面での面談を完了したという。
フローレスはNFLでコーチ業を続けたいとの意向を強調する一方、「これはコーチングよりも大きな問題。ずっと大きな問題だ」と発言している。
NFLの多様性を高めることを目的とする『Fritz Pollard Alliance(フリッツ・ポラード・アライアンス)』はフローレスをサポートする姿勢を示した。
現在、NFLの32チームに雇用されているヘッドコーチとしては黒人のヘッドコーチが1人(マイク・トムリン/ピッツバーグ・スティーラーズ)、マイノリティのヘッドコーチが3人(トムリン、ロン・リベラ/ワシントン・コマンダース、ロバート・サラー/ニューヨーク・ジェッツ)いる。現時点でヘッドコーチがいないチームは5つ。今回の雇用サイクルで4人のヘッドコーチがすでに契約済みで、その全員が白人だ。ジェネラルマネジャーは4人が契約を結び、2人が黒人、2人が白人となっている。
「ナショナル・フットボール・リーグにおけるマイノリティのコーチの雇用という部分で、そこに問題があることを世界に知らしめるために訴訟を起こす必要があったわけではない。数そのものがそれを物語っているのだから。われわれが提訴したのは、何らかの変化を起こせるかもしれないからであり、それが私にとって重要だ」とフローレスは水曜日に語った。
「われわれは今、岐路にいると思う。これまで通りを維持するか、別の方向に進んで本当の意味での変化をもたらし、ヘッドコーチや幹部などを決定する人たちの心や思想を実際に変えるのか。それがわれわれの進まなければならない場所だ。心と思想を変えなければならない」
【A】