スティーラーズ社長アート・ルーニー二世がルーニールールの現状に言及
2022年02月04日(金) 10:40マイアミ・ドルフィンズの元ヘッドコーチ(HC)ブライアン・フローレスがNFLと3つのチームを相手に、リーグによる人種差別的雇用慣行と人種差別があったと主張する訴えを起こした2日後、ピッツバーグ・スティーラーズの球団社長を務めるアート・ルーニー二世は現地3日(木)にルーニールールのあり方に関する声明を発表した。
ルーニー二世は、フローレスの具体的な申し立てについてはコメントしないものの、NFLの“多様性方針に関する一般的な状態”については言及することにした、と述べており、次のように語っている。
「過去数年にわたり、われわれの多様性委員会はルーニールールに関するいくつかの強化策や、コーチおよびフロントオフィス職に関する新しいポリシー、公正な検討について提言し、オーナーがこれを採択してきた。これらの強化策や新ポリシーの詳細は、以前から公開されている」
「ヘッドコーチの層が厚くなっていないことは認めるが、コーディネーターやジェネラルマネジャー(GM)、フットボール運営の内外に関わるフロントオフィスなど、他の主要な指導的役割における女性やマイノリティの採用には著しい改善が見られている。これは、最近採択された強化方針の多くを実践した結果だと考えている」
「コミッショナーとリーグ幹部、そして多様性委員会は、これらの取り組みを可能な限り効果的なものにし、ヘッドコーチ職を含む、リーグ内のあらゆるレベルの採用決定において望ましい影響を促進するために、全クラブ、“Fritz Pollard Alliance(フリッツ・ポラード・アライアンス)”、およびその他の人々と協力していくことに引き続き尽力していく」
2003年にNFLが制定し、スティーラーズの元オーナーでNFLの多様性委員会の会長だったダン・ルーニーにちなんで名付けられた雇用方針“ルーニールール”は、この10月に調整が行われた。顕著な変更点としては、幹部やコーディネーター職の採用プロセスにおいて、面接が必要とされる組織外部のマイノリティの候補者数を増やしたことや、雇用主のクラブによる同意があれば、レギュラーシーズン最後の2週間に次期ヘッドコーチの候補者を面接することを許可したことなどが挙げられる。
新たに強化されたルーニールールでは、クラブはジェネラルマネジャーやフットボール運営担当エグゼクティブバイスプレジデント(EVP)、およびすべての空位になっているコーディネーター職(オフェンス、ディフェンス、スペシャルチーム)に対して、組織外部のマイノリティの候補者と少なくとも2人、面接することが義務付けられている。また、NFLはフランチャイズに対し、ヘッドコーチやジェネラルマネジャーの候補者のうち、組織外部のマイノリティの候補者と少なくとも1人、対面で面接を行うことを義務付けている。
2020年にNFLがルーニールールを修正した際には、各チームがヘッドコーチ職に関して自チーム外からの2人以上のマイノリティの候補者との面談を行うよう定められていた。また、コーディネーターおよびジェネラルマネジャーを含むフロントオフィスの高位のポジションについても、マイノリティの候補者1人と面談する必要があった。
ドルフィンズでの3年を通して24勝25敗を記録した黒人のヘッドコーチであるフローレスは、先月にドルフィンズから解雇された。2年連続で勝ち越しシーズンを送り、その2年目である今季は9勝8敗をマークしたものの、在任中にプレーオフに進むことはなかった。
フローレスの訴えは、リーグがフローレスやその他の黒人コーチたちを人種的な理由で差別し、彼らのヘッドコーチや攻撃および守備コーディネーター、クオーターバックコーチ、ジェネラルマネジャーとしての地位を否定したと主張している。また、2019年にデンバー・ブロンコス、2022年にニューヨーク・ジャイアンツが、ルーニールールを満たすためだけの“偽りの面談”を行ったと主張している。
NFLは火曜日に出した声明の中で「われわれは利のないこれらの主張に対して抗弁していく」と述べた。フローレスが訴訟で名指ししたドルフィンズ、ブロンコス、ジャイアンツの3チームは、フローレスの申し立てを全面的に否定している。
現在、NFLの32チームに雇用されているヘッドコーチとしては黒人のヘッドコーチが1人(マイク・トムリン/ピッツバーグ・スティーラーズ)、マイノリティのヘッドコーチが3人(トムリン、ロン・リベラ/ワシントン・コマンダース、ロバート・サラー/ニューヨーク・ジェッツ)いる。現時点でヘッドコーチがいないチームは4つ。今回の雇用サイクルで5人のヘッドコーチがすでに契約済みで、その全員が白人だ。ジェネラルマネジャーは4人が契約を結び、2人が黒人、2人が白人となっている。
【RA】