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スペシャルチームの高い負傷率に懸念を示すNFL

2022年02月08日(火) 16:44

NFLロゴ【Ric Tapia via AP】

NFLがスペシャルチームの負傷状況に厳しい目を向けている。今季のスペシャルチームには他よりも多くの負傷が見られた。

リーグの上級副社長であるジェフ・ミラーは現地7日(月)に行われた『Zoom(ズーム)』での会見で、キックプレーをさらに制限する可能性について触れるには至らなかったものの、脳震とうや下肢の負傷の多さへの懸念を明確に示している。

NFLのチーフメディカルオフィサー(医務主任)であるアレン・シルズ医師とミラーによれば、脳震とうの6分の1はスペシャルチームのメンバーに起こっているという。さらに、膝の大きなケガ(主にACL/前十字靭帯断裂)の30%、およびその他の下半身の負傷の29%はキックチームに起こっているとのことだ。

スペシャルチームのプレーにかかわる選手が全体の17%にとどまることを踏まえれば、これらは憂慮すべき数字だ。

「健康と安全の面で、優先して取り組むべきエリアがある」とミラーは述べている。

「キックオフとパントを確認すること。他の部分は良い状況になっている中で、そこが突出している」

良い状況というのは、全体的な脳震とう発生数の減少にあたる。一方でパントにおける脳震とう率は、3月にオーナーの会議が行われる際にすぐにアクションにつながる可能性がある。

シルズ医師は「そこはわれわれが注目しなければならない部分だと思う」と話し、こう続けた。

「パントのプレーは特にわれわれがターゲットとする部分になるだろう。データや、他をはるかに上回る発生率がすべてを物語っている」

最近のキックチームのルール変更が負傷の部分で大きな違いをもたらしていない様子なのは懸念すべき点だが、他にも安全性を高める方法はある。選手が使用するテクニックの改定もその一つであり、さらに、集積されたデータを使用してクリーンアップすべきエリアを特定する方法もある。

NFLが月曜日に公開したデータによれば、2021年はプレシーズンやすべての練習と試合を含め、脳震とうが187件発生していた。件数自体はその前のシーズンの172回より増えたものの、2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの影響により、プレシーズンゲームが実施されていない。全体としての脳震とう率は低下した。

脳震とうの発症件数が減少したのを受け、シルズ医師はもっと多くのことが達成できると考えている。

「脳震とうの件数については喜ばしく思っているが、まだ全体の構想を満たしていないと感じている。われわれは積極的にこれを減らし、避けられる頭部のコンタクトをなくすために取り組んでいきたい」

ミラーはレギュラーシーズンが16試合から17試合に増えたことや、プレシーズンゲームが1試合減ったことは、負傷の傾向に影響を与えていない模様だと述べた。

プレシーズンの負傷率が最も高く――軟組織の断裂がトレーニングキャンプとエキシビジョンゲームでよく見られた――、シーズン第18週の追加が負傷の急増につながることはなかった。

「それは見られなかった。レギュラーシーズン最終週の負傷率がそれまでの週よりも高くなることはなく、やや低下している様子だった」とミラーは述べた。

COVID-19の陽性例や検査については、シルズ医師とミラーの両名がリーグのプロトコルが機能したと考えている。オミクロン株が大きく影響するようになった12月の状況についても、シルズ医師は津波のように件数が増え、急激に減少したと話した。

12月19日の時点で347件だった陽性数は翌週に411件、そしてレギュラーシーズン最終週に216件となり、プレーオフに進んだ14チームの中では37件しか見られなかったという。

「われわれがオミクロン株に見たものは、世界中で見られていることだった」とシルズ医師はコメントしている。

ロサンゼルス・ラムズとシンシナティ・ベンガルズに陽性の例が発生し、選手がスーパーボウル欠場を強いられる可能性については、シルズ医師は“間違いなく”あり得るとしている。

その上で、シルズ医師はプロトコルと両チームへの信頼を示した。

「チームの中に認識の文化がある。あるプレーヤーが明らかな症状を示したとき、誰もその個人がチーム内に感染を広げるのを望まない。プレーオフやスーパーボウルに進むチームには多くの自主的な規制がある」とシルズ医師は説明している。

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