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スティーラーズがシニアディフェンシブアシスタント兼LBコーチにドルフィンズ元HCフローレスを採用

2022年02月20日(日) 13:38


ブライアン・フローレス【AP Photo/Wilfredo Lee】

ピッツバーグ・スティーラーズは現地19日(土)にマイアミ・ドルフィンズの元ヘッドコーチ(HC)であるブライアン・フローレスをシニアディフェンシブアシスタント兼ラインバッカー(LB)コーチとして採用したと発表した。

今回の採用は、フローレスがドルフィンズから解雇されてからわずか1カ月余りかつ、フローレスがドルフィンズを含む3チームとリーグを相手に、NFLにおける人種差別的な雇用慣習を申し立てる集団訴訟を起こしてから18日後に決まった。

スティーラーズのマイク・トムリンHCは声明で「NFLでの経験の中で守備選手の育成と指導に携わってきたブライアン・フローレスがコーチングスタッフに加わることに、大きな期待を寄せている。ブライアンの経歴が物語っているように、彼の専門知識がチームの助けになることを期待している」と述べている。

フローレスは提訴の前後でヘッドコーチの候補として名前が挙がっていた。フローレスはこれまでにニューヨーク・ジャイアンツやヒューストン・テキサンズ、ニューオーリンズ・セインツと面談している。ジャイアンツはバッファロー・ビルズの攻撃コーディネーター(OC)を務めていたブライアン・ダボールをヘッドコーチとして採用し、テキサンズとセインツはそれぞれ自チームの守備コーディネーター(DC)を務めていたラビー・スミスとデニス・アレンをヘッドコーチに昇格させている。

ドルフィンズでの3年を通して24勝25敗を記録した黒人のヘッドコーチであるフローレスは、先月にドルフィンズから解雇された。2年連続で勝ち越しシーズンを送り、その2年目である今季は9勝8敗をマークしたものの、在任中にプレーオフに進むことはなかった。

フローレスの弁護士であるダグラス・ウィドアとジョン・エレフテラキスは土曜日に出した声明でフローレスがスティーラーズに採用されようと、訴訟は続行されると発表している。

2人は声明で「フローレスコーチがスティーラーズで新しい役職を得たことを祝福するとともに、この素晴らしい機会を与えてくれたトムリンコーチと組織に感謝している。フローレスコーチは現在、新たなポジションに専念している一方で、NFLに真の変革がもたらされるよう、人種差別撤廃に向けた集団訴訟を続行していく」と述べた。

フローレスは訴訟の中で、2020年のNFLドラフトで全体1位指名権を得るためにクラブが“わざと負ける”ことを望んでいたオーナーのスティーブン・ロスが、フローレスの就任初年度に1回の敗戦ごとに10万ドル(約1,100万円)を支払うと持ちかけてきたと主張。最終的にその指名権を手にしたシンシナティ・ベンガルズがクオーターバック(QB)ジョー・バロウを獲得している。

NFLはロスに対するフローレスの申し立てを調査中だ。

フローレスは2019年と2022年にそれぞれ、デンバー・ブロンコスとジャイアンツがルーニールールを満たすために“偽りの面談”をしたとも主張している。

フローレスが提訴した後、リーグは“利のない”フローレスの主張に対して抗弁していくとの意向を示した。ドルフィンズ、ブロンコス、ジャイアンツもフローレスの主張を否定している。NFLは近頃、ロレッタ・リンチ元米国司法長官が在籍している法律事務所に、この訴訟でのリーグと3チームの弁護を依頼した。

ルーニールールは、スティーラーズの元オーナーで当時、職場多様性委員会の委員長だったダン・ルーニーにちなんで名付けられている。NFLは2020年にこれを修正した際に、各チームがヘッドコーチの空席に対して自チームと関係のないマイノリティの候補者2名以上と面談を行うよう定めた。また、コーディネーターおよびジェネラルマネジャーを含むフロントオフィスの高位のポジションについても、マイノリティの候補者1名との面談が義務付けられている。

19年間チームに在籍し、トムリンHCの下で7年にわたって守備コーディネーター(DC)を務めていたキース・バトラーは今オフシーズンに引退した。バトラーが不在となったディフェンスのスタッフにフローレスは加わることになる。スティーラーズはバトラーの後任として2019年から2020年までチームのシニアディフェンシブアシスタント(フローレスの新職務)とセカンダリーコーチを務めていたテリル・オースティンを採用した。

フローレスはスティーラーズで才能あふれる守備陣を指導する機会を得る。しかし、ここ数年で被ヤードと被得点でトップ10にランクインしていた守備陣は、2021年にそれぞれ24位と20位に落ち込んでいる。それでも、スティーラーズ守備陣は守備部門年間最優秀選手に輝いたアウトサイドラインバッカー(OLB)T.J.ワットなど、オールプロに選出されたことのある選手を多数擁しており、それは2022年に向けてチームの強みとなるはずだ。

フローレス元HCは、自分とテキサンズの元HCデビッド・カリーが解雇された後、この冬に唯一の黒人HCだったトムリンの元で働くことになる。スミスと、複数の人種的背景を持つマイク・マクダニエルはそれぞれテキサンズとドルフィンズに採用されており、現在、NFLには黒人のヘッドコーチ3名を含むマイノリティのヘッドコーチが5名いる。

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