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2022年の先発QBがライアンだとは断言しないファルコンズGM

2022年03月02日(水) 12:14


アトランタ・ファルコンズのマット・ライアン【AP Photo/John Bazemore】

アトランタ・ファルコンズは(願わくば)急速な再建の真っただ中にいるが、2022年に使えるサラリーキャップスペースはあまりない。

むしろ、キャップスペースはまったくない状態だ。ファルコンズは現在、730万ドル(約8億4,000万円)もキャップスペースを超過しており、2,000万ドル(約23億円)以上を占める選手を4人抱えている。そのうちの3人はチームにとって欠かせない選手と言えるが、4人目――クオーターバック(QB)のマット・ライアン――の先行きは他の3人ほど確実ではない。

この扱いの違いによって、もはやファルコンズにとってライアンはそれほど重要な存在ではないと思われるかもしれない。NFLのスカウティング・コンバインでは、多くのコーチや役員がそうであるように、ファルコンズも複数の選手の将来については曖昧(あいまい)で警戒心の強い答えしか返していない。ところが、ライアンに関しては、ジェネラルマネジャー(GM)のテリー・フォンテノーもヘッドコーチ(HC)のアーサー・スミスも、2022年に36歳のライアンがファルコンズの先発クオーターバックであることを確約しようとはしなかった。

現地1日(火)にスミスHCはこう述べている。「マットに関して言えば、そうだな、同じディビジョンでトム(ブレイディ)があの歳までプレーし続けたのを見たばかりだ。それに彼はまたプレーするかもしれないし、そんなことは分からないけど、確かにあの年齢には見えなかった。マットはトムよりずっと若い。トム・ブレイディが一人しかいないことは理解しているが、マットは自分の置かれている状況に満足しているのは確かだ」

「マットがチームの一員になることを期待しているが、自ら選択肢を狭めるつもりもない。断れないオファーがあるかもしれないからな。マットはわれわれの気持ちを分かってくれている。マットはこれからも良いフットボールをたくさんできるだろう」

フォンテノーのGM経験はまだ浅いが、人事に関する決まり文句はすでに板についているようだ。ファルコンズはクオーターバックだけでなく、あらゆるポジションで後継者を探すと彼は述べている。チームはロースター全体の改善を目指しているが、自暴自棄になって手を出すわけにもいかない。そして、ファルコンズは今度のドラフトでクオーターバックのポジションを精査し、「さまざまな才能」に満ちたグループとの正式な面談を終えていると、フォンテノーは明かした。

いずれにしても、火曜日に分かった最も重要なことは、フォンテノーGMとスミスHCが口にしなかったことだ。どちらもライアンがチームのクオーターバックだと断言する機会があったにもかかわらず、そうしなかったことで、ライアンに興味を持ったチームが現れてオファーを出してくれる可能性を残しておいたのだろう。プレーメーカーをもっと増やす必要のあるファルコンズのオフェンスを考えると、これは間違いなくハードルの高いシナリオと言える。だが、実績のないシグナルコーラーを起用することに不安はないかと問われると、スミスHCはあらゆる可能性を考慮すると答えた。

スミスHCは「オファーの内容にもよる」と述べている。「年老いたドン・コルレオーネみたいなものだ。断れないオファーを受けたら、それを受けるしかないと思う。でも、それは誰にでもあることだ。テリーに聞いてもらってもいい。もし誰かが良い条件を提示すれば、私だってチームから追い出される可能性はある」

フットボールだけを考えればライアンと袂を分かつことは賢明ではないが、財政面においては、その決断は即座にフォンテノーGMが求めているキャップスペースの確保を実現することができる。フォンテノーGMは火曜日に、「まずはキャップスペースを少し作る必要がある」と述べており、『Over The Cap(オーバー・ザ・キャップ)』によれば、6月1日以降のトレードでファルコンズは2,375万ドル(約27億3,000万円)のキャップスペースを確保できるという。フォンテノーGMはニューオーリンズ・セインツでの経験が長く、サラリーキャップの課題を巧みに先延ばしにすることで有名なミッキー・ルーミスGMを間近で見てきた。ルーミスGMは契約の再構築や、たびたびボイドイヤー(無効年)を加えた延長契約によって、何度も深刻なキャップ問題を先送りにしてきた。

フォンテノーGMは、ファルコンズの現状を打開するのに同じような戦略を導入することができるかもしれない。あるいは、大型取引によってライアンを別のチームに送り込んでキャップスペースを確保するという手もある。そうすればファルコンズはランニングバック(RB)のコーダレル・パターソンを含む何人かの主力選手との契約を延長し、より良い財政状況で前に進むことができる。このような取引が実現すれば、空いたキャップスペースを得たチームにはセンター(C)のポジションも埋める道も開け、トレードが無理であれば今後のドラフトやフリーエージェント(FA)を活用して選手を獲得することができるかもしれない。

すべての選択肢が出揃っているからこそ、ファルコンズは火曜日にあのようなスタンスを示したのだろう。ライアンの首が今すぐに危ういというわけではないにしても、彼はお金の問題の犠牲者となるかもしれない。もしくは、ライアンはファルコンズで15回目のシーズンを迎え、若い才能にロースターを譲りながら、まだ改善しようとしているチームを率いる可能性もある。

【R】