バッカニアーズHCエリアンスが退陣、DCボウルズが後任に
2022年03月31日(木) 11:46タンパベイ・バッカニアーズにまた大きな引退のニュースがあった。
ヘッドコーチ(HC)ブルース・エリアンスが退任し、チームのフロントオフィスに異動する。守備コーディネーター(DC)のトッド・ボウルズがエリアンスの後任として新たなヘッドコーチになると『NFL Network(NFLネットワーク)』のトム・ペリセロが現地30日(水)に伝えた。バッカニアーズもこの報道の後に、ボウルズを新ヘッドコーチに指名したこと、ならびにエリアンスがチームのシニアフットボールコンサルタントになることを明らかにしている。
第一報を伝えたのは『NBC』のピーター・キングだった。
プレーコールのアプローチではすぐに軽妙な切り返しをするのが常だったエリアンスは、2つのフランチャイズを勝者に変え、先駆者として他者のための機会を切り開いてきたコーチとして人々の記憶に残るだろう。
バッカニアーズにチーム史上2度目のスーパーボウルの栄冠をもたらしたエリアンスHCがサイドラインから去る。2013年から2017年にアリゾナ・カーディナルスのヘッドコーチを務め、いったんは前線を退いたエリアンスは、2019年にバッカニアーズの立て直しを請け負った。バッカニアーズHCとしての3シーズンにはレギュラーシーズンで31勝8敗、プレーオフ進出2回、ポストシーズン5勝1敗という記録を残している。
NFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)南地区で優勝し、NFCディビジョナルラウンドにコマを進め、2022年NFLドラフトまで1カ月ほどの段階での退任。69歳のエリアンスはチームを通じて発行された声明で、タイミングについてこう説明している。
「シンプルな答えとしては、この信じられないほど素晴らしいコーチングの旅路において、自分ができるなど夢見てもいなかったようなことを成し遂げたからだ。第55回スーパーボウルに母や家族が来てくれているホームスタジアムで優勝したのは、私がこのキャリアでやりたいことで最後の最後に残っていたことだった。私にとって、単にコーチとしての記録に勝利をつけ加える以上のことなんだ」
「このチームはジェイソンの素晴らしい仕事やグレイザー家の勝利へのコミットメントによって、3年前に比べてずっと良い場所になっている。あなたがたが私の健康問題だと考えだす前に言っておこう、やめてくれ。長い間でも最高の感触だし、私は新しい役割を通じてこのチームのさらなる勝利を助けることを楽しみにしている」
「私と家族にあまりにも多くのものを与えてくれたこの信じられないゲームにお返しをすることに集中したい。このオフシーズンの早い時期に、自分の個人的な移行プランについて考え始めた。自分が退くときにはトッド・ボウルズが成功するための最高のチャンスがあるようにしたかった。失敗が見えている状況に置かれるヘッドコーチは非常に多いが、私はトッドにそうなってほしくなかった。トム(ブレイディ)の復帰の決断や、ジェイソンや彼のスタッフが素晴らしい仕事によってチームの核となる部分をフリーエージェンシーを通じて確保したことで、トッドにバトンを渡すときだと確かに感じられた。どういった引継ぎプランがあり得るか、数週間前にジェイソンやグレイザー家との話し合いを始めている。彼らの理解とサポートはわたしにとってかけがえのないものだ」
効果的にボウルズにバトンを渡したエリアンスは、書面上では十分にNFCコンテンダーだと言えるロースターを元DCの手元に残した。
最も顕著な点として、バッカニアーズにはブレイディが戻ってくる。チームをスーパーボウルに導いたクオーターバック(QB)は3月初めに引退を取りやめることを発表した。このオフシーズンの間にはエリアンスとブレイディに亀裂があるとの憶測が生じており、エリアンスがフロントオフィスに移ると決断したことでうわさは再燃するかもしれない。しかしながら、エリアンスはこの憶測をはっきり否定。さらに、ブレイディはエリアンス退任のニュースを受け、感謝の長いメッセージを送った。
「僕とこのチームのためにしてくれたすべてにありがとう、BA。あなたは信じられないほどの人であり、コーチであり、あなたのためにプレーできたのは名誉だった。あなたこそ真のNFLレジェンドで、リーグにさらなる多様性や包括性をもたらすためにこれまでしてきたすべての仕事のパイオニアだ」
「スマートでタフ。そして誠実。それがあなたのスタイルを表す言葉の一部だ。2年前に僕を誘ったときのあなたとの会話はいつまでも忘れないし、これまでに話し合ってきたすべてのことは完璧に実現された。僕たち全員があなたのリーダーシップと指導の恩恵にあずかった。僕たちが達成したすべてを、本当に誇りに思う。バッカニアーズに入ると決める上であなたの存在はすごく大きかったし、ずっと感謝し続ける」
「あなたを支える、愛する家族の方々と、本当にそうするにふさわしい時間をあなたがこれから過ごしていくことが、とてもうれしい。驚異的なコーチングキャリアにお祝いを述べるけれど、それ以上に大事なのは、あなたが僕やフットボールのゲームにいる他の皆にいかにポジティブな影響を与えたかだ」
真っ正直な人格、愉快な記者会見、試合でのアグレッシブなアプローチで知られてきたエリアンスが、チームの手綱をボウルズに渡す。ボウルズはエリアンスがいた期間を通じて、チームの守備コーディネーターの役割を担っていた。ボウルズの昇格に伴い、『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートはインサイドラインバッカー(ILB)コーチのラリー・フートとディフェンシブライン(DL)コーチのケイシー・ロジャーズが共同で守備コーディネーターの仕事に当たると見られると伝えている。
現在のリーグで6人目のマイノリティーのヘッドコーチになるボウルズは、この役職での2度目のチャンスをつかんでいる。ボウルズは2015年から2018年にニューヨーク・ジェッツのヘッドコーチを務め、24勝40敗に終わった。だが、今回ははるかに才能に富むロースターと、スーパーボウルの経験を有しての再出発だ。
ボウルズは声明の中で「グレイザー家とジェイソン・リヒトに、私を信頼してこの役割を任せてくれたことに感謝している。そして、エリアンスコーチのサポートとこれまで40年にわたる導きにも感謝を」と述べた。
「タンパは私の家族にとってのホームになった。私はこれからもこのコミュニティの一部であることに興奮している。一つの組織として、われわれには近年に築いてきた勝利というスタンダードを継続するためのすべてのピースがそろっている。選手やコーチングスタッフ、フロントオフィスの面々と2022年の準備を始めたくてたまらない」
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