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セインツやイーグルスでプレーしたSマルコム・ジェンキンスが13シーズンのキャリアに幕

2022年03月31日(木) 13:54

ニューオーリンズ・セインツのマルコム・ジェンキンス【AP Photo/Danny Karnik】

NFLで13シーズンを過ごし、スーパーボウルチャンピオンに2度輝いたセーフティ(S)マルコム・ジェンキンスが、フィールド上で警戒にあたることはもうない。

3度のプロボウラーであるジェンキンスは『The Pivot Podcast(ピボット・ポッドキャスト)』で引退の意思を表明した。

ジェンキンスは『Twitter(ツイッター)』に「感謝している。13シーズンが過ぎ、俺のフットボールフィールドでの時間は終わりを迎えた。俺はただのピスカタウェイ出身の少年で、このゲームを通じてこのスポーツのチャンピオンになり、皆のチャンピオンになった。フィールドでの時間は終わったかもしれないが、俺は皆のために戦うことを決してやめない」と投稿している。

近代のゲームに理想的な万能型の選手であるジェンキンスは、2009年のドラフト1巡目でニューオーリンズ・セインツから指名を受けた。

相手からボールを奪うことに長けたジェンキンスはニューオーリンズで5年を過ごし、スーパーボウル優勝を果たしたほか、プロ2年目でオールプロのセカンドチームに選ばれている。フィラデルフィア・イーグルスと大型契約を結ぶと、新天地でプロボウルに3度選ばれ、イーグルスが初のスーパーボウル制覇を果たす一助となるなどの活躍を見せた。

イーグルスオーナーのジェフリー・ルーリーは声明の中で「マルコム・ジェンキンスはとても多くの意味で、われわれがフィラデルフィア・イーグルスの一員に望むものを定義づけた」と述べている。

「彼には才能があり、知的で、万能で、信頼できる選手だった。フィジカルな部分でも、メンタルな部分でも強かった。彼はその言葉や行動、フィールドに持ち込む感情、そして、毎日欠かさずわれわれの施設の中で発揮していたプロフェッショナリズムによってわれわれを導いた」

ジェンキンスは2020年にニューオーリンズに戻り、NFLでも最高の守備陣の後方を固める手助けをした。

セインツのヘッドコーチであるデニス・アレンは、次のように声明で述べている。

「われわれが2009年に最初に彼をドラフトしたときのことを思い出す。彼はセカンダリーの複数のポジションでスーパーボウルチャンピオンシップチームに貢献し、そこから急速に傑出したセーフティに成長した。スキルのコンビネーションや意識、知性がマルコムをフィールド中でプレーを決められるポジションにつくことを可能にしたのだ。彼が残してきた数字が、彼の才能や自分の技へのコミットメントを物語っている。彼はロッカールームの偉大なリーダーでもあり、コミュニティにとって重要な貢献者だった。マルコムを指導する機会があったことを誇りに思う。彼の見事なキャリアに祝福を」

『NFL Network(NFLネットワーク)』のマイク・ガラフォロは、ジェンキンスが先日、引退に先立ってセインツの短期的なサラリーキャップ状況の助けとなるよう、最少額で契約しなおしたと伝えた。

ジェンキンスが引退し、マーカス・ウィリアムスがボルティモア・レイブンズと大型契約を結ぶ中、セインツは新たに契約したマーカス・メイと共に2022年シーズンに臨む。アキレス腱断裂からの復帰となるメイと組むのはダニエル・ソレンセンだ。

苛烈なファイターであるジェンキンスはフィールド内外で力を発揮していた。イーグルスとセインツでジェンキンスはロッカールームのリーダーとして見られており、フィールドでチームが頼りにできる選手でもあった。34歳のジェンキンスは過去8シーズンに1試合しか先発を逃していない。

キャリアを通じてジェンキンスはタックル1,044回、インターセプト21回、パスディフェンス110回、タッチダウン8回をマーク。イーグルスとセインツの両方で、NFLウォルター・ペイトン・マン・オブ・ザ・イヤーの候補者に選ばれた。また、2017年に設立され、NFLと提携して連邦、州、地域の各レベルで社会正義や人種間の平等といった課題に取り組む組織である『Players Coalition(選手連合)』の共同創設者でもある。

水曜日に『NFL Total Access(NFLトータルアクセス)』に出演したジェンキンスは、プレーに関連して何が一番寂しくなると思うか聞かれ、こう答えている。

「NFLで、ロッカールームやチームで過ごしてきた時間が、俺をあらゆる意味でもっといい人間にしてくれた。施設に来るたびに毎日、どこかの部分でもっと良くなりたいと思うんだ。だから、フィールドの上で良くなるだけじゃなくて、フィールドの外でもそう。俺のチームメイトたちの中で、彼らの人生の見方を聞いたり、彼らに何が起こっているのか、彼らがどこから来たのか、何をやっているのか聞くだけで刺激になる。そして時に、鉄が鉄を磨くことがある。常に進化し、成長し続け、良くなり続け、自分を評価し続ける環境にいなくなれば、それが寂しくなるだろうな。そういうやつらの傍にいることで、自分は毎日もっと良くなれる。それが俺たちのゲームの美しさだ。だから、そういう環境を一番恋しく思うだろう」

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