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大切なのは場所、シーホークスとの2度対戦は“おまけ”とラムズLBワグナー

2022年04月05日(火) 15:39

ボビー・ワグナー【AP Photo/Ted S. Warren】

ラインバッカー(LB)ボビー・ワグナーはかつて自分が生まれた街で新たなナンバー、新しいユニフォーム、新しい家を手に入れた。

多くの馴染みあるものに触れているだろうワグナーには、プロとして唯一知っているディビジョンで過去に所属していたチームと対戦する機会が2度ある。ワグナーがロサンゼルス・ラムズの最新メンバーになったのは2回のリベンジの機会があるからだけではないが、だからといってその機会がラムズにワグナーが来るチャンスを阻むこともなかった。

現地4日(月)に行われた入団会見の中でワグナーはこう語っている。

「多くの人が、それが俺の決断を導いたと思っている。シーホークスと戦えるってことが。でも、俺の心の中にそれほどの憎しみはない。俺は心からハッピーになりたかったし、自分の故郷に近いところにいることや、ウエストコーストにとどまることを望んでいた。それが俺にとって大事だったけれど、シーホークスと1年に2度戦えるのはトッピングのチェリーみたいなもんだな。彼らとプレーするたびに、彼らが確実に俺を見るようにするつもりさ。俺がどこにいるかみんなが知っているし、俺は彼らに、おとなしい試合にはならないぞって言ってやるんだ」

シーホークスとの10シーズンでプロボウルに8度選ばれたワグナーは、もちろん、1シーズンに2度以上存在感を示すことを狙っている。ラムズで45番――シーホークス時代の54を逆にした数字――を身に着けるワグナーには、オールプロに選ばれただけの生産性をラムズで最も手薄になっているグループにもたらすことが期待されている。ワグナーはディフェンシブエンド(DE)アーロン・ドナルドやコーナーバック(CB)ジャレン・ラムジーという2人のエリートプレーヤーのいる守備陣に加わる。シーホークスがワグナーをリリースしたとき、2人のトップ選手は時間を無駄にすることなくワグナー勧誘に動いた。

「シーホークスが俺をリリースしたとき、俺がすっかり終えてからすぐにアーロン・ドナルドから連絡があって、ジャレン・ラムジーからも来た。だから、コミュニケーションは本当に早かった。それからの俺のプロセスとしてはとにかく、キャリアのこの段階で自分がハッピーになれる場所にいたかった。自分のホームに近い場所。家族に近いこの状況。知っての通り俺はシアトルにも家族がいて、彼らにも近いところにいたかった。それが俺にとって大事だった。だけど、その上で勝てる組織っていうのは、まさにおまけのチェリーさ」

チェリーが好きなところを見ると、ワグナーは“サンデー”(アイスクリームを使ったデザート)を求めているのかもしれない。これから多くの日曜日をかつての敵地であり、いまや親しみあるターフとなったSoFiスタジアムで過ごしていくことになるワグナー。スタジアムのあるイングルウッドはワグナーの生地であるロサンゼルスのすぐ南だ。このスタジアムをホームとする現スーパーボウル王者は、勝利の甘美な味をチームにもたらすことを期待してワグナーを獲得する価値はあると考えた。

「遠くから見て称賛しているし、彼らは勝てるようにするためなら何でもする。こうも思うんだ。ああいう人たちが、自分の力でオールプロに選ばれるような選手たちが俺と組みたいといって連絡をくれるんだ。自分が来ることを望み、そこでプレーしてほしいと思ってくれる人たちのところにいるなんて特別なことだと思う。それは特別なんだ」

「正式に正式。@BwagzがLAラムに」

地元とのつながりを考えれば、ラムズの財政面でのオファー、すなわち2年1,750万ドル(約21億4,463万円)のベースサラリーと1,000万ドル(約12億2,565万円)の保証、インセンティブによる最大額2,350万ドル(約28億8,027万円)が月曜日に正式契約を交わしたワグナーにとっての決定打ではなかったのも驚きではない。ボルティモア・レイブンズがそれを少し上回る2年契約(ラムズの1,750万ドルに対して1,800万ドル/約22億0,660万円)を提示していたものの、ラムズの方がインセンティブが高く、地理的なアドバンテージがあったと『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートが伝えている。

それらのパッケージが、6度のオールプロであるワグナーに南へ移り、元ライバルと合流することを納得させた。ワグナーはラムズがNFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)西地区のみならず、フットボール界のトップにとどまることを願っているだろう。

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