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ジェッツがウクライナの救援活動に12億円以上を寄付

2022年04月06日(水) 10:21

ニューヨーク・ジェッツ【NFL】

スザーン・ジョンソンさんはウクライナの悲惨な映像や報道を見るたびに亡き両親のことをよく思い出すという。

時にはそれが耐え難いこともあり、彼女はいてもたってもいられなくなった。

ニューヨーク・ジェッツのオーナー、ロバート・ウッド・ジョンソンの妻であるスザーンさんにとってはすべてが身近に感じられる出来事だった。母親のマリーはウクライナ移民の両親のもとに生まれ、父親のステファン・イルチャは戦火のキーウ郊外の町テルノーピリ出身で、21歳の時に単身アメリカに移住している。

スザーンさんは電話でのインタビューで「母は10年前に、父は2年前に亡くなりましたが、今ごろはお墓の中で寝返りを打っていることだわ」と『Associated Press(AP通信)』に話している。「今起きていることを知ったらきっと耐えられないでしょう。信じられない。現状を表すにはこの言葉しか思い浮かばないわ」

ジェッツは現地5日(火)に、2月24日からロシアの侵攻を受けているウクライナの人々を支援するため、100万ドル(約12億3,650万円)を寄付することを発表した。寄付金は今後1年間にわたって複数の団体に分配され、それぞれに10万ドル(約1,236万円)が支払われる予定だという。

「この問題が消えてなくなることはないので、私は自分の役割を果たし、周りの意識を高めたいと思いました」とスザーンさんは語っている。「このお金は再建と支援のために長い間必要とされるものです。それが十分にあるようにしたい。だから、私たちが何かを始めることができればと思っています。世界はとても寛大で、これからもそうであってほしいと願っています」

スザーンさんはアメリカで生まれ、ニューヨークの中でもウクライナ人が多く住む地域で育った。数年前からウクライナの団体に寄付をしており、支援方法を決める際には夫とともにその人脈を活かしてきたとのことだ。

ジェッツからの寄付を受ける最初の団体は、1911年にウクライナで設立された“Plast Scouting USA(プラスト・スカウティングUSA)”で、救急キットや医療機器・用品など、同国で緊急に必要とされているものに焦点を当てている団体となる。

「私たちがやりたかったのは、現地に拠点を置き、すぐに物資を届けることのできる組織を見つけることでした」とスザーンさんは話す。

ジェッツから提供された声明の中で、プラスト・スカウティングUSAのアンドリュー・コザック会長はチームの寄付に対して感謝の意を表しており、「この資金は重症を負った多くのウクライナ人を治療するために必要な医薬品や、携帯型の無線超音波診断装置などの最先端の医療技術の購入に直ちに使われます」と述べている。

ジェッツでは義援金の寄付に加え、スタッフが医療用品を寄付できる機会も設けて救援活動を支援している。チームは寄付された物資と同額を寄付し、被害を受けた人とその家族を支援する活動を拡大する予定だ。

ロバート・ウッド・ジョンソンは声明で、「これらの寄付はウクライナの難民とその家族に必要な物資を提供し、ポジティブな影響を与えるでしょう。物資の必要性は高まり続けています。私たちの思いは、影響を受けた罪のない命と苦しんでいるすべての人たちとともにあり続けます」と述べた。

この数カ月の間に他のいくつかのスポーツ団体や選手個人も支援や救済活動を行ってきた。

サッカーの統括団体であるFIFAは人道支援活動に100万ドルを寄付しており、テニス界のスター選手、ロジャー・フェデラーはウクライナの子どもたちが継続的に学校に通えるようにするために50万ドル(約6,183万円)を寄付している。また、テニスのグランドスラムの4大会およびツアー全体を運営する団体が共同で人道的救済活動を支援するために70万ドル(約8,658万円)の寄付を行った。ワシントン・コマンダースのオーナーであるターニャ・スナイダーとダン・スナイダーも支援活動として30万ドル(約3,710万円)を寄付している。

「映画で見たり、聞いたりすることはあっても、テレビのニュースでこうしたことが流れるのを見ることはありませんでした」とスザーンさんは言う。「でも今、世界中がそれを目の当たりにしていて、信じがたいことです。実際の映像や写真がこの国に衝撃を与え、この戦いに対して団結させました。2022年という現代にただ生き延び、繁栄したいと願う平和な国を助けたいのです」

「ロシアはウクライナを破壊したため、再建には何年もかかるでしょう。あまりも分別のない行為で言葉がありません。胸が張り裂けそうです」


記事提供:『The Associated Press(AP通信)』


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