2022年NFLシーズン:スケジュールが有利なチーム10選
2022年05月13日(金) 22:56どうすれば楽なスケジュールになるだろうか。フットボールに精通している人に聞けば、そのような方法はないという答えが返ってくるだろう。
与えられるものは何もない。自らの手で勝ち取っていくのだ。毎週、毎日、毎プレーを大切にしなければならない。いかなるチームもどんな相手であっても勝てるチャンスはある・・・。
しかし、スケジュール的な要因で、シーズン中にいくらか楽をしているチームがあるのは確かだ。
チームのスケジュールの難易度を測る1つの方法として、スケジュールの強度(昨シーズンの成績に基づく対戦相手の総合成績)を算出することがある。とはいえ、毎年同じ成績のチームはない上に、スケジュールの強度は日程の順番に伴う多くの変数を考慮に入れていない。
例えば、2019年にワシントン・レッドスキンズ(現ワシントン・コマンダース)は最もスケジュールの強度が弱いシーズンを迎えていたにもかかわらず、リーグで2番目に悪い成績である3勝13敗に終わっている。一方で、アトランタ・ファルコンズは2016年に最も高い強度のシーズンを迎えながらもスーパーボウル進出を果たした。
適切な推定を行うには、より科学的な視点、あるいは少なくともより主観的な視点が必要となる。
2022年シーズンの日程が現地12日(木)に発表されたことを受けて、ここではホームゲーム、移動、選手の可用性、天候、そして最も科学的な指標であるチームの強さなどの要素を考慮し(ただしこれに限らない)、快適な旅程が組まれていると思われるチームを順番に紹介していく。
<第1位>
ニューヨーク・ジャイアンツ
スケジュールの強度:.465(29位)
バイウイーク:第9週
ジャイアンツは新ヘッドコーチ(HC)ブライアン・ダボールの下で勢いのあるスタートを切る必要がある。ジャイアンツはシーズン第1週にテネシー・タイタンズとのタフな試合を控えているが、その後5週間(!)で真のロードゲームをする必要がない。シーズン第2週から第6週まで、ニューヨークで最も好戦的な地域は・・・ニュージャージー州だ。ジャイアンツはメットライフ・スタジアムでカロライナ・パンサーズ、ダラス・カウボーイズ、シカゴ・ベアーズと対戦し、ロンドンでグリーンベイ・パッカーズと対戦した後、ボルティモア・レイブンズを迎え撃つ。ジャクソンビル・ジャガーズ戦(シーズン第7週)とシアトル・シーホークス戦(シーズン第8週)は真のロードゲームとなるが、どちらも昨年はプレーオフ進出争いに加わるようなチームではなかった。シーズン第9週のバイウイークを終えると、ジャイアンツはヒューストン・テキサンズとデトロイト・ライオンズとの試合を管理しやすいホームで行う。ジャイアンツは最後の8週間で5回のディビジョナルゲームを戦い、シーズンを終える予定だ。その頃には2016年以来、勝率.500を超えていないジャイアンツでも難なく平均を上回っているかもしれない。
<第2位>
ボルティモア・レイブンズ
スケジュールの強度:.474(23位)
バイウイーク:第10週
AFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)北地区のチームは今季、AFC東地区とNFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)南地区という、最も未知数なチームが多い2つの地区と対戦する予定だ。2021年にAFC北地区最下位に終わったレイブンズにとって、対戦相手はさらに平凡な顔ぶれとなっている。昨シーズンの最後の試合を欠場したクオーターバック(QB)ラマー・ジャクソンは、最初の4週間でAFC東地区の全チームと戦うことになっており、シーズン第4週の強豪バッファロー・ビルズ戦に向けて、ニューヨーク・ジェッツ戦、マイアミ・ドルフィンズ戦、ニューイングランド・ペイトリオッツ戦と実質的に徐々に対戦相手が強くなる状態でチームを力強いスタートに導く機会に恵まれている。その後、シーズン第10週のバイウイークの前に、ディビジョン内のホームゲーム2試合(シンシナティ・ベンガルズ戦、クリーブランド・ブラウンズ戦)、敵地開催のニューヨーク・ジャイアンツ戦、NFC南地区の強豪とのプライムタイムのロードゲーム(シーズン第8週の木曜夜にタンパベイ・バッカニアーズ戦、第9週のマンデーナイトにニューオーリンズ・セインツ戦)が待ち受けている。2022年は近年に比べてプライムタイムの試合が少ないため、レイブンズはパンサーズ戦とジャガーズ戦から始まるスケジュール後半の序盤に目立たずに行動することができ、ポストシーズンへの復帰を果たす可能性がある。
<第3位>
ダラス・カウボーイズ
スケジュールの強度:.462(31位タイ)
バイウイーク:第9週
シーズン第1週はQBトム・ブレイディ率いるバッカニアーズ、第2週はAFC王者のベンガルズとのホームゲームと、NFC東地区の前回王者はすぐに実力を試されることになるが、この時期はシーズンの中でもダラスにとって最も厳しい時期であることは間違いない。嫌なことは早いうちに済ませた方がいいだろう。カウボーイズはシーズン第5週と第6週にロサンゼルス・ラムズとフィラデルフィア・イーグルスとのロードゲームを控えており、またもや難所に直面するものの、ライオンズ戦とベアーズ戦が終わればシーズン第9週はバイウイークだ。シーズン第10週はランボー・フィールドでQBアーロン・ロジャースとの対戦が予定されており、パッカーズに所属していたことのあるマイク・マッカーシーHCにとってはグリーンベイ再訪となる。さらに、シーズン終盤にはホームゲームを3回開催する機会に恵まれている。ジャイアンツとのサンクスギビングゲームが終われば、QBマット・ライアン率いるインディアナポリス・コルツと、テキサンズとの試合に臨む予定だ。ターキーデーを除き、プライムタイムに5試合を開催するカウボーイズは今年、予想通りにスポットライトを浴びることになるだろうが、カウボーイズは明るい光の中でも輝く準備ができている。
<第4位>
シアトル・シーホークス
スケジュールの強度:.517(11位)
バイウイーク:第11週
クオーターバック(QB)ラッセル・ウィルソンがシーズン第1週にシアトルに戻ってくる。とは言え、もちろん真の意味の帰還ではない。シーホークスは元フランチャイズQBを相手にシーズンをスタートする。10年をシアトルで送ったウィルソンは、今やデンバー・ブロンコスの一員だ。マンデーナイトのこの試合には、多くの注目が集まるだろう。“The 12s”(シーホークスファン)たちはこの夜、デンバーのポゼッションの間に12回は最高音量記録を更新するかもしれない。そういった要素がウィルソンとヘッドコーチ(HC)1年目のナサニエル・ハケットの仕事を難しくし、シアトルにとっては今季のスケジュールの中でも最もハードな試合の一つを少し容易にする可能性がある。また、シーホークスはバッカニアーズと、相手のホームであるタンパベイではなくドイツで対戦した後にバイウイークを迎える。インターナショナルゲームの後にバイウイークが来るチームは、シーホークスを含めて3チームのみだ。さらに、シーズンラスト5戦中、4試合をホームで戦うことになっている。
<第5位>
ワシントン・コマンダース
スケジュールの強度:.462(31位タイ)
バイウイーク:第14週
ワシントンへようこそ、カーソン・ウェンツ! この記事は決して第1週と第2週の対戦相手――QBトレバー・ローレンス体制になったジャガーズと、“Hard Knocks(ハードノックス)”が取り上げるライオンズ”ばかりを扱うものではないが、コマンダースにはNFC東地区制覇に向けて好発進するチャンスがある。それは、コマンダースが2021年にリーグの最下位にいた2チームとの対戦で今季をスタートするからだ。ワシントンは2021年の戦績に基づく対戦相手の評価の部分で最もスケジュールの強度が低いだけではなく、ソフトスタートやスケジュール上の都合による恩恵もある。たとえば、シーズン第6週にベアーズとのサーズデーナイトフットボールに臨むことから、コマンダースにはQBアーロン・ロジャースおよびパッカーズとのホームでの試合に向け、1週間以上の準備期間がある。さらに、人々が期待するウェンツとその元所属チームであるイーグルスとの対決が第10週のマンデーナイトフットボールに組まれているものの、実はウェンツにはそれ以前のシーズン第3週に、ホームで行われるサンデーゲームでイーグルスと戦う機会があるのだ。おそらく、11月の中頃にはこのマッチアップに対する熱もいくらか冷めているだろう。ワシントンのバイウイークはシーズン後半(シーズン第14週)になるが、ラスト4戦中3戦はホームで実施され、うち2試合はディビジョンライバル(ジャイアンツとカウボーイズ)が相手だ。
<第6位>
デトロイト・ライオンズ
スケジュールの強度:.467(28位)
バイウイーク:第6週
プライムタイムゲームの予定がない状態で開幕を迎える唯一のチームがライオンズだ。プレシーズンに“Hard Knocks”の取材を受けるライオンズには、いったんアクションがスタートした際には早期の成功を収める構えが整っている。ライオンズはシーズン序盤4週のうち、3試合をホームで戦う予定だ。この4試合のすべてが、相手にそれほど脅威を抱かせることのないNFCのライバルたちとの試合になっている(フィラデルフィア、ワシントン、ミネソタ、シアトル)。チームにとって最もタフな試合(ホームでのビルズ戦や敵地でのパッカーズ戦)がやってくるタイミングも悪くない。ビルズはライオンズの今年のサンクスギビングゲームの対戦相手であり、そこからホームでの3試合がスタート。ライオンズがランボー・フィールドを訪れるのはシーズン第18週のことで、もしかしたらパッカーズはそのときにはすでにプレーオフ進出を決めているかもしれない。
<第7位>
サンフランシスコ・49ers
スケジュールの強度:.533(5位タイ)
バイウイーク:第9週
データ上では、49ersには今季で最も厳しいたぐいのスケジュールが組まれている。その対戦相手はNFC西地区にAFC西地区、その他もろもろだ。しかし、スケジュールの奇妙な偶然により、49ersはバイウイーク後に思わぬ恩恵を受けることになりそうだ。10月30日(日)の試合後、49ersは12月15日(木)のシーホークス戦まで相手のスタジアムに赴くことはない。第9週のバイウイーク後の予定は次の通りだ。ホームでのチャージャーズ戦、メキシコシティでのカーディナルス戦によって敵地での地区対決を回避、ホームでのセインツ、ドルフィンズ、バッカニアーズ戦。序盤8週にQBラッセル・ウィルソンやQBパトリック・マホームズ、そしてラムズ(2度も!)との対戦に挑む49ersにとって、比較的気の休まるひとときとなっている。カイル・シャナハンHC一行にとって有望な後半戦ではあるが、果たしてそれまでにどれだけの戦いができるかが見ものだ。
<第8位>
フィラデルフィア・イーグルス
スケジュールの強度:.466(30位)
バイウイーク:第7週
重要なのはいかに始まるかではない――とは言え、時にはそういうこともある。イーグルスはライオンズ、バイキングス、コマンダース、ジャガーズ、そして“ヌーク“ことワイドレシーバー(WR)ディアンドレ・ホプキンス(開幕から6試合出場停止)のいないカーディナルスを相手に、スタートダッシュを決めることが可能だ。これらの試合は、QBジェイレン・ハーツとWRのA.J.ブラウンが第7週のバイウイーク後に快調な戦いを続けていく上で、十分な滑走路となってくれるだろう。ホームでのカウボーイズ(第6週)やパッカーズ(第12週)との試合がハードルになる可能性はあるが、そのいずれもがプライムタイムの試合として組まれている。実際のところ、イーグルスが予定している5つのナイトゲームのうち、4試合がリンカーン・フィナンシャル・フィールドを舞台としている。スケジュール上のいくつかの残念な要素としては、QBカーソン・ウェンツのフィラデルフィア訪問に先立ち、相手の本拠でのコマンダース戦(第3週)が組まれていることや、シーズン終盤のカウボーイズ戦がアーリントン(カウボーイズの本拠地)で実施される点がある。
<第9位>
ミネソタ・バイキングス
スケジュールの強度:.484(20位)
バイウイーク:第7週
確かに、バイキングスのケビン・オコンネル時代はNFC北地区を支配するQBアーロン・ロジャースとの戦いで始まる。しかし、バイキングスはロジャースとパッカーズに敵対的であることが明らかなホームのU.S.バンク・スタジアムでその戦いに臨むことができるのだ。実際、バイキングスが開幕からの5戦において敵地で試合をするのは1回(シーズン第2週のイーグルス戦)のみ。シーズン終盤にもホームでの試合が控えており、バイキングスは第11週から第15週の6週間中、5試合でホストを務める。その中にはサンクスギビングデーに組まれたペイトリオッツとの試合もある。
<第10位>
カロライナ・パンサーズ
スケジュールの強度:.512(12位タイ)
バイウイーク:第13週
シーズン序盤5戦の中の4試合がホームを舞台とするパンサーズは、残る1試合をジャイアンツの本拠地で戦う。ジャイアンツはパンサーズと同様、今年のドラフトで上位10位以内の指名権を持っていたチームだ。また、パンサーズはWRディアンドレ・ホプキンスがまだ復帰していないタイミングのカーディナルスと、第4週に対戦することになっている。こういった状況から、マット・ルールHCのチームは昨年のようにホットスタートを切れるかもしれない。昨シーズンのパンサーズは開幕から3勝0敗をマークしていた。パンサーズとしては、シーズンの残る試合が2021年よりも良くなることを願うばかりだ。
【RA/A】