批判に屈せず“最高な”ディープボールを披露したドルフィンズQBタゴヴァイロア
2022年06月03日(金) 15:37マイアミ・ドルフィンズが今オフシーズンにオフェンスの大改革を行った後、マイアミではトゥア・タゴヴァイロアのクオーターバック(QB)としての能力を疑問視する声が広がっていた。
具体的には、タゴヴァイロアの腕の強さに対して疑いが強まっている。ドルフィンズの新ヘッドコーチ(HC)マイク・マクダニエルは現地2日(木)の練習後にQBの腕にどれほど自信があるかと問われた際に、そうした疑問を持たれていることを十分に承知している様子を見せた。
マクダニエルHCは報道陣におどけた調子で「今日は良いディープボールがあったってこと?」と質問し、「成功率にかなりの自信があったかって? いくらかあるね」と続けている。
タゴヴァイロアがワイドレシーバー(WR)タイリーク・ヒルに向かって投げたディープパスの成功はドルフィンズの練習を締めくくるのに十分にふさわしいものだった。それはタゴヴァイロアのディープボールが向上したことを示す一例に過ぎないかもしれないが、それによって24歳のQBは批判に堂々と対処する機会を得ている。ちなみに、ヒルはドルフィンズが今オフシーズンに獲得した選手の中で最も注目を集めた選手だ。
タゴヴァイロアは「俺はそれをゾーン分けしているだけだ」と語っている。「つまり、俺たちは練習に来ているけど、他のみんな、“Twitter(ツイッター)”戦士とかキーボード戦士(インターネット上で挑発的な内容を投稿をする人)とか、どう呼んでもいいけど、彼らはここで俺たちと一緒に一生懸命に練習しているわけじゃない。だから、最後のタイリークへの一球を録画したかどうか知らないし――あなたはどうか知らないけど、あれは最高だったんじゃないか」
一連の攻撃陣のアップグレードの中で見過ごされている存在であるマクダニエルHCは、ディープボールをどう考えているのかについて、コーチと選手の両方の視点から次のように説明した。
「クオーターバックに関して、いつもおかしいと思うことがある。クオーターバックが投げる時間があるプレーしか計画できないし、それは一般的に歴史的な観点から見たプレーの時間内を指す。いわゆるワンヒッチ・タイミングに55ヤードや60ヤード以上、レシーバーを奥にやるわけにはいかない。だから、前提として60ヤードを投げられるだけの腕力を持たなければならず、予測ができず、何が起こるのかを確認してからでないと投げられない場合は、70ヤードを投げる必要があると私は考えている。なぜなら、それを確認するために待たなければならないし、そうすればレシーバーはさらに遠くに行けるからだ。願わくはプロテクションがあって欲しいね。私がリーグに参加した2005年以降にずっと続けている方法は、クオーターバックがディフェンスを見極めることができ、それが正確であれば60ヤードを投げられるかどうかを評価するというものだ」
「彼は今日、55ヤードのパスを投げていたかもしれないが、だからこそ選手たちから不安の声がまったく聞こえてこないのだ。彼らもそれが分かっているからだろう。フィールドを見渡すことに関しては、十分に速いし素晴らしい。彼は85ヤードのボールを投げるわけではないが、フットボール史上最高のオフェンシブラインがない限り、85ヤードを投げられる選手を実用化することはできないと思う。そして、最大限のプロテクトをするときにディフェンスはラッシャーを追加するだけでは不十分だ」
タゴヴァイロアはドルフィンズと長期的な契約を結ぶかどうかを判断される重要な3シーズン目を迎えようとしている。しかし、今回慣れなければならないマクダニエルHCのシステムが、ドラフト全体5位指名を受けてNFL入りしてから3つ目のものであるということはタゴヴァイロアにとって不利な状況を生み出していると言えよう。今のところ、マクダニエルHCはタゴヴァイロアの成長に満足しており、彼が初めて逆境に直面したときの成長について、鋭い洞察を踏まえて詳細に語った。
オフェンスのスペシャリストであるマクダニエルHCは「トゥアがこのオフェンスでレップスを受け持っていることにとても興奮している」と述べている。「今の彼の状態にワクワクしている。今日は特に、ちょっとした障害があってもただその瞬間を待っていればいいのだと、彼ともチームとも話した。トゥアはボールの位置にとても敏感で、その結果として非常に正確なクオーターバックになっている。昨日の投球は彼自身も満足していなかったみたいだが、皆に伝えた通り、今日は実際にトゥアを評価した最初の日だった。なぜならナショナル・フットボール・リーグのプロのクオーターバックだからだ――完ぺきに実行できないこともあるだろうし、パフォーマンスが悪いと言われることもあるだろうが、それが何なのだろうか? 誰も気にしやしない」
「それは先導することであり、彼はエネルギーに満ちあふれている。詮索されたり、プレッシャーを受けたり、そういうことに対処するために、あのポジションで必要な100万回の練習のうちの1回だったのだから、今日の彼の頑張りにはとても満足している。チームメイトも彼の違いに気づいているようで、彼は自分を開放し、その点で本領を発揮しているし、信じられないほど謙虚に学ぼうとしている。彼を修正し、ゲームを向上させ、それがみんなにとって最終的な目標となっている中で、彼は警戒心を解いて、われわれは間違いなく、今あるべき彼の自信を高く保つことができた」
これまで先発出場した21試合で、タゴヴァイロアはショートパスでは素晴らしい精度を発揮しているものの、ディープパスで成功した例はほとんどない。パス成功数(263回)とパスヤード(2,653ヤード)でキャリアハイを更新したにもかかわらず、成功したパスの平均ヤードで10.1を記録し、NFLで30位となっている。タッチダウンとインターセプトの比率は16対10であり、パサーレーティングは素晴らしい90.1をマークしているが、改善すべき点は明らかだ。
ロングパスのターゲットとしてヒルやWRセド・ウィルソンがWRジェイレン・ワドルやキャッチ能力に優れたタイトエンド(TE)マイク・ガシキの仲間に加わり、タゴヴァイロアは爆発的な攻撃を展開するための武器を手にしている。マクダニエルHCとタゴヴァイロアはその可能性を利用できるように仕事に取り組んでいるところだ。
【RA】