ラストチャンスとの見方を意に介さないコマンダースQBウェンツ、「1日ずつ進んでいく」
2022年06月09日(木) 18:453シーズンで3つ目のチームをリードする準備を進めるワシントン・コマンダースのクオーターバック(QB)カーソン・ウェンツは、自分がフランチャイズクオーターバックであることを示す3度目にして最後のチャンスを手にしているのかもしれない。少なくとも、殿堂入りのクオーターバックであり、マンデーナイトフットボール(MNF)のカラーコメンテーターでもあるトロイ・エイクマンの5月の見解はそうだった。
ウェンツはエイクマンのコメントを知らなかったようで、かつ、その考えをあまり信じていない様子だ。
2022年シーズンがキャリア全体にとってどれほど重要なものになるかとは関係なく、ウェンツは昔ながらの“1日ずつ”進んでいくというやり方を守っている。
チームの記録によれば、ウェンツは現地8日(水)に「そんなに率直に言われているとは知らなかった。それについては問題ない。誰もが、自分の意見を持っているもんさ」と報道陣に語ったという。
「俺はこのゲームをプレーするというこのチャンスにとにかくワクワクしている。俺たちにはここで何か特別なことをする能力があると思うし、俺たちには攻撃面でダイナミックになれるだけの本当に優れたスキルセットがあると思う。当然、一日ずつやっていく。だけど、俺としては、自分にあまり大きなプレッシャーをかけようとはしていない。俺はいつでも自分自身や攻撃陣に高い期待を設定しているけれど、そういうタイプのゲームをする気はない。そういうプロセスに割くようなメンタルのスペースはないし、イライラさせられる時がある。だから、俺にとってはただ自分のベストであろうと努力するだけだし、家では父親として、夫として一番の自分であろうと努め、また戻って繰り返すんだ」
5月中旬に行われたMNFの新コメンテーターとしての記者会見にジョー・バックと共に出席したエイクマンは、フィラデルフィア・イーグルスやインディアナポリス・コルツに在籍し、現地11月14日(月)にマンデーナイトフットボールでフィラデルフィアに戻ってくるウェンツについての意見を求められた。
「率直に言わせてもらえば、多分、これは彼がNFLのフランチャイズクオーターバックたり得ることを証明する最後のチャンスじゃないかな」とエイクマンは述べている。
その点について議論するのは難しい。イーグルスがかつて全体2位で指名したウェンツは2年連続でオフシーズンにトレードされ、キャリア初期のような有望さを示すことができずにいた。
新しい再生プロジェクトに飛び込んだウェンツは、今後について壮大な序曲を奏でたりはしない。ただ毎日、フィールドの中でも外でも、あらゆる部分で進歩しようと努力するだけだ。
「つまり、皆いつだって学ぼうと努力するものだろ。もっと良いチームメイト、もっと良い友人であろうと、いつも努力する」と言うウェンツは、こう続けている。
「毎日、もっと良い夫、もっと良い父親であろうと努力している。いつでも学び、成長し、内省し、“OK、俺はあの機会を逃したんだ”と反省する。若いやつらに影響を与えたり、そのチームメイトとかかわったり、そういういろいろな機会を逃してきた。だから、俺はいつでも学び、全員とできるだけ良い関係性を築き、成長させようと努力する。ボールの両サイドのプレーヤーたち、コーチ、備品のスタッフ、トレーニングスタッフたちとね。ミスも犯すだろう。知っての通り、最初にそれを認めるのが俺だ。そして、常に成長しようと努力し、自己反省し、あらゆる部分で、あらゆる形でもっと良い人間になろうと努力する」
すべてがウェンツとワシントンにとってうまく行けば、ウェンツは今後のコマンダースのナンバー1クオーターバックになるだろう。コマンダースは2つの3巡目指名権を手放して、コルツからウェンツを獲得した。ウェンツはワシントンに居場所を見出すことに期待しているものの、本人の発言通り、遠い先のことは考えていない。
長期的なフランチャイズQBとして足場を固める必要があると感じているか問われたウェンツは「何らかの形で、施設の中や練習でそれを感じたとは思わない」と答えている。
「公の場にいるときなんかは、ファンからそういうことを聞くだろう。俺はここで長い間プレーし、成功を収めることを何より望んでいるけれど、1日ずつやっていくし、さっき話していたような余計なプレッシャーを自分にかける気はなくて、ただ楽しんで、今を最大限に生かすだけだ」
したがって、6月のこの時点では、ウェンツがコマンダースでどれほどうまくやっているかについて判断すべき材料はそれほどない。それにも関わらず、ヘッドコーチ(HC)ロン・リベラはウェンツのこれまでの様子を気に入っているようだ。
リベラHCとウェンツは5年連続負け越しシーズンを過ごしているチームの未来を変えるべく、コマンダースを率いていく。ベテランコーチはこれまでに垣間見えた、はっきりした形を持たないウェンツの資質を歓迎している。
「彼がハドルにいるのを聞いていると、彼はチームメイトにプレーのある側面について話している。彼は理解しているし、彼がチームメイトと並んでコミュニケーションを取っている様子は、われわれにとって本当にポジティブだ。そのことが私に自信を持たせてくれるのは分かっているが、彼がハドルで自分なりのやり方でプレーをコールしているときは、チームメイトたちも自信を感じられるのが分かる」とリベラHCは語った。
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