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パンサーズでの再出発とQB競争に“とても興奮している”とベイカー・メイフィールド

2022年07月13日(水) 13:03


ベイカー・メイフィールド【AP Photo/Ron Schwane】

ベイカー・メイフィールドの信念は、彼の激動のオフシーズンを通しても変わらなかった。それは、コントロールできることをコントロールするということだ。

2021年シーズンに複数のケガを負ったという事実も、クリーブランド・ブラウンズからの評価と意見も、メイフィールドがコントロールできなかったことだ。メイフィールドがその手で制御できたのは、他のチームでの再出発と引き換えに、保証された契約からどれだけのお金をあきらめるかということだった。

長引く交渉の末にその努力がようやく実を結び、メイフィールドは先週に行われたトレードでカロライナ・パンサーズと共にシャーロットでの再出発を果たすことになった。

メイフィールドは、現地12日(火)の記者会見で「シャーロットでの再出発にとても興奮している。分かっていることもたくさんあって、何人かのおなじみの面々がいて、俺が知っている人々がいると同時に、会わなければいけない人がたくさんいる。これは本当に俺自身と俺の家族、そしてこの新しい章にとってわくわくする時間だよ。クリーブランドに敵意はない。キャリアの最初の4年間を与えてくれたフットボールの素晴らしい街だし、あの試練や貢献、チャレンジのなかには、学び、振り返り、成長につながることがたくさんあった。ただ、今は集中して、カロライナ・パンサーズの一員であることに熱中している」と話した。

この景色の変化は、少なくとも7月のこの時点ではメイフィールドに先発の座を保証するものではない。トレーニングキャンプでサム・ダーノルドがメイフィールドを上回るという展開はなかなか予想しにくいが、少なくともそれはゼネラルマネジャー(GM)のスコット・フィッタラーが火曜日にとったスタンスだ。

フィッタラーは記者陣に対し、メイフィールドの加入は必ずしも新しい先発を獲得するためではなく、チームのクオーターバックの状況を補強するためであると話した。2022年のチームの先発を決める上では、現段階ではどちらも優位には立っていないという。

フィッタラーは「これはオープンな競争で、ベイカーを加えたのはチーム全体を良くするためだ。クオーターバックだけでなく、すべてのポジションで競争させるのがわれわれの哲学であり、チームがより良くなる機会を見つけ、選手を加えることができれば、それはチームとしても、財政的にも、ポジションの観点からも、われわれにとって意味のあることなのだ」とコメントし、さらにこう続けている。

「ベイカーがそこにいて会話をしていることは、われわれにとって意味があることだ。競争はサムを成長させると思う。サムは本当に素晴らしく春の時期を過ごし、ステップアップし、エッジを効かせ、よくボールを投げてくれた。また競争はサムだけでなくP.J.(ウォーカー)、そしてクオーターバックルームで学ぶことになる若者のマット・コラルにとっても良いことだろう。ベイカーにとっても、これは新たなスタートとなる。それゆえ全体的に見れば、これはわれわれ全員にとって非常に素晴らしい状況だと思う」

フィッタラーは質問をする記者陣にダーノルドを売り込もうとし、2018年のドラフト全体3位指名の選手を、2021年シーズンに“開幕後3試合で優れた活躍をした”後、後退してケガで出場時間を失った選手だと話していた。2022年のパンサーズの焦点は、ダーノルドであれメイフィールドであれクオーターバックを守ることであり、シグナルコーラーを固定することができれば“良いフットボールができる”という信念を持っているのだ。

メイフィールドが加入したことで、パンサーズは2018年のドラフト上位3位指名のうち2人を保有するという魅力的な状況にある。かつてはライバル同士と見なされ、2018年シーズン第3週で初めて対決したダーノルドとメイフィールドは、今やチームメイトだ。2人はもはや2つのフランチャイズ(ニューヨーク・ジェッツとクリーブランド・ブラウンズ)間の自慢合戦の燃料としてではなく、全く別のチームで1つの仕事をめぐって戦う準備をしている。

お互いに敵意は予想されない。メイフィールドはダーノルドのことを、すでにパンサーズの組織で自分を歓迎してくれた “偉大な男”と表現した。ダーノルドはもはや敵でも物差しでもなく、メイフィールドと同じロッカールームを共有するチームメイトなのだ。

「NFLの中でどのレベルの高さにいようとも、控え選手として満足する気持ちを持っている選手はいない。俺たちは最高の選手になるために競争しているから、このレベルにいるんだ。だからこそサムはここにいるし、マット・コラルはドラフトで指名されたし、P.J.ウォーカーも多くの逆境を乗り越えて戦ってきた。だから俺は自分がなれる最高のクオーターバックになってチームの勝利に貢献するつもりだし、だからこそカロライナに来られてうれしいんだ」とメイフィールドは語った。

「チームは本当に、本当に素晴らしい状況に近いと感じている。ピースを組み合わせて、チームとして団結しなければならない。それがどうであれ、俺は自分の仕事をするつもり。期待されているどんな役割も果たし、素晴らしいリーダー、素晴らしいチームメイトになるつもりだ」

もしメイフィールドに仕事が回ってくることになれば、第1週にパンサーズがブラウンズを迎え撃つシーズン開幕時が、リベンジを果たす絶好の機会になるはずだ。

「わかっていると思うけど、過去の在籍チームと最初に試合するときはいつでも気合が入るし、素晴らしい時間になる。もちろん、特別な試合になるだろう。ホームゲームで、かつてのチームと対戦するのだから、俺が過去に経験した大学から大学への転校と同じような状況だ。だから、可能な限り最善の方法で対処しなければならないし、俺の仕事はチームが勝つために最高の状態にすることであり、どんな形であれ、俺はその手助けをするつもりだ」とメイフィールドは話した。

メイフィールドは、パンサーズでの最初のシーズンに2つの非常に重要なポイントを証明する必要がある。2021年シーズンのパフォーマンスは、選手としての実力を反映していなかったということ。そして、周りの選手たちを再組織することができる、質の高いチームメイトになれるということだ。パンサーズにはメイフィールドの元チームメイトであるラシャード・ヒギンスとオースティン・コルベット、2019年シーズンをクリーブランドで過ごしたオフェンスライン(OL)コーチのジェームズ・キャンペンといった、彼を待つ何人かの親しい面々がいる。彼らはすでにメイフィールドを人として、チームメイトとして知っている。ブラウンズでの最後の数カ月には、メイフィールドに関する否定的な意見があった。それにもかかわらず、フィッタラーはメイフィールドを選択した自分たちの仕事の方が、エリー湖岸でささやかれた説よりも信頼度の高いことを、メイフィールド本人が証明すると信じており、こう語っている。

「取引を行うときはいつでも、やるべきことをやり、可能な限り多くの人々に話をすると思う。今回われわれはベイカーを知っていた多くの人々に話をしたが、それはベイカーがドラフト指名されたときにそこにいた人や、組織内の人々だった。過去に彼を指導したことのあるコーチが、彼を支援してほしいと、向こうから実際に電話をかけてきたこともあった。だから、われわれは多くの作業を行い、最終的には、熱狂的で競争力のある男だとわかったのだ。彼は勝ちたがり、偉大になりたがり、組織としてその姿勢を受け入れていると思う。われわれはそういう選手が好きなんだ。これは、彼にとって再出発となる」

メイフィールドには再出発の準備ができている。それがパンサーズでの長期的な契約につながるかどうかを見てみよう。

【AK】